2014年04月11日 (金) | Edit |
(注意)ネタばれ、史実ばれに配慮していません。

ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」のジョンとシャーロックが、それぞれ別メディアでリチャード三世(シェイクスピア版)を演じるとのこと。
拝見する機会があるかどうかはわかりませんが、「SHERLOCK(シャーロック)」もリチャード三世も、どちらも好きなので嬉しいです。






↑紙本は4月1日以降、増税分が追加され、450円から463円に値上がりしていますが、KINDLE本は400円のままです。
たまにキャンペーンなのか値下げされてることもあるし、KINDLEって、どんな基準で価格を決めてるんだろ。

さて、第5話と第6話、「薔薇王子の憂鬱」、「ビジュアルブック」、全部まとめて感想いきます。

作者さんはドS(失礼いたしました・・・)。
でも、でも、シェイクスピアさんですら、ジョン・グレイ殺しの汚名をリチャードに着せなかった!ここまで苛めるか、リチャードを!!
こうなりゃ、作者さんがこの先どんだけドSっぷり見せて下さるかに期待します。

◆小さい肖像画だけの顔見世ですが、エリザベス・ウッドヴィルは慈愛の母のよう。
今のとこメインで登場している母二人(シセリィお母さまとマーガレット王妃)が鬼なので、鮮やかな対照だなと思います。

いかにも母性的な包容力で年下の男を魅了し、一方で男の側の「守ってやりたい」気持ちを刺激しそうな、たおやかな印象の女です。

実際に顔出しして動き出したらどうなるかわかんないけど。

◆作者さんがアン・ネヴィルを「ヒロイン」とコメントしてらしたので、今後の活躍に期待。
可愛い、可愛いよ、アン・ネヴィルw
仔猫のように愛らしいよ。

◆あい変らず顔芸が達者なマーガレット王妃。
好きです、この方w。

あんな情けない夫でも、国王である以上、臣下の手前も、大義名分の為にも見捨てるわけにはいかず、他国から嫁にきた立場は辛いですね、マーガレット王妃。

作者さんの「王より王らしい王妃」とのコメントで、「ハプスブルク家唯一の男」と呼ばれたゾフィー大公妃を連想しました。
ゾフィー大公妃も、息子たちを愛する一方で、夫のことは軽蔑していました。
「あんな愚物が皇帝になれば、ハプスブルク家は滅亡する!」
愚物って夫を指してるのよ。

◆「両性偶有」の設定が読者に公開されているにも関わらず、第1話から第4話を読み直して、なんとなく、「リチャードって男として育てられている女じゃないの?」と感じたのですが、第5話、第6話、番外編「1458 LOVE DAY」を読んで、ますますわからなくなりました。

やっぱり実は女じゃないのか?という気がするんですけど、そうじゃないという気持ちも。

実は女じゃないのかと思うのは、番外編「1458 LOVE DAY」でパパさんのリチャードに対する態度を「愛息というより愛娘ですね」との指摘があったことと、この時リチャードが寝込んでいた理由は不明ですが、生理かと思ったからです。

一方で、エドワード王太子から「お前が女だからだ」と言われた時の反応が、男装女子にしては鈍い。「ばれた!?」との切羽詰った感がない。

切羽詰った感がないと言えば、公には「男」であるのに、「おまえが女だからだ」と言われて、「なぜ、そんな事を言う?」と問い返さない、あるいは疑問を抱かないのも変と言えば変で、リチャードのこの妙な反応を見てると、やっぱり女ではないのかとも思います。

なお、第6話で暴漢がリチャードの身体に「何か」を見たのはたしかですが、具体的に「男性性器」であるとは言ってません。

しかし、リチャードの執拗な「俺は女じゃない」って否定のしかたが、かえって、やっぱり女なんじゃないかって気も・・・。
いや、性別定まらないリチャードを、父が「息子」と決めたから、父に忠実に「息子」であろうとしてるとすれば・・・。でも、そうであれば、なぜ「愛娘」に対するような態度を取るんだ?パパさんは。

やっぱりわかりません。

◆重箱の隅つつきみたいだけど、「両性偶有」って、「有」の単語が入ってる為か、わたしには「男でもある、女でもある」存在に思えるのですよ。
だから、ジャンヌ・ダルクの亡霊がリチャードを「男でもない、女でもない」と言ってるのもひっかかって。

ほら、マジックって、派手なパフォーマンスに観客の目をひきつけて、巧妙に、トリックに注目がいかないようにしてるって言うじゃないですか。
第1話の煽りで、人物紹介欄で、コミックスの帯で、「両性具有」に読者の注意を向けさせて、実は・・・と言うトリックが仕掛けられてるんじゃないかなあと。

◆感想【菅野文「薔薇王の葬列」1巻(その1)】でも書いた通り、エドワード王太子の、リチャードの性別に対する認識の変化に伴う、気持ちの変化は興味深いです。

リチャードは、彼にとって排除すべき「敵」であり、「悪魔」疑惑の持ち主でもあった。
それなのに、一方的な思い込みですが、「女」であると知ったとたん、リチャードは「気にかかる女の子」となりました。

リチャード本人は何も変わっていないのに、エドワード王太子がリチャードに抱く性別認識が変わっただけで、リチャードの存在価値も大きく変わったのです。

「初めて会ったばかり男と結婚しちゃいけません!」
(「アナと雪の女王」公開中につき、TLに流れてきた女王さまのセリフ)
意図するところは、おそらく、初めて会ったばかりの、人柄もよくわからない王子(男)と、結婚すんなってことで、しごく真っ当な意見ですが、白雪姫やシンデレラなどの、王子様に一目ぼれされて何の疑問も抱かずに結婚したディズニーヒロインへの問題提起でもあります。

ならば、リチャードの人となりも知らず、「女」と認識しただけで、好意を抱いたエドワード王太子の気持ちの変化も、男装ヒロインものへの問題提起であるのでしょうか。

本作が男装ヒロインものならば、「恋愛フラグきたーーーー」と、わたしは受け入れていたでしょうから、自分の中の思い込みを再認識しました。

果たして、男装ヒロインは、「女」というだけで、男から恋心を寄せられる立場になって嬉しいのかと。

「女」と認識したとたん、リチャードを好意の対象としたエドワード王太子。
「女」と認識したとたん、リチャードを強姦の対象とした暴漢たち。

考えがまとまらないんだけど、二者とも同類じゃないかとも思います。

◆ヘンリー六世は、「皆にうとまれている」(ヴィジュアル・コレクション記載の作者さんの設定)。

でも、息子のエドワード王太子は父を疎んでないですよ、ね・・・。
(第6話で父の醜態を見て、気持ちが変わったかもしれないけど。)

夫への軽侮を露骨に見せる母の元で育ったにしては、エドワード王太子の父への態度は尋常で、それだけに、エドワード王太子が不憫です。

息子にやっと目線を向けた(向けさせられた)と思ったら、すぐに現実から目をそらしてしまったし。
しかも謝罪するのはパパさん(ヨーク公)へだし。

◆鬼嫁、もとい、厳しくあたる妻のマーガレット王妃はともかく、息子(エドワード王太子)も捨てて、リチャードとの逃避行を望んだヘンリーさん(第5話)。

この人に「父」の自覚がないのは、よーくわかりました。

やっぱり「子ども」なんでしょうか。
母に捨てられた「子ども」の心のまんま、体だけは大人になってしまった子どもなんでしょうか。

さりげなく「病」の件も触れられていたし(第2話)、この人の情けない言動については、そっちも考慮すべきなのかなあ・・・。

◆わたしは、ヘンリー六世にはいらっとくるのですが、番外編「1458 LOVE DAY」にて、「ああ、人生最良の日だ。これ程嬉しいことはない」と、目を細めて喜ぶ彼を見て、初めて気の毒と思いました。

次男以下に生まれて、本人が望む通り、羊飼い(聖職者)になっていたら幸せであったでしょうに。

それでも、リチャード二世以降のプランタジネット王朝の王様では、一番長生きしてることはしてる。

◆第6話の冒頭、リチャードにヨークへの方角を教えていた騎士さんと、エドワード王太子がリチャードの消息を尋ねていた騎士さんは同一人物に見えるのですが、後者は、なぜ「見かけませんでした」と答えてるんでしょう。

次から選べ。
(1) よく似てるけれど同一人物じゃなく別人であった。
(2) 画面外でリチャードが自分の行先を教えないよう頼んでいた。
(3) 関わりが面倒なので、知らないふりをした。
(4) その他

ところで、エドワード王太子、普通に頭を使えば、リチャードは父(パパ・リチャード)の消息を追うはずだから、どこに向かったかも推理できるんじゃない?
はっ、もしかしてエドワード王太子はアホの子か!?(違)

あと、セリフの「陛下ぐらい」は「殿下ぐらい」の打ち間違いよね、たぶん。

◆サロメのごとく。
第6話のラスト、ワイルドの戯曲「サロメ」のイメージで蘇りました。

サロメって女です。
ヨカナーン(預言者ヨハネ)に恋い焦がれて、彼を求めたけれど、潔癖なヨカナーンは、戒律に反する王家の娘であるサロメをとことん拒み通しました。
ついに、サロメは、父王に舞を捧げるのと引き換えに、ヨカナーンの首を要求し、斬首された彼の首に思いのままに口づけたのでした。

「サロメ」のイメージとしたら、リチャードが父に抱く狂おしい慕情を恋慕にも似たものとして表現するとともに、彼が、実は「女」であるとほのめかしておられるのかなあとも。

聖書の話題つながりで。
第5話、マーガレット王妃手作りのにせの王冠を被せられたパパさんの姿は、茨冠を被せられたキリストを彷彿とさせました。

◆第6話の終盤、リチャードがパパさんの死の時の状況を知るくだりがうまいと思いました。

今までも充分に、リチャードがボズワースで退かなかった動機付けがなされてきました。
「父は誓おう、王となった今、二度と戦場で退かぬ」(第4話)

そして今、父の最期の様子をリチャードは知りました。
父は、大軍に囲まれてなお、一歩も退かず、最後まで勇敢に闘ったのだと。

ここまで知ってしまえば、リチャードは、もう戦場で退くことなんでできないじゃないですか。

◆「薔薇王子の憂鬱」
母親譲りの美貌であったエドワード王太子。
父親似だと思ってました。母親似だったのね。

たしかに、長いまつげに縁どられた眦の切れ上がった、きっつい目つきはマーガレット王妃によく似てます。

容姿も性格も母親似ってことは、不義の子フラグなのかなあ?
しかし、ヘンリーさんもまつげビシバシだし、さらっと流れる髪の感じも似てます。

なによりも、あんな情けない父親であっても、エドワード王太子は父を慕って、と断言するには情報が足りないですが、母や臣下のように疎んじたり、軽侮したりする様子はありません。
ヘンリー六世を、ちゃんと、「父」として接しています。

エドワード王太子にとって、父はヘンリー六世以外ありえないのではないでしょうか。
だから、この子の為にも、「不義の子」フラグは、ミスリードだと思いたい。

ついでに書くと、従者さんのセリフから推測すれば、最低でも十数歳(十五、六歳)の齢(※)にして、王太子の身分で、美形と、女が寄ってくる好条件を揃えているのにも関わらず、リチャードの微乳が乳に触った初体験(←推測)であるくらい堅物なのも、ヘンリー六世似ではないかと。

(※)わたしは、数年とか数分との「数」は、「五、六」だと認識しているのですが、一応、ぐぐったら、「現代語の『数』は、『二』を含み、ほぼ『三』から『六』までの数を表す」との意見もあるようです。
ただし十数年が十二、三年としても、新生児期からではなく、幼児期からの仕官と考えれば、十五、六歳であてはまると思います。

◆「次期国王」の四文字が、悲しい。

◆食事が手づかみであるのが、歴オタとしては嬉しい。

◆「随分胸クソ悪いお名前ですのね、リチャードなんて」(by マーガレット王妃)

貴女の愛息も、その胸クソ悪いヨーク公リチャードさんの長男と同じ名のエドワードなんですけど(笑)。


石原孝哉「幽霊のいる英国史」
「幽霊付き」「出る」となれば、その不動産の価値まで上がるという、怖いもの好き、古いもの好きの英国人。英雄、裏切り者入り乱れ、権謀、スキャンダル渦巻く長い英国史には、ところどころに目印のように幽霊が立っている。一見おどろおどろしいそれらは、しかしよく見れば、声をあげない民衆の目に映った、別の姿の歴史を指し示している。そうした伝承の歴史に目を凝らし、今も残るゴースト伝説の地を訪ね歩いた、ユニークな読物・英国史。(Amazonより引用)

リチャード三世の幽霊話はありませんが、リチャード三世の「悪行」について言及してくださってます。著者はリチャードに好意的な気がします。
ちなみに、幽霊大好きの英国なのに、リチャード三世の幽霊伝説は見当たらない模様。
シェイクスピアの「リチャード三世」で大活躍なので、幽霊伝説が作られる隙がなかったのか。
無念の想いを抱えて地上にとどまるよりも、潔く天上に駆けて行って下さってた方が嬉しいですけどね。愛妻も愛息も、父も兄たちも待ってただろうし。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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コメント
この記事へのコメント
No title
感想お疲れ様でした。

作者山が史実のリッチーくんも好きだと
聞いてほっとしているこの頃です。

某劇作家、おまっっっと苦々しく思っていること知って
ますます打ち切りにならずにこのまま走って下され、と思います。
今の所人気ある様子ですが・・・

2014/04/11(Fri) 20:56 | URL  | つんた #d58XZKa6[ 編集]
>つんたさま

こんばんは。
コメントありがとうございます。

> 作者山が史実のリッチーくんも好きだと
> 聞いてほっとしているこの頃です。

シェイクスピア・ベースでもいいのですが、わたしも、そうお聞きしてほっとしました。

> 某劇作家、おまっっっと苦々しく思っていること知って
> ますます打ち切りにならずにこのまま走って下され、と思います。
> 今の所人気ある様子ですが・・・

とりあえず、うちのブログの感触だと、わたしが推してるローマ史まんがたちより、反響大きいみたいです。
世間的にどうなのかはわかりませんが・・・。
四話かけてパパさんの死と、思ったよりゆっくり進んでいて、今後もイベント盛りだくさんであることを思えば、作者さんの構想通り無事続いて無事着地してくれーと、わたしも思います(切実)。
2014/04/11(Fri) 21:37 | URL  | サラ #-[ 編集]
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