2014年07月29日 (火) | Edit |
リウィアさま贔屓のわたしが、ローマ史関連の一般向け歴史本を読む時、チェックしてしまうのが、「リウィアさまについていかなる見解を採用しているか」

目安として○、△、×の「リウィア・ポイント」なるものを用いております。
分類の基準はおおざっぱに次の通りです。

○…リウィアさまをアウグストゥスを支えた賢夫人、あるいは良妻として記述している。もちろん、後継者争いにおける暗殺の首謀であることは否定している、あるいは言及していない。

△…リウィアさまの「悪行」について否定的ではあるが、明確に否定していない。

×…タキトゥス、及びディオ・カッシウス史観そのまんま、「夫の後継者候補皆殺しの黒幕」として記述している。


以下、勝手にリウィア・ポイント判定。
なお、言うまでもありませんが、これはお遊びです。

リウィアさまの「悪行」について、ちゃんとした学者による、まともな研究書は、問題にもしない、あるいは否定の立場であるのが主流なので、当然それらを参考にした誠実なローマ史本であれば、リウィア・ポイントが×だったり、△だったりしても著作全体が不出来であるとは申しません。

ええ、不出来とは申しませんとも。

裾野が広ければ広いほど、ピラミッドは高くそびえたつことができます。
ゴシップ重視の、ちょいちょいとスキャンダルをかじって、下種な視点に終始した歴史本だって、底辺にあって頂点を支えてくれているのですから、不出来とは申しませんとも。
大事なことなので三度述べました。


★★★★★★★★★★★★★★★★
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」
著者:塩野七生
大型本: 345ページ
出版社: 新潮社 (1997/07)
リウィア・ポイント:○

この大ベストセラーが「くされ大馬鹿与太話」を記述しなかったおかげで、どれだけ助かっているか…。


★★★★★★★★★★★★★★★★
「マンガ ローマ帝国の歴史2 アウグストゥス、揺るぎなき帝国の礎」
監修:小堀磬子
作画:さかもと未明
単行本:294ページ
出版社:講談社 (2007/4/21)
リウィア・ポイント:◎

徹頭徹尾リウィアを良妻として描いてくれてる和書って、現時点では、本作ぐらいじゃないでしょうか。

関連過去エントリ:【さかもと未明作画「マンガ ローマ帝国の歴史 2」アウグストゥス、揺るぎなき帝国の礎】


★★★★★★★★★★★★★★★★
「世界の歴史 ローマ帝国とキリスト教」

著者:弓削達
文庫: 443ページ
出版社:河出書房新社 (1989/08)
リウィア・ポイント:○

アウグストゥスとリウィアに触れた部分での「二人の愛は急速に燃え上がった」は、歴史解説本とは思えぬ筆致にこちらが照れた。(「レーヌスのさざめき」内「弓削達さんに合掌」より引用)



アウグストゥスの臨終の言葉として「私がこの人生の喜劇で、自分の役を最後までうまく演じたとは思わないか」云々のみを引用している書籍が多いのですが、この本ではリウィアへの愛の別れ「我々の結婚生活を忘れずに生きてくれ、さようなら」も記述して下さってます。


★★★★★★★★★★★★★★★★
「ローマ帝国一五〇〇年史」
著者:阪本浩
単行本(ソフトカバー): 143ページ
出版社:新人物往来社 (2011/7/12)
リウィア・ポイント:○

「夫を支えたファースト・レディー」として紹介して下さってます。グッジョブ!


★★★★★★★★★★★★★★★★
「古代ローマ一千年史」
著者:グリエルモ・フェレーロ
大型本:639ページ
出版社:騎虎書房 (1988/09)
リウィア・ポイント:○

「高貴で大きな才能を備え、ローマ貴族精神の伝統の化身のような」女性として賞賛されています。
メッサリナ、小アグリッピナ等、悪女として名高い女性たちについても、スキャンダラスな視点を排し、それぞれ皇帝家の女性としてふさわしく振るまおうとしていたとの見解を述べておられます。全体に非常に上品な視点だと思いました。


★★★★★★★★★★★★★★★★
「古代ローマ歴代誌 7人の王と共和政期の指導者たち」
著者:フィリップ・マティザック
単行本:340ページ
出版社:創元社 (2004/09)
リウィア・ポイント:○

伝承ではリウィアは冷酷な策略家であり、我が子であるティベリウスを帝位につけるため、何人ものライバルたちを毒殺したとされる。しかし、彼女が夫を助けた忠実な妻であったということ以外に、たしかな証拠は残されていない。(p334より引用)(太文字強調管理人)


★★★★★★★★★★★★★★★★
「ダークヒストリー3 図説ローマ皇帝史」
著者:マイケル・ケリガン
単行本:324ページ
出版社:原書房 (2010/10/25)
リウィア・ポイント:○

一読するとリウィアを擁護しているように読めて、やっぱり悪人説であるのかと思わせ、しかし結論としてはリウィアの犯罪を否定しているように読めました。



一般の人が入手しやすく、かつ、読むのが容易な和書のみをいくつか挙げました。
ジャンルを洋書及び論文に広げればもっと増えます。

れっきとした学者のちゃんとした研究書、論文であれば、後継者争いへのリウィアの関与は認めても、連続暗殺については「根拠の無い巷説」として受け留めている状況が主流となっている、が、わたしの印象です。

なお、×本は本館で既に採りあげ済みなので再度話題にする気にならず、結果、○本ばかりになりました。

リウィア・ポイントが×ひとつどころか、×無限の著書は、本館「磨羯宮(まかつきゅう)」内、「◆Library of Livia」の「◆書籍の種類ごと(フレーム有)」中「要注意本」に挙げています。
「読むな危険!」「あなたが知らなくていい世界」です。
これら要注意本が述べるリウィアについての記述は眉に唾をつけてお読みください。

関連前エントリ:「リチャード・ポイント、リウィア・ポイント(その1)」

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

↓「日本ブログ村」に参加しています。記事がお気に召したらクリックを!励みになります。
にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 漫画ブログへ
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック