2014年03月15日 (土) | Edit |
(注意1)ネタばれ、史実ばれに配慮していません。
(注意2)改訂にあたって、以前いただいたコメントは消しています。ありがとうございました。







↑リチャード3世善王説の金字塔。
「不滅の忠誠、不変の慈愛、不屈の武勇。乱においては危険にも苦難にもひるむことなく、勇気を持ちて立ち向かい、平和の時には、兄とイングランドの為に智を以て尽くしたヨーク家最良にして至高のプリンス」
にも関わらず、チューダー・プロバガンダにより悪王の汚名を着せられた悲劇の王、リチャード3世もよろしく!

■ 第1話 ■

シェイクスピアを「下敷き」と伺っていたので、近年の善王説も少しは反映されるのかなと思っていましたが、「原案・シェイクスピア『リチャード3世』」とのことで、はっきり悪王よりでした。

◆ダークでミステリアスな雰囲気が好きです。
そして、マントにくるまったチビ・リチャードも。
あっという間に大きくなっちゃたな~。動いている様子が毛玉のようにころころしてて可愛かった~。もふもふしたいw

なお、大きくなったとはいえ、史実も踏まえているとすれば、一話終わり時点で、まだ8歳くらいのはず。
「『誓約』は正式な手続きを経ていない限り無効なのです」云々と弁を振う8歳児(笑)。

ブラック・ジャック・マントにくるまった鬼太郎ヘアの少年が、デスノート・L顔の青年へと成長するお話(違)。

巻頭カラーの表紙絵に登場のリチャードさんを見た時、目つきが悪い、もとい、鋭いのはともかく、このクマはなんじゃいと(笑)。

ヨークは白薔薇、リチャードは人物のイメージカラーとして黒なのはしかたないとはいえ、巻頭カラーで、白黒基調ってのも珍しいのでは。一枚絵として綺麗だなと思います。
タイトルと煽りが、赤文字、青文字で派手な彩になってます。

◆リチャードさんは男でも女でもない(表紙の煽りでは両性偶有)ってことですが、エドワード・オブ・ミドゥラムは生まれるのですか?
あ、シェイクスピアがベースだから(以下略)。

◆とってもいいお兄ちゃんしてたジョージ。
あ、シェイクスピアがベースだから(以下略)。

「俺は兄貴だからな!」
「弟のワガママはきいてやる」
と、リチャードを抱きしめる場面が好き。

◆王太子エドワードは女の子?
一瞬、そんなとぼけた考えが。
だって、下まつ毛ビシバシの派手な顔立ちで、一人称の「私」が強調されていたし、リチャードさんが両性偶有だから、エドワード王太子の女体化があってもおかしくないかと。

顔見世は実質一コマですが、美男で名高いエド兄さんより美形である印象を残してくれました。

リチャードの妻となるアン・ネヴィルの最初の夫である人なので、リチャードとは外見も含めて対照的な人物造形になるのでしょうか。

◆アン・ネヴィルちゃんが一話目から登場。
ダークな雰囲気の物語の中の一輪の花。一匹の仔猫。
全てのコマが可愛いw口いっぱい頬張って、次の食べ物に手を伸ばしている様子が可愛いww

リチャードさんはアンに無関心ですが、アンはリチャードに興味を持った様子。
うちにやってきた黒猫が気になる程度で、初めての恋心ではないでしょうが。

エドワード王太子がえらく力入った目立つキャラなので、アンとリチャードの関わりがどうなっていくか楽しみです。

◆安定の役立たず、ヘンリー6世陛下。
六世らしい、六世らしすぎると言えますが、この期に及んで何やってんだーーーー。
神に祈ってる場合か・・・。
「なぜ争うのか」の禅問答は戦った後にしとけーーーーーー。

そりゃ妻も出しゃ張りになるわ。妻が出張らなどうにもならへんやん。

べたですが、マーガレット王妃の
「ヨークの白薔薇を、やつらの血で真っ赤に染めてやりましょう」とのセリフが好きです。

直前の、リチャード(史実では8歳(笑))の、「この白薔薇を、王の血で真っ赤に染め上げるまでは!」と対になってるんですね。

◆1話目からばんばん情報が詰まっていたなあと言う印象です。
キングメーカーのウォリック伯、マーガレット王妃やヘンリー6世、エドワード王太子の姿まで登場するとは思わなかったので。
ランカスター側の動静に限らず、予備知識のない人に理解できるかな?とちょっと心配になりました。

しかも今後、エリザベス・ウッドヴィルやバッキンガム公も登場するんだよね、多分。キャラがますます増えます。

しかし、マーガレット姉さまは・・・(シェイクスピアがベースだと(以下略))。
ラヴェル伯フランシスくんは・・・(シェイクスピアがベースだと(以下略))。
ラトランド伯エドムンドくんも・・・(シェイクスピアがベースだから(以下略))。

◆このお話のリチャードさんはパパ大好きっ子みたいです。
パパといる時の表情が好き。
愛されていることを知っていて、心から嬉しそうに笑っていて。
ただその笑顔も、パパは僕を愛してくれている、パパなら僕を受け入れてくれていると言う安心感の発露なのかと思うと切ない。

どうやら、母にすら愛されず、見放されそうになってたリチャードを受け入れたのが父のみであったのではと推測できる回想シーンがあるんですよ。
それだけに、父への愛情や忠誠心も強くなるだろうなと。

今のところ、エドワード兄さんの存在感が薄いのですが、今後、父を失ったリチャードさんの忠誠や父への愛情は、お兄さんに向かうのかな。
それとも、亡き父へと捧げられたままなのかな。

おそらく次回はウェイクフィールドの戦いなので、パパの命運はあとわずか・・・。

◆1話を読んだ限りでは、リチャードさんはパパ以外には無関心のようです。
ジョージはいいお兄ちゃんしているし、エド兄さんも末弟を気にかけている様子なのに、お兄ちゃん達からの愛情には無関心で、パパにしか心を開いていない、パパからの愛情以外は我関せずのようです。

◆ジャンヌ・ダルクのこと書くのを忘れてた。
えーと、ジャンヌ・ダルクもキーパーソンのようです。今の時点ではよーわからん。

あと、従者のケイツビーくんと、イノシシが出てきます。
ケイツビーくんはともかく、イノシシはジャンヌ・ダルクと共に、リチャードの夢にも現れたので、キーアニマルかも。

■ 第2話 ■



第2話は、未来への布石を次々と打ってきたなという印象です。

◆「私は次期王のエドワード様だ」
「確かに、次期王は我が兄エドワードだが」

うまいっ、と、思ったやりとりです。

西洋歴史ものの泣き所は、たまに同名異人が入り乱れること。
第1話でも、リチャードが三人登場するので、主人公のリチャード以外は、ヨーク公、ウォリック伯と表現されていました。

そして今回、エドワードが二人を逆手にとって、ともに「次期王エドワード」と表現したのが上手いと思いました。

アン・ネヴィルの存在を思うと、ここで王太子エドワードとリチャードが顔合わせしたのも意味があるのかな?

◆同名の父リチャードから、息子のリチャードに、王として名を残す願いが託されました。

「私の名を残せ」「王の名だ」
リチャードが王位を望む動機付けがここでひとつ生まれました。

◆軟禁中のリチャードの元に現れたエドワード兄さんの顔かたちが、パパ・リチャードに似てるように感じました。
第1話、および第2話の冒頭ではそうでもなかったのですが、気のせいかしら。

今回のお話は、おそらくウェイクフィールドの戦いなので、パパ・リチャードはもうお亡くなりかと思います。
父の面影を、エドワード兄さんが受け継いだのかと思いました。

しかし、リチャードさんにとっては、あい変らず、父が唯一の慕情の対象であって、兄さんに対してはあまり情が無さげなので、今後、父の面影を持つエドワード兄さんに、愛情や忠誠が向くのか、あるいは、頑なに亡くなった父へのみ心を捧げるのか。

◆回想から推し量るに、母から見捨てられた事は、リチャードの心の傷になっているようです。
1話でパパ大好きぶり、パパ以外には関心ない事が目立っていたので、母への気持ちは考えなかったのですが。

そして、ヘンリー6世の母との関わりを、作中のリチャードの、母に見捨てられた過去とシンクロさせていたのが、良かったです。

◆「君、名前は?」
「二度と会わない奴に教える必要はない」
「じゃあ、今度会ったときに教えてもらうよ」

ここでも未来への布石きたーーー。

再会は、テュークスベリーの戦いなのか、ロンドン塔なのか。

◆モブ扱いになるかとの予想を裏切って、主役と絡んだヘンリー6世。
しっかり「病んだ」様子も描かれていました。
現在の商業まんがでは、表現しにく病状なので、今回描かれた様子が限度かなあ。

先走りますが、ヘンリー6世を地上の鎖から解き放つのが、リチャードであるとの解釈も成り立ちそうだと思いました、今回のヘンリー6世の様子を見て。

◆今のとこ、わたし目線では、作中一のきらきら美少年は王太子エドワードです。
そんな息子の父だけあって、ヘンリー6世もきらきら美青年でした。
二人ともまつ毛がきれいなのw。

マーガレット王妃も堂々たる美形です。彼女が一番まつ毛ビシバシ。

◆リチャードは生まれてすぐに尋常ならざる者(第1話で「男でも女でもない」とされています)と判明してるみたいですが、可能なんでしょうか。

医学知識に欠けるので、見当違いを述べていたらすみませんが、赤ちゃんのリチャードを見て、即、両性偶有と判断できるものでしょうか。

今回のお話では、ふくらみ始めたリチャードの乳房が露にされましたが、赤ちゃんなら胸ぺったんこなのは当たり前だし、これで睾丸があれば男の子、なければ女の子で、問題になるとは思えないのです。

両性偶有以外の、不吉なしるしが赤ちゃんのリチャードにあったのでしょうか。
あ、目の色が左右で違うこと?

◆「あ、ものすごく重要なことを言い忘れていた。
ウォリック伯の娘がお前のことを気にしていたぞ。
あの娘は将来美人になる!のがすなよ!」
と、エドワード兄さんに言われた時の、リチャードの無言の「・・・・・・」の間が面白いです。

しかし、面白いとばかりは言っていられない。
アンの消息を聞いても、あいかわらず父の事しか頭にないし、両性偶有であることを思えば、アン・ネヴィルとの関わりはどうなるのでしょう。

◆今回のヘンリー6世の不思議な、禅問答のようにとらえどころないセリフは元ネタがあるんでしょうか。
もしかしてシェイクスピア?「リチャード3世」に限らず、「ヘンリー6世」とか。

◆ジャンヌ・ダルクとパパ・リチャードの間になにやら因縁があるらしい?
てっとりばやくWikiさんを見たら、
ジャンヌ・ダルク(1412年頃1月6日 - 1431年5月30日)
ヨーク公リチャード(1411年9月21日 - 1460年12月30日)
あら、ほぼ同い年。そして、ジャンヌ刑死時にパパ・リチャードは19歳。
何らかの関わりが生じていても不自然じゃないですね。
この物語の謎のひとつなので、解き明かされていく過程を楽しみにします。

■ 第3話 ■
「薔薇王の葬列」第3話の見所。

1.「アンジューのひなぎく」ことマーガレット王妃による数々の顔芸。

2.衣服の上から微乳に触れただけで真っ赤になったエドワード王太子はVirgin(推測)。

3.首枷手枷鎖しばりの弟の姿を見ても、まったく意に介さないエド兄さん。

マーガレット王妃が全てかっさらっていった第3話。

「DEATH NOTE」を支えたのは夜神月の顔芸。
「かの名はポンパドール」(紅林直・作画)の魅力は、ヒロインと敵対していた時の、王太子ドーファンの顔芸(ヒロインと和解した途端、顔芸がなくなってつまんなくなった)。
ということで、クールな美貌を崩してまでも、顔芸で魅了してくださったマーガレット王妃に乾杯!
 
「今すぐ聖地に行っちまえ!」ドガッ!
なんとはしたない(笑)。
そして、サフォーク公を恋い慕う表情への鮮やかな変化。
さらに、引きの場面の怒りにゆがんだ顔つきはナイスでした。

◆エドワード王太子にリチャードの体の秘密が、誤った形でばれてしまいました。

リチャードとエドワード王太子は、アン・ネヴィルの前夫と後夫なので、三角関係を描くかとの予想はありましたが、三角関係であっても、予想外の関わりになりそうです。

予想では エドワード王太子=(婚姻)=アン・ネヴィル(恋心)→リチャード
今回のお話を踏まえた修正予想は、エドワード王太子(恋心)→リチャード←(恋心)アン・ネヴィル
うん、もてるのは主役の特権だ。

リチャードが本当に女であれば、第3話終わりのエドワード王太子の頬を赤らめた表情で、「ロミオとジュリエット、ただしロミオの片思い」展開を予想するところですが、リチャードの真の姿は「両性偶有」ですから、「女だったのか!」と勝手に恋心を抱いた挙句、正体を知って「裏切られた!!」とリチャードを一方的に罵倒する展開にならないか心配です。
リチャードの為に。
だって、本人がどうにもならない両性具有の体で苦しんでいるのに、勝手に「女」と決めつけれらて、正体がわかったら罵倒されるってひどいですよ、と、先の展開は不明なので、仮定を基にした先走り過ぎの感想ですが。

ただ、男性のなかには、特定の女性に対して「まさに僕の理想!」と、勝手に幻想を抱いて、その女性が理想から外れていると判明するや、自分の思い込みを棚に上げ、「だましたなあああ!!」と、女性を責めるカスが少なくないのです。
エドワード王太子がそんなカス野郎でないよう願います。

◆衣服の上からかすかにふくらんだ乳房に触れただけで、ああも頬を赤らめるってことは、エドワード王太子はもしやヴァージンですかw。

第3話を読んで、もしかすると、エドワード王太子も親の愛情には恵まれなかった子どもなのかと思いました。
しかし、今までのお話を振り返る限りでは、父母と互いに深く愛し合い、大切にしあっている印象はないものの、憎悪、拒否、嫌悪は感じられません。

マーガレット王妃の場合、はっきりと、夫ヘンリー6世への怒りと嫌悪が表れていますが、エドワード王太子は、頼りない父であっても、ヘンリー6世を罵倒したりしてないし。

そして、今回のお話で、マーガレット王妃の密通がほのめかされましたが、エドワード王太子は、ヘンリー6世に似ているので、彼の息子だと思います。
サフォーク公の顔がはっきりと描かれてなかったので、この時点で断定できませんが。

◆ジョージはベッドで寝ているのに、リチャードは床。
シセリィお母様、ひどい・・・(泣)。

「私の息子と夫」の「私の」が強調されているのは、リチャードを「私の息子」とは認めないって意味なのかな。

◆さすが、主人公ってな感じで、アン・ネヴィル、エドワード王太子、ヘンリー6世と恋愛及び友達フラグが続々と立ちましたが、リチャード本人の性別意識って、「男」なんでしょうか。それとも「女」なんでしょうか。

むしろ、両性偶有ゆえ、性別意識が定まらないってのが、リチャードの苦悩のひとつなのか。

◆意外と早かったリチャードとヘンリー6世の再会。
わたしは、テュークスベリーの戦場、あるいは、1471年5月21日のロンドン塔かと思ってました。

西洋は同名が多いので、今のところは、リチャードがヨーク公の子息のリチャードであり、ヘンリーが国王のヘンリーであることは互いに知らないままのようです。
互いの正体を知るのが、テュークスベリーかロンドン塔になるのでしょうか。

◆「だから母上にも愛してもらえない」
ようやく、リチャードから、父ヨーク公以外の人間に対する感情の発露がありました。
今まで、父親以外の人間に対して、なんら感情を動かす、及び動かされる様子がなかったので、迫害をあまり気に病んでいないのかと思いましたが、産みの母から拒絶された事は、リチャードの心に爪痕を残していました。

そんなリチャードの「感情」を引き出したのは羊飼いことヘンリー6世。
終わりの方のヘンリー6世に対するリチャードの表情は、まさにパパ・リチャードへのそれと酷似していました。
自分を拒否しない、自分を受け入れてくれる、自分を愛してくれる者への安心感と喜びと。

自分から、差し伸べられた手を振り払ってしまいましたが。

◆「リチャード!まったくお前は、神出鬼没だな。はっはっはっ」
エド兄さん、首枷手枷鎖つなぎされている弟の姿は不問ですか(笑)。
弟を首枷手枷の緊縛姿に放置したまんま、さわやかに戦況を説明してくれてます。

◆現在、ウェイクフィールドの戦いが進行中。
第2話でパパ・リチャードがお亡くなりになるかと思っていましたが、まだ生きていらっしゃる(?)。
首都を占領したヨーク公軍に、ウォリック伯の姿はあっても、パパ・リチャードが見えないのが気がかりですが、エド兄さんの様子を見る限りでは、パパ・リチャードは生きているみたいです。

マーガレット王妃が出陣するので、因縁の紙の王冠を実現する為にも、お亡くなりになるのは、次号以降でしょうか。

それにしても、三話費やしてウェイクフィールドの戦いが終わらず、パパ・リチャード健在って、思ったより、ゆっくりした進行です。

◆リチャードが「男でもない、女でもない」とはどういうことなのか。

今更なんですが、そして、物語の根本に関わる点なのに、第3話でエドワード王太子がリチャードを「女」と認識するまで、あまり気に留めなかったんです。

史実のリチャード3世は「男」だし、作中でも、「男でもない、女でもない」とのセリフにも関わらず、「息子」「弟」として扱われていること、一人称が「俺」であることから、わたしは「男性」としてとらえていました。

それに、「男でもない、女でもない」とはいえ、また、第2話でかすかにふくらんだ乳房が露にされまたとはいえ、今のところ、外見上は健常者と変わるところがないので、リチャードが抱く、自分の体故の劣等感、葛藤、苛立ち等をちゃんと読み取ってませんでした。

皮肉なことに、エドワード王太子がリチャードを「女」と思い込むことで、自分が、リチャードの苦悩の源に鈍感であったと気づけたのですが、男でもない、女でもない」という設定が意図するところは理解できそうでできません。

難しい。

性別認識は身体によって成されるものなのか、それとも他者からの認識によって(今回のお話でエドワード王太子がリチャードを「女」と認識したように)為されるものなのか、問いかけているんでしょうか。
(「成す」と「為す」は打ち間違いじゃなくて、意識して使い分けました。)
(成す→自力、為す→他力)

「男でもない、女でもない」苦悩とは、ただ、性別認識が定まらぬことだけなのか。

作中では「男でもない、女でもない」とされています。
第1話の煽り文句、人物紹介欄では「両性具有」です。
「半陰陽」を検索してみたんですが、作中の「男でもない、女でもない」「両性偶有」とは異なるもののように感じました。

「男でもない、女でもない」、このことがリチャードにもたらしたものは何なのか。
難しいです。

◆毎回予想外の展開を見せてくれる「薔薇王の葬列」。
ふと気が付いたのは、「リチャードとランカスター側の人間が深い関わりになる展開が多い」事です。

第2話ではヘンリー6世。
第3話ではエドワード王太子。

わたしが今まで読んできたリチャード3世ものは、大体、リチャードは自分の親兄弟、即ちヨーク家と深く関わり、ランカスター家とは敵対以外の関わりは薄かったので、その点で「薔薇王の葬列」は意外な展開が続くように思ったのでしょう。

この流れでいくと、マーガレット王妃もリチャードによろめくのかな(笑)?

◆エドワード王太子は作中一のきらきら美少年です。
第1話の感想でも述べた通り、実質一コマ登場にも関わらず、美男で名高いエド兄さんよりも、美少年だと思ったくらいです。

第1話当時、第2話の時点でも、アン・ネヴィルを挟んだ前夫と後夫の対照としか予想してなかったので、リチャードのダークさとの対比にしても、エドワード王太子がきらきら過ぎる、バランスが悪いと思いました。

しかしエドワード王太子は第3話でリチャードを「女」と認識しました。
乳房の感触に頬を赤らめて。

エドワード王太子がヒロイン(違)に恋する役目であるとすれば、このきらきら美少年っぷりも納得です。

ヘンリー6世がきらきら美青年なのも、ヒロイン(だから違うって!)に恋する立場だから(笑)?

◆生まれたとたんに忌み嫌われた赤ちゃんリチャードの身体ってどんなんだったのでしょう。

素人考えなのですが、赤ちゃんを見て、女の子である、あるいは男の子である、と判断するのは容易だと思うのです。
赤ちゃんは、男女問わず乳房はぺったんこなので、男性性器があれば男の子、なければ女の子と判断できます。

そして、現代であれば、精密検査が可能ですから、「男でもない、女でもない」判断を新生児期に下すことも可能でしょう。
しかし、15世紀にそこまで細緻な手段があったのでしょうか。

(本当に素人考えなので、15世紀に新生児を「男でもない、女でもない」と判断する術があれば教授乞う)

トマス・モアは、「リチャード3世は生まれたときから背が曲がり、不吉な姿をしていた。足から先に生まれ、すでに歯がはえていた。生まれてすぐに、カエルを生きたまま食した」と記しているらしいです。

赤ん坊に歯が生えていたら、そりゃ驚くわな・・・。

◆父のリチャードは、子の異形を知った上で受け入れた。
母のシセリィは、子の異形を知り拒否した。

お父さん、妻がリチャードに辛く当たるのを咎めるってことはしないんですかね。
気づいていないとは思えないのですが。

■ 第4話 ■

◆仔猫のように愛らしい二人の淑女が揃い踏みの場面になごみましたが、全体に悲しいトーンで彩られた回でした。

パパ・リチャードの死もさりながら、シセリィお母様の仕打ちが。

シセリィお母様が涙を流してリチャードを引き留めた時、態度の変わりようにぞっと鳥肌が立つ思いになったら、そんな予感にたがわずひどい仕打ちを・・・。
シセリィお母様にすれば、「リチャードは災いをもたらします。同行させないで」と、正攻法で引き止めても夫に聞き入れてもらえないと考えた上での、「北風と太陽」の太陽作戦だったのでしょうけれど、リチャードの立場になってみればあまりにもひどい。

いったん希望を持たせて、突き落としたのですから。

強いてよかったと考えれば、同行しなかったので、ひとつ、リチャードは生き延びたこと、ふたつ、父の死の直接の原因とはされないこと、ですが、後者については、シセリィお母様は、結局、リチャードのせいにしそう。

◆ようやく育児における父親の責任が問われだした近年ですが、まだまだ「父の無責任」に甘い世の中です。
継子虐めを放置したシンデレラの父親の責任は問われないのと同様に、大阪餓死児童二人の、養育費を払わずに母親ぐるみで放り出した父の責任が問われない事例を見ても。

今まで、セシリィお母様のリチャードへの仕打ちをパパさんは知らないのか、知ってて放置しているとすれば、シンデレラ父らに劣らず無責任だと思ってました。

が、もしかすると、シセリィお母様は、夫の前ではリチャードに対して慈愛の母だったのでしょうか。
今までの場面を振り返っても、リチャードに辛く当たるのは夫のいない場面だけでした。
だからといって、パパさんの「気づかなかった」罪が軽くなるとは思いませんが、不思議だったんですよね、リチャードを慈しんでるパパさんが、シセリィお母様による精神的虐待を放置していることが。

しかし、「気づかない」ってことも罪だなあ。

クリスマス・リースの下で、「ははうえに(キス)しても、おこられませんか」とはにかんで問うリチャードに「もちろんだ!」と答えるパパさんはいただけなかったです。
幼いリチャードが不憫可愛くていい場面なのですが、妻が息子に抱く憎悪にをまったく対処しないパパさんを見てると、無知は罪と指摘したくなります。

◆そして兄たちも、いいお兄さんであるけれど、母のリチャードへの仕打ちに対しては何ら手をうってません。無力なのか、パパさん同様気づいていないのか。
出張の多いパパさんより気づき易い立場にあると思いますが、本人たちにしてみれば、「母上はちょっとリチャードに冷たいな」程度にしか映ってないんでしょうか。

◆前号の終わり(マーガレット王妃による「わたしが全軍を指揮します!」宣言)とつながってないので、ちょっと戸惑った今話のオープニング。
まるでヘンリー6世が指揮したかのようなので。

マーガレット王妃と従者のやりとりから推測するに、「わたしが全軍を指揮します!」と宣言したけれど、「国王の名誉の為」に指揮をヘンリー6世に任せ、結果惨敗の流れでしょうか。
ていうか、指揮できたの?ヘンリー6世・・・。

◆わたしの中の、「エドワード王太子はヴァージン」説がさらに強くなりました。
敗走のさなかにあっても、微乳の感触をひきずってるみたいなのでw

◆こまっしゃくれた妹の登場で、アン・ネヴィルの個性もこれから描かれていくのでしょう。
今話では、「ダンスよりも戦いの腕を磨きたい!」との性分が披露されました。
しかし、わたし、この言は、好意を寄せてる男の子(リチャード)に話を合わせたのかも、と、思ってます。今後明らかになればいいな。

◆「変な女だな」
「あなたってなんだか他の人と違うんだもの」

同じような意味なのに、また、それぞれの発言者も貶す意図では告げていないのに、アン・ネヴィルは喜び、リチャードは、怒りと悲哀に包まれました。

「変な女」は、少女まんがでは、場合によってはステイタスになります。

例えば、
「君って変わってるネ。他の女の子は着物や芝居のことにばかり夢中なのに、仕事の話に耳を傾けてくれるなんて」
「変な奴。釣りに興味があるのかよ」
「女みたいにベタベタしたとこがなくて、変なの。でもそこが付きあいやすいよ!」

例からわかるように、「変な女」が誉め言葉として使われる場合、他の有象無象の女どもからぬきんでた、特別な女の意味になります。
同時に、世間が定める女らしさからはみ出した女を受け入れてくれたことにもなります。

アン・ネヴィルは今まで出番が少なくて、世間の許容する範囲内での闊達な娘さんに見えるので、「ダンスよりも戦いの腕を磨きたい」は、好意を寄せている男の子に話を合わせたのではとの考えが拭えません。
リチャードに「変な女」と言われて時の喜びの表情が、彼から好意を返してもらったことによるものか、あるいは自分の「女らしくない」部分を認めてくれたことによるものか、今のところ判断できません。

◆「あなたってなんだか他の人と違うんだもの」

「変な女」に比べれば、誉め言葉として汎用性が高いと思うのですが、リチャードの劣等感をピンポイントで突いちゃいました・・・。

アンの表情を見れば、否定的に用いていないとわかると思うのですが、「他の人と違う」の言葉だけが入っちゃったんでしょうか。
それだけ、リチャードにとっては、「他の人と違う」ことが、大きな重石になってるってことなんでしょうか。
あるいはシセリィお母様から何度か言われていのかも。「お前は他の人間と違う」と。

◆リチャードは何故、「変な女だな」を愛しそうな表情で口にしたのか。

今までアン・ネヴィルに全く関心がない様子だったのに。

キーは同意。
「ダンスを覚える暇があったら、戦いの腕を磨きたい」との言葉に同意してくれた事が重要なのかと思います。
見方を変えれば、「ダンスは苦手で、戦いの腕を磨きたい」と考えは貴族的な事からはみ出したもので、そんなはみ出した考えを持つ自分を受け入れてくれた事が大事だったのではないかと。

第1話から、リチャードは自分が心身ともに異端と見做され、迫害されることに苦悩していました。
だからこそ、自分の身体の秘密を知った上で、「受け入れてくれている」パパ・リチャードに対しては全身全霊の信頼と愛情を寄せていました。

リチャードが求めてやまないのは、「この子をあるがままに受け入てくれる事」なのかと思います。

◆第3話でのヘンリー6世に続いて、アン・ネヴィルとの交誼も自分から拒否しちゃいましたね、リチャードは。
ヘンリー6世の場合は、差し出された手を受け入れたいと思いつつ、自分から振り払ってしまいましたが、アン・ネヴィルの場合は、誤解とはいえ、彼女に対して悪意を抱いてしまったようで、今後の二人の仲が案じられます。

◆第2話での、「その名(リチャード)を残せ、王の名だ」に続いて、リチャードが王位を望む動機付けが生じました。

パパさんの言。
「私はお前に何か特別のつながりを感じるぞ。
お前が私の中にいるような。
私がお前の中にいるような」

つまり、リチャードが王位に登ることは、父を名とともに生かすことにもなるのです。

◆「薔薇王の葬列」は、歴史ものかと思っていたけれど、もしかすると、性別の定まらぬ主人公が性認識を定める、身体上の性(セックス)と社会生活の上での性(ジェンダー)がテーマでもある物語なのか、と、こんな考えが浮かびました。
キーパーソン(と、思われる)、ジャンヌ・ダルクも、男装によって、性別の規範を犯したと断罪された存在ですし。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

↓「日本ブログ村」に参加しています。記事がお気に召したらクリックを!励みになります。
にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 漫画ブログへ
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック