2014年11月08日 (土) | Edit |


Part1  Antony in the East(41B.C. to 40B.C.)

今回は、リウィアの悲惨な結婚生活を紹介します。

悲惨である唯一にして、大元の原因は夫のネロさんだと断言されています。
高い身分のほとんどの娘と同様に、リウィアは結婚まで夫について、ほとんど知りませんでした。
得ていた知識は近い従兄であることくらいです。
結婚以前にほんの数回顔を合わせる機会がありましたが、クラウディウス・ネロ間抜けで、軽蔑を抱かずにはいられないうえ、彼の人間性には本能的な嫌悪さえ湧きました。

“Dark herself, she admired men with golden hair and light eyes.
Intelligence herself, she admired men with great intelligence.”
彼女自身が濃い髪色と瞳なので、黄金色の髪と明るい色の瞳の男性を崇拝した。
彼女自身が聡明なので、偉大な知性を持つ男性を崇拝した。

不幸なことに、ネロさんはどちらも持ち合わせていませんでした。

父の取り決めによって、15歳で結婚します。
性愛について無知なまま育ったため、結ばれた事によって、さらにネロに反感を募らせてしまいます。

「性愛について無知」云々の個所は、原文では、「彼女が育った家には、少女が肉体的な愛について学ぶための、性的興奮を高める壁画(原語はpriapic wall paintings)や男性器をかたどったランプ(原語はphallic lamps)もなかったので」と書かれています。
普通の家庭に、そんな娼家みたいな装飾があるのでしょうか?
あるいは、「なかったから」男性の情欲や行為について無知であったことを強調したいのでしょうか?
そして、無知なまま婚礼の夜を経験することになった為、嫌悪だけを持つことになり、後々の、性愛よりは権力を志向する傾向に結び付くのでしょうか?

一方ネロさんも、金髪で明るい色の瞳の女(原文ではlovers)が好みでした。
ネロさんがリウィアと結婚して見出した喜びは、彼女の高貴な血統と、資産だけです。

リウィアは頭が良いので、結婚してすぐに、夫のネロがみなに嫌われていることを察します。
人々が彼を大目に見ているのは、貴族の身分と、結果として得ているローマでの地位ゆえであると。
機転が利かなくて無駄話が多いと聞かされている、カトー・ウティケンシス(小カトー)だって、ネロに比べれば素晴らしい神のようだわ!と思います。

夫への嫌悪から、リウィアは息子も嫌っています。
ティベリウスは、黒髪と濃い瞳、痩せていて、背が高くて、厳めしく、少々聖人ぶった所があります。

おい、2歳児でしょう、聖人ぶったはないでしょう、とツッコミかけたのですが、すぐに「2歳にしては」との一文が続いていました(笑)。作者も2歳では不自然と思ったのでしょう。

ティベリウスは、父に躾けられた通りに、母親を批判するように仕向けられていました。
そして、他の小さな子供とは異なり、逃亡前まではずっと父の仲間と一緒に過ごしていました。

リウィアは、最近夫が、息子と彼女を親しくさせようとするのを、逃避行の仲間が彼女の貞操に手を出そうとした時の用心ではないかとではないかと疑っており、苛立っています。
バカにはわからないのかしら。わたしが、品位を落とす振る舞いをするはずないってことが!

夫のネロがルキウス・アントニウスの破滅的な企て(ペルージアの戦いを指す)に協力するまで、父や夫から、リウィアは家に引きこもるように暮すよう仕向けられていたようで、著名なローマ人が語るところをちらりと見ることさえ許されなかったと説明されています。
マルクス・アントニウス、レピドゥス、セルウィリウス・バティア、グナエウス・デキムス・カルウィニス、オクタウィアヌス、そして彼女が15歳の時死んだカエサルさえ、見たことがなかったらしいです。
カエサルすら見たことがないって、どーゆー暮らしですか・・・。
ここがわたしの読み間違いでなければ、夫のネロさんだけでなく、父親も娘に厳しすぎる。

だからこそ、アントニウスに招待されたこの日、態度には出しませんでしたが、「世界最高の実力者と食事をするのだ」と、リウィアはとても興奮していました。

では、次回、リウィアとアントニウスの会食の模様に続きます。

再録エントリですが、以前いただいたコメントは未再録です。ご了承ください。
コメント、ありがとうございました。


しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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コメント
この記事へのコメント
どもども!
やはり、そうでしたか!
僕も小説を書いていて、どこかリウィアさんの元夫はあんまりいい性格をしていないような気がしたんです。リウィア様がカエサルすら見たことが無いという感覚も、なんとなくわかるような気がします。たしか14歳の結婚式と同時期にカエサル暗殺でしたよね?

2014/11/17(Mon) 12:57 | URL  | Josh #r13xZNus[ 編集]
Re: どもども!
>Joshさま

> やはり、そうでしたか!
> 僕も小説を書いていて、どこかリウィアさんの元夫はあんまりいい性格をしていないような気がしたんです。

いやいやいやいや、本作「Antony and Cleopatra」はColleen McCulloughさんによる小説ですから!
創作の一例としてお読みください。

ティベリウス・ネロさんは、このMcCullough版と、Massie版ではゲスい人物造形で、Vassの小説「Tiberius, Reluctant Caesar」では好人物となってます。

皇帝伝のティベリウスの章と、キケロの書簡集にごくわずかな足跡を残すのみで、人柄を伝えるエピソードはないので、彼の人物造形は、作家の胸三寸だと思います。

>見たことが無いという感覚も、なんとなくわかるような気がします。たしか14歳の結婚式と同時期にカエサル暗殺でしたよね?

作中ではともかく、リアルでは、結婚年は断定できません。
ティベリウスの誕生日から逆算して、BC43年2月以降ではない、と推測できるくらいです。
作品によっては(DVD「ローマン・エンパイア」)、親族間の結束を強める為として、カエサル暗殺後に設定しています。
この結婚時期も、作り手が腕を振るえる場でしょう。
2014/11/18(Tue) 20:02 | URL  | サラ #ndrEhoxc[ 編集]
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