2016年11月17日 (木) | Edit |
旧エントリ「ジョン!ジョーン!!ジョーーン!!!ジョーーーン!!!!」にヨーク公リチャード・プランタジネット(リチャード3世のお父さん)の件を追記しました。


◆ランカスター公ジョン・オブ・ゴーント、あるいは、「ジョン!ジョーン!!ジョーーン!!!ジョーーーン!!!!」

かっこ内の叫びはサブタイトルの一部でもあり、わたしが想像するジョン・オブ・ゴーント殿の心中でもありますw

今回のエントリの元ネタは、英語版wikiさん「John of Gaunt, 1st Duke of Lancaster」内の「7.3 childern」です。
「John」が繰り返し命名されてます。

● 最初の正妻ブランシュ・オブ・ランカスターが産んだ長男がジョン(1362―1365)。
長男ジョン死亡と入れ替わるように生まれた三男にジョン(1366―1367)。

● 愛人キャサリン・スィンフォードが長男を産むとジョン(1373―1410)。

● 後妻コンスタンス・オブ・カスティリアが産んだ長男に、愛人の産んだ長男と重複しても、やっぱりジョン(1374―1375)。

ランカスター公ってば、聖ジョン(聖ヨハネ)をよっぽど敬愛してらしたのね!

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

すみません。すべったでしょうか・・・。

だって、Wikiさん眺めただけだけで決めつけるってよくないと思ったので。

ジョン・オブ・ゴーントのことを、ひたすら、ただひたすら、息子に自分の名を残すことに執着した、強烈な自己愛の持ち主だと決めつけるのは。

聖ヨハネの熱烈な信者だったのかもしれんし。
ジョンと名乗る恩人がいると言う、意外と単純な理由かもしれんし。

理由はともあれ、我が名でもある「ジョン」に執着していたランカスター公ジョン・オブ・ゴーントです。

(ランカスター公爵ジョン・オブ・ゴーントが愛人キャサリン・スウィンフォードのとの間に儲けた)長男ジョンはサマセット伯爵となり、(中略)ランカスター公爵の子どもたちのなかでは異母兄ヘンリー四世に次ぐ有力貴族となった。
ランカスター公爵が、キャサリンとのあいだに生まれた長男ジョンの昇進と叙爵に異常なほどの熱を入れたのには特別な理由があった。
サマセット伯ジョンは1372年に生まれたとされている。(中略)キャサリン・スウィンフォードの夫ヒュー・スウィンフォードは1372年11月11日まで生きていた。したがって、ジョンは不義の子ということになる。それで、果たしてジョンがほんとうにランカスター公爵の子どもかどうか疑う人もいた。(中略)公爵はジョンが自分の息子であることを世間に認めさせようとして、ジョンの昇進と叙爵に異常なほど熱を入れたのである。
(石井美樹子「イギリス・ルネサンスの女たち」第二章より引用)



石井美樹子さんのご意見に加えて、ジョンと名付けた息子たちのうち、「唯一」成人してくれた息子であるゆえの愛着も、「ジョンの昇進と叙爵に異常なほど熱を入れた」大きな動機だったのではと提案いたします。

■サマセット伯爵ジョン・ボーフォートの生年について。
英語wikiでは1373年
「イギリス・ルネサンスの女たち」では1372年
日本語wikiでは1371年頃

◆ヨーク公リチャード・プランタジネット

リチャード3世、エドワード4世のお父さんです。
この人は、ジョン・オブ・ゴーントとは対照的で、自分の名を用いることはうっちゃらかしてて、末っ子も末っ子、順番で言えば12人目、息子としては8人目に当たる子どもに、やっと自分の名の「リチャード」をつけています。

1)女1 ジョウン・オブ・ヨーク(Joan of York, 1438年‐1438年)
2)女2 アン・オブ・ヨーク(Anne of York, 1439年8月10日‐1476年1月14日)
3)男1 ヘンリー・オブ・ヨーク(Henry of York, 1441年2月10日‐?)早逝
4)男2 エドワード4世(1442年4月28日‐1483年4月9日)
5)男3 ラットランド伯エドムンド(1443年5月17日‐1460年12月31日)
ウェイクフィールドの戦いで敗死
6)女3 エリザベス・オブ・ヨーク
(Elizabeth of York, 1444年4月22日‐1503年1月以降)
サフォーク公ジョン・ドゥ・ラ・ポールと結婚。
7)女4 マーガレット・オブ・ヨーク(1446年5月3日‐1503年11月23日)
ブルゴーニュ公シャルル(突進公)妃
8)男4 ウィリアム・オブ・ヨーク(William of York, 1447年7月7日‐?)
9)男5 ジョン・オブ・ヨーク(John of York, 1448年11月7日‐?)
10)男6 クラレンス公ジョージ(1449年10月21日‐1478年2月18日)
ウォリック伯の娘イザベル・ネヴィルと結婚
11)男7 トマス・オブ・ヨーク(Thomas of York, 1451年‐?)
12)男8 リチャード3世(1452年10月2日‐1485年8月22日)
13)女5 アースラ・オブ・ヨーク(Ursula of York, 1454年7月22日‐?)

妻のシセリィさんとずっと連れ添っていたので、記録にある初産(1438年)から14年目の命名です。

シセリィさんが多産、そして、13人の子どものうち8人が男子だからよかったものの、未来は常に未確定。八男五女に恵まれる確信もなかったでしょうに、生まれる男子への命名は7人目まではリチャード以外。
もし、男子が7人で終わってたらどうするつもりだったんでしょう?

リチャードの後に一人生まれていますが、リチャード誕生時、ヨーク公は41歳、シセリィさんは37歳です。
のんきなヨーク公もさすがに、妻の年齢を慮って最後の子になるかもしれないからと、「リチャード」を引っ張り出してきたのか・・・?
(ただし、37歳って、チューダー朝、16歳の王太子アーサーに先立たれたエリザベス・オブ・ヨークが、「わたしにはまだ懐妊する力があります」と、夫を励ました年齢より1歳年長なだけなんですが。)(まあ、アラフォー女性の懐妊能力は1年経るごとにより厳しい勝負でしょうね。)

そして、ヨーク公夫妻の子どもたちの名前を見てると、父の「リチャード」が滑り込みみたいな形で命名されてるうえに、娘たちの誰にも、母シセリィさんの名が与えられてない。
我が名にあんまりこだわらないご夫妻だったのでしょうか。

余談。
ヨーク公が最初の息子(1411年生)に「ヘンリー」と命名したのは、多分、当時の国王ヘンリー6世との関係を考慮した為ではないかと思います。
ヨーク公夫妻の子どもたちの命名の意図を調べれば面白そうw

後のチューダー朝、ヘンリー7世は政治的な思惑から自分の名ではなく、アーサー王伝説にちなんだ「アーサー」と命名しました。
そして、次男を「ヘンリー」と名付けました。

もし、ヨーク公がヘンリー7世同様、次男に自分の名をつけていたら?
エド兄さんが「リチャード3世」と呼ばれていた可能性もあるのだな(笑)。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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コメント
この記事へのコメント
自分と同じ名前
 名前に対する習慣・感覚は文化で違うものですが、ここで挙がっているように近い時代の同じ国で対照的な例は面白いですね。
 バラ戦争関連の系図をながめる機会はありますが、エド4やリチャ3のきょうだいがこんなに多いとは知りませんでした。やまざき貴子『マリー・ブランシュに伝えて』のマリー・ブランシュはエドの妹という設定でしたけど、有名でないきょうだいが実際にわやわやいたならば架空キャラの一人くらいつくっても全然おかしくないな~と改めて感じました。
(なんでイングランドなのにフランス語の名前なのかとツッコミたくもありますが、メアリ・ブランチではロマンチックじゃないですね)
2016/11/27(Sun) 13:57 | URL  | レーヌス #t1rTeCTA[ 編集]
Re: 自分と同じ名前
>レーヌスさま

>  名前に対する習慣・感覚は文化で違うものですが、ここで挙がっているように近い時代の同じ国で対照的な例は面白いですね。

生年だけ比べると70年違うのですが、対照的なとこは面白いです。
名付けだけ見てると、ジョン・オブ・ゴーントはやっぱり王位への野心があったんじゃないの?とか、ヨーク公爵リチャードは言われるほど王位への野心はなかったんじゃないのか、とか。

>  バラ戦争関連の系図をながめる機会はありますが、エド4やリチャ3のきょうだいがこんなに多いとは知りませんでした。やまざき貴子『マリー・ブランシュに伝えて』のマリー・ブランシュはエドの妹という設定でしたけど、有名でないきょうだいが実際にわやわやいたならば架空キャラの一人くらいつくっても全然おかしくないな~と改めて感じました。

無名の実在の姉妹をあてはめるよりも、架空の方がいいなと思いました。

> (なんでイングランドなのにフランス語の名前なのかとツッコミたくもありますが、メアリ・ブランチではロマンチックじゃないですね)

はい、そこは「マリー・ブランシュ」で(笑)。
2016/11/28(Mon) 21:01 | URL  | サラ #ndrEhoxc[ 編集]
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