2015年03月24日 (火) | Edit |


Part2  Octavian in the West(40B.C. to 39B.C.)

いよいよ、西方で苦闘中のオクタウィアヌスにスポットが当たります。
Part2の前半は、オクタウィアヌスとスクリボニアの結婚、オクタウィアとアントニウスの結婚、後半にリウィアとオクタウィアヌスの出会い、求婚、それぞれの離婚、再婚が描かれます。

まずオクタウィアヌスとスクリボニアの結婚のいきさつから紹介します。

シキリア島を占拠し、ローマへの小麦の輸入を妨害しているセクストゥス・ポンペイウス対策を検討する中、オクタウィアヌスは、マエケナスに交渉を指示します。
ポンペイウスの舅の妹にあたるスクリボニアとの政略結婚も含めて。

「スクリボニアは三十代だ。コルネリアという娘がいるが、その娘ですらもう結婚できる年齢になっている」
「リボの妹が幾つだろうがかまうものか!女の構造などみな同じだろう、歳がなんだっていうんだ?少なくとも彼女には、フルウィアのような売春婦(strumpet)の汚点はないさ。」

フルウィアを売春婦と罵っている理由はよくわかりません。
フルウィアが事実そうだったというより、侮辱として用いただけのように思えますが、確信は持てません。

オクタウィアヌスの強気な言葉を聞きつつ、そこに集う三人(アグリッパ、マエケナス、ルフス)は、今度の結婚は今までのようにはいかないよなあと、少々同情を抱いて黙っています。
フルウィアの娘は生娘のままですませた。
けれど、今度はリボの妹と寝なければならない。寝て、望ましくは、子供を作らなければならない。
肉欲全てに関しては、大カトーのように堅物なオクタウィアヌスだ。願わくば、スクリボニアが醜くも、愚かでもないように、と、皆、何も見えず、聞こえず、口もきけないかのようにテサロニケ風の床を見つめました。

「肉欲全てに関しては~」は、解釈に困った一文です。
原文は”In all things of the flesh he was as big a prude as Cato the Censor , ”
“prude”には「(男女関係・性的なことに)堅物の人」の意味があるので、前述の解釈をしたのですが、他に「上品ぶった人、カマトト」の意味もあります。
大カトーは「監察官」の仇名を奉られる堅物でしたが、妻の死後とはいえ老齢になってから、若い奴隷娘に手をつけて、それを息子に批判的に見られたら、若い娘と再婚した人物なので、後者の意味が用いられた可能性もあります。
特に、史実からすれば、アウグストゥス(オクタウィアヌス)は、好きもの、浮気者だから当然「上品ぶった人」の意味が適切な気がします
が、どうもマクロウ版でのオクタウィアヌスは異なるようなので、「堅物」を念頭において解釈しておきます。

しかし、生息子でもない男が、今度の結婚はきちんと完遂しなきゃならないといって、本人どころか、周囲の面々まで痛ましく見つめている有様は不可解です。ネットスラングを用いれば草不可避。
正直なところ、なにが大問題なんだ?といった気分です。

この後、マエケナスとルフスが退出し、一人残ったアグリッパに、オクタウィアヌスは寂しそうに微笑み、溜息とともに、本音を洩らします。
「アグリッパ、リボの女に耐えられればなあ!妻に関しては、わたしは全く運がない」
アグリッパは友を労ります。
「いつか、君自身のために女性を選ぶことができるさ。セルウィリア・ヴァティアでもなく、クローディアでもない女をな」と。

さて話題が変わって、オクタウィアヌスは、フルウィアが血管を開いて自殺したことをアグリッパから知らされます。
売春婦と罵った相手ですが、本心から深い悲しみに包まれ、彼女はローマの歴史の一部であったと称え、遺灰と墓、そして遺児たちの今後についてアグリッパに問い、子どもたちは姉オクタウィアに任せるように指示します。
姉は自分の三人の子供たちだけでは十分ではなく、常に多くの子供の世話をしたがっているからです。

ここでアグリッパは、皮肉っぽくオクタウィアヌスの異母妹マルキアのことを考えました。

HBOドラマ「ROME」同様、オクタウィアヌスの母アティアは、本作でも史実からかけ離れた設定になっています。

本作のアティアは、夫ルキウスの死後、義理の息子のルキウスと恋に落ちて娘マルキアを産んでいます。(正式に結婚したか私通かは不明)
オクタウィアヌスは、母の不倫(といっても、夫の死後だから、厳密には不倫ではありませんが)に激怒して、ルキウスともども「二度と戻ってくるな!」とローマから追放し、母アティアを公には死んだものとしています。

残されたマルキアは、心やさしきオクタウィアが面倒を見ていますが、オクタウィアヌスはこの異父妹に全く愛情はありません。

後々判明しますが、オクタウィアヌスは子供好きで、リウィアの連れ子二人、姉の子供たち(実子、継子ともども)を心から愛し保護しています。
子供たちの縁組に際しても心をくだきますが、マルキアだけは、田舎者にでも奴隷あがりにでもやればいい、と、冷たいものです。

そして、お話はスクリボニアとの結婚へ。

スクリボニアの人物設定は好意的なものです。
髪と眼の色は濃い茶色。艶やかな肌は綺麗で乳白色。顔立ちも美しく(pretty)、体つきも申し分なし(excellent)。
実年齢は33歳でしたが、次の誕生日で23歳になるオクタウィアヌスとほぼ変わらぬ外見と言われています。
婚礼の席でいくつか言葉を交わすと、彼女が内気ではないけれど、おしゃべり好きでないこともわかりました。学識も深く、読書を好み、オクタウィアヌスよりギリシア語に堪能です。

10歳も若く見えるって、もう女優さんか、モデルさんクラスです(笑)。

そんなスクリボニアと対面して、態度には出しませんでしたが、オクタウィアヌスは密かに喜んでいました。
けれど、彼女のユーモアのセンスは、唯一彼女に対して不安(原文ではqualms、「個人の心の内から生じる感情で、多くの場合、自分の行動や振る舞いに対する不安を表す」)を感じさせました。
オクタウィアヌス自身は、ユーモアのセンスに欠けていて、理解できなかったからです。

スクリボニアさんは、今回の縁談の相手の容姿・人柄を、セクストゥス・ポンペイウスを念頭に思い描いていた(厚かましく、高慢で、未熟で、男っぽく、体臭が強い)のですが、彼女が見出したのは、伝統ある執政官職の落ち着きと美しさでした。
殊にも、その美しさには、悩まされる予感がわきました。
オクタウィアヌスの輝く銀の目は、彼の容姿に鮮烈な彩を与えていましたが、彼女を見つめるその眼には何の熱情もありません。

スクリボニアは、兄からこの結婚の政治的意義を説明され、結婚を完遂し、結果(子ども)を出さなければならないと、いい聞かされてきています。

というワケで、お床入りです。
スクリボニアさんの二度の結婚での経験では、荒々しいものだったのですが、生来慎み深いオクタウィアヌスは、戸口で灯りを消してベッドに案内したので、やり方の違いを受け入れようとしています。
狭いベッドなので、夫となった青年が裸で横にいるのはわかりますが、体に触れることすらしてこないといぶかしんでいたら、いきなり、スクリボニアにのっかかり、膝を使って彼女の足を押し広げ、まだ準備できていなくて、潤ってもいないのに、挿入してきました。
かといって、義務だけの投槍な行為ではなく、熱意を込めた動きです。そして、静かにコトを終えると、彼女からもベッドからも離れ、洗わなければならないからと呟いて部屋を出て行きました。

いっこうに戻って来ない夫に困惑したスクリボニアは、召使に灯りを持ってこさせて寝室をでました。

夫は書斎にいました。
質素な書斎で書類を片手に、もう片方の手にはペンを握っています。
「あなた、よろしいですか?」
「ああ」(ここで、スクリボニアがかつて見た、最も美しい微笑を向けます)
「わたしはあなたを、がっかりさせたのでしょうか?」
「全くそんなことはないよ。君は素晴らしかった」
「こういう事をしばしばなさるのですか?」
「何を?」
「ええ、その…、おやすみになるより仕事をなさるの?」
「常にね。わたしは平穏と静けさを好んでいる」
「わたしはお邪魔してしまったようね。ごめんなさい。もうここには来ませんわ」
「おやすみ、スクリボニア」

という次第で、スクリボニアの事を気に入ったのか、気に入らなかったのか、義務だけなのか、何なのかよくわからないオクタウィアヌスの行動です。
「おやすみ」の小一時間後、新しい妻を気に入ったと考えているようなのですが、いまいち真意がつかめません。
今夜のことで彼女は分をわきまえてくれたようだと思い、スクリボニアに子供を作らせれば、ポンペイスとの協定が堅固なものになるとも考えているようなので。

さて、スクリボニアさんは、翌日、オクタウィアと対面して意気投合し、オクタウィアヌスのエピソードを聞かされました。
特に、オクタウィアヌスが喘息を病んでいることを知り、フィリッピ戦の時も、喘息の発作に悩まされ、湿地帯に避難していた為、アントニウスに惰弱者との中傷を受けたことを知ると、痛ましさに愛情をかきたてられました。

わたしは彼にわたしを愛させることができるだろうか?と悩み、死者とされている母アティア、また彼のかつての妻たちに対する仕打ちに思いをはせるにつけても、祈らずにはいられませんでした。
女神ユノ・ソスピタには子宝を。
ヴィーナス・エルキナにはベッドで夫に喜びを与えられる事を。
ボナ・デアには子宮の調和を。(?原文はuterine harmonyです。意味がよくわかりません)
失望が潜んでいることに備えて、ウェデオウィスにも祈ろう。
そして、希望の女神スペスにも。

スクリボニアさんの容姿・人柄の良さ、健気さを見るにつけ、この後の運命が気の毒すぎます。
では、次回は間接的にスクリボニアさんの運命を変える、出会い編その1、「リウィア、夫と共にローマに向かう」を紹介します。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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