2014年09月08日 (月) | Edit |
武田信玄の正室、三条夫人が小説とドラマから受けた風評被害は、リウィアさまへのそれと似ているので、三条夫人贔屓の人たちが彼女のためにがんばっている様子には、好意こそ抱いても、反感などありません。

ある小説で「悪妻」として創作された。

TVドラマ化された。

後発の歴史本、小説が史料の裏付けなく「悪妻像」を踏襲した。

これだけいろいろな本が「悪妻」と書いているんだから、実際にも三条夫人は「悪妻」だったんだろうとの認識が一般に広まった。

これってひどすぎない!?そうともひどい!三条夫人の真実の姿を知ってほしい!!との憤りが他人事とは思えなくて、読んでて共感するところが多く楽しいです。
畑違いなので三条夫人派の中に「リウィアさまも同じなんです!わたしもリウィアさまのためにがんばってるんです!!」と、しゃしゃりでることはしません。ですが、自分とこで話題にすることくらいはいいでしょう。

話題にしたくなったのは、三条夫人派の主張で、一点だけ共感できなかったことがあったからです。

それは、夫婦仲の睦まじさの根拠に「子どもの数の多さ」を持ち出していること。
「三条夫人と武田信玄は六人の子どもを儲けたのだから夫婦仲は良かったにちがいない」と。

シビアに言ってしまいますが、愛はなくとも子はできます。強姦でも妊娠は有り得るくらいです。歴史を紐解けば、愛なき子沢山夫婦の例はいくらでもあります。

◆ハノーファー選帝侯エルンスト・アウグストと妃ゾフィー、七男一女。
結婚当初から冷え切った夫婦仲でしたが、末子など夫45歳、妻44歳の時に儲けています。

◆プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世と妃ソフィー・ドロテア、七男七女。

◆ブラジル皇帝ペドロ1世と妃マリア・レオポルディナ・デ・アウストリア、二男五女。
皇帝は愛人ドミティラに夢中で、ドミティラが皇后マリア・レオポルディナを蔑にした振る舞いに出ても咎めないくらいでした。それでも、皇后が逝去するまでの7年で7人の子を儲けています。

確実な避妊法なんて現代に至るまでなかったのですから、子沢山は「夫婦が同棲していたという証拠」(ジョセフィン・ティ「時の娘」より、グラント警部の言葉)にこそなれ、愛が介在した証明にはなり得ないでしょう。

また、「子沢山」にこだわっていると、「三条夫人が子どもを儲けたのは二十代半ばまで。若さを失うとともに夫の愛も衰えたのだろう」との意地の悪い横やりの入る隙を作ることにもなりかねません。

三条夫人派が「三男三女」を持ち出すのは、単に三条夫人を擁護したいからだけでなく、側室諏訪氏への対抗の為もあるように思いました。
三条夫人とは対照的に、「武田信玄最愛の妻」として語られることの多い諏訪氏は、子どもを一人しか儲けていません。
だからこそ、諏訪氏派に突きつける武器として、「子どもの数こそ愛の証。三男三女の母である三条夫人はちゃんと愛されていた。否、一人しか産めなかった諏訪氏より愛されていた。」と主張したいのでは。

贔屓の人物を貶められる不愉快さ、腹立たしさわたしも十分に味わってきたので、三条夫人派を批難しているのではありません。

とはいえ、「子沢山」を夫婦愛の根拠に持ち出すのはなんだかなぁと。
愛の証というならば、武田信玄が死に際して妻の菩提所に葬られることを望んだ、この一事でも十分ではないでしょうか。
(参考:上野晴朗著「信玄の妻 円光院三条夫人」

とある歴史サイト掲示板にて、三条夫人の話題の流れで、三条夫人擁護の立場に寄り添い、「子沢山=夫婦愛の証」の意見を尊重しつつも「身近に例があるので、子沢山必ずしも愛があった証とは思えません。」と、やんわり返しておられた方がおられます。感心しました。
「賛同」以外の書き込みってなかなかしにくいですから。

会話の流れから推し量るに、その方がおっしゃる「身近な例」は、「夫婦仲の悪い子沢山夫婦」ではなく、「仲がいいけれども子宝に恵まれない夫婦」であろうと思えました。
たしかにね、仲がよくても子宝に恵まれない夫婦もいるのに、「子沢山=夫婦愛の証」だ!との主張は少々配慮に欠けますよね。

批難がましいことを書きましたが、好きな人物の為にムキになる気持ちはわかります。
わたしは三条夫人の為に頑張っている人たち、好きですよ。
ただ、「子沢山=夫婦愛の証」と決めつけられたら、アウグストゥスとリウィアなんてどうなるんだと。
・・・結局、これを言いたかったのでした。

再録エントリですが、以前いただいたコメントは未再録です。ご了承ください。
コメント、ありがとうございました。


しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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