1902年01月25日 (土) | Edit |
【過去固定エントリ】につき、以前いただいたコメントは消しています。ありがとうございました。

レーヌスさまのところで、佐々木倫子さん作「動物のお医者さん」愛蔵版が出ることを知りました。

佐々木さんつながりで、忘却シリーズ「家族の肖像」に収録の短編「カルケット恐怖症」について語ります。
(本が手元にないため、記憶だよりです。)

テーマもプロットも異なりますが、「産むよりも育てることを実践する女性」が登場するまんがに劣らず、画期的でした。
結末が。

女主人公のテンちゃんは子どもが好きじゃありません(※)。
そんな彼女の目下の悩みはおつきあい中のAさん。
そろそろ結婚を、と、願っているのですが、公園デートの最中、そこで遊ぶ大勢の子どもたちに囲まれたAさんはとても楽しそうでした。

昔つきあっていた男性に「結婚しても子どもは欲しくない」と打ち明けたとたんに、「バケモノでも見るような顔をして」去っていかれた過去のあるテンちゃんは、子ども好きと思われるAさんとの結婚を悩みます。

ある日、観劇デートの最中、テンちゃんたちの周囲は親子連ればかりでした。
よそのガキから、もとい、お子さまから、べたべたのよだれのついたみかんを勧められてドン引きするも、周囲を見渡し「上品な親の子は上品」「優しげな親の子は優しげ」「無礼な親の子は無礼」であることに気づいたテンちゃんは、「よしっ、わたしの子なら素晴らしい子に決まってる」と閃き、勢いづいてプロポーズします。
「Aさん、結婚しましょう!9人くらいなら大丈夫です!!」

実はAさんも子ども嫌いで、テンちゃんのことを「子ども好き」と誤解していました。
「ああ、ぼくは子どもが嫌いなのに…」と思いつつも、テンちゃんのことが好きな彼はプロポーズを受諾しました。

結婚し、二人には玉のような赤ちゃんが。
ベビィを見たテンちゃんの胸中の第一声は、
(げっ、みにくい)

そして、二人はお互い心の中で
(やっぱり、子どもは一人でやめとこう…)と決意するのでした。
ハッピー・エンド(笑)。



ふつう、こういうまんがって、
「自分の子どもってかわいいのねw」
「産んでよかった(はあと)」
との結末になりがちです。

なのに、
「げっ、みにくい」と、
「やっぱり、子どもは一人でやめとこう…」ですもんねぇ(笑)。

いい意味で忘れられない結末の短編です。
痛快です。大好きです。

是非とも復刊求む!母性神話なぞ蹴散らせ!!


(※)子どもが好きじゃありません
サッカーに興味がないからって、サッカー嫌いとは限りません。
AKB48に関心がないからといって、アンチAKB48とは限りません。
なのに、なぜ一般的に「子ども」に対して興味関心が薄い人間には、「子ども嫌い」のレッテルを貼るんでしょうか。

日本では、「女は皆子どもが好き」「女は皆子どもを産みたがるものだ」との決めつけの反動か、「子どもに興味はない」「子どもを産む気はない」女を、「子ども嫌い」と決めつけ、テンちゃんが以前つきあった男性のように「バケモノ」扱いする傾向があるので、意識して「子ども嫌い」との表現を避け、「子ども好きじゃない」と記述しました。
そして、テンちゃんは自分のことを「子ども嫌い」と口にしていますが、「子どもに対して興味および関心が薄い」人間であるとわたしは思いました。



「カルケット恐怖症」を読んだ為か、作者の佐々木倫子さんも「子ども好きじゃない人」なのかなぁと思ってます。

短編ひとつでそう決めつけるのは雑駁ですが、「カルケット恐怖症」には、子ども客を楽しそうに巧妙にとっちめる脇キャラ(テンちゃんの勤務先のブティックの店員さん)も登場するので、作者は「子ども好きであること」を賛美する人ではなさそうに思えます。

その他の作品から見出せば…、

●「Maiking of 動物のお医者さん 12」にて。
「若い読者のパワーには圧倒されるものがありました」とのことで、ファンレターの一部が紹介されています。うちのひとつ、
「佐々木先生と書くとめんどうなので、のりちゃんでいいヨネ。やだったらゆってね?(小学6年)」の手紙文面の傍に描かれた佐々木さんの自画像は、思いっ切り嫌そうな表情で「………ヤダ」となってました。

子どもの言い分だからといって、目を細めて受け入れないお方のようです。

●「動物のお医者さん」、「家畜試験場、羊のプルプル」のお話の冒頭にて、「三日月みたいな目だから猫が嫌い」と言うお子様に、「その三日月が横になってる動物もいるんだよ」と語りかけるハムテルについて、わざわざ「いじわる」との書き文字が。

ハムやんが子どもに意地悪く言ってるわけです。

●「動物のお医者さん」、「チョビ、ポスターのモデルに抜擢される」のお話にて、チョビと組む子役が登場します。
その時のハムテルたちの反応は、「子ども、カワイー」ではなくって、「子どもか」「子どもだ」「ヒグマよりパワーがあるわよ」と、かなり警戒したものでした。

●「動物のお医者さん」の二階堂くんは年の離れた弟妹三人から慕われ、面倒見のいい兄です。
しかし、
「子どもって可愛いよ!」
「子どもっていいものだよ!」
「子どもって素晴らしいよ!」
といったたぐいの、子ども好きアピールのない青年です。
面倒見はいいんだけど、わりかし淡々と相手してるんですよね。

●「おたんこナース」収録の「子ども好き?子ども嫌い?」。
主人公の新米ナース似鳥ユキエが、小児病棟を担当するお話。
ストーリーは、「子どもなんて、ぶてば怒るし、叩けば泣くし」と、子ども嫌いな似鳥ユキエが、担当した小児患者と仲良くなるというベタな展開でしたが、ヒロインは「子どもってだけで、好意を抱く性分じゃない」ってことで。

●「Heaven!」収録の「大人の店」。
フレンチレストラン「ロワン・デシー」に、やってきた客の中に、なんと子どもが混じっていた。
「レストランに子どもはそぐわない」との信念のもと、オーナー黒須仮名子は、子ども客追い出し作戦に着手した。
…オーナーの大人げなさが目立った話でしたが、これまた、「子どもだからとって、即目じりを下げる」ヒロインじゃないってことで。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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