2015年11月03日 (火) | Edit |
まず、チェック・ポイントに入る前に、少女まんがにおけるヒロイン&ヒーローの年齢差を見てみましょう。
適当に選んだうえに、サンプルとして少なすぎますが、そこは個人の趣味ブログなので厳密な検証でなくても苦しからずってことで。

以下、かっこ内がヒロインから見たヒーローとの年齢差。
例えばヒロイン(女キャラ)よりヒーロー(男キャラ)が1歳年上であれば「(+1歳)」、逆に年下であれば「(△1歳)」と表記します。
書名の下に記した年は、作品発表年です。


「あすなろ坂」
作者:里中満智子
(1977年~1980年)(昭和52年~55年)


初代ヒロイン芙美&恋人の帯刀新吾(+1歳)
初代ヒロイン芙美&夫の有馬武史(+11歳)
次代ヒロイン史織&夫の甲野正平(年齢差不明だが夫が年上っぽい)。
次代ヒーロー新之助&妻の珠絵(+4歳から+6歳)。
三代目ヒロインその1詩絵&夫の源宣匠(+2歳)。
三代目ヒロインその2忍&夫の秋月精一郎(+4歳)。
四代目ヒロインみどり&恋人のサーシャ(+6歳)。
四代目ヒロインみどり&夫の加納樹一郎(年齢差は不明だが夫が年上)。

のべ8組ものカプがあるのに、みごと「女が年下、男が年上」パターンばかりですな(笑)。

なお、新之助は珠絵との結婚前の18歳の時に、19歳の遊女のお菊と恋に落ちています。この二人の組み合わせのみ「女が年上」です。
お菊との恋は真剣なものでしたが、新之助と出会った時にすでに労咳が進行しており、結ばれて間もなく亡くなりました。
勘ぐれば、「すぐに終わる恋だから、変則的に『女が年上』となった」のかも。


「ベルサイユのばら」
作者:池田理代子
(1972年~1973年)(昭和47年~48年)


オスカル&アンドレ(+1歳)
マリー・アントワネット&フェルゼン(同い年)

カプ成立しなかった男キャラにも触れると、
オスカル&フェルゼン(同い年)
オスカル&ジェローデル(△1歳)。
オスカル&アラン(年齢差は不明だが、アランが年下)。


「夢幻花伝」(「大江山花伝」に収録)
作者:木原敏江
(1988年以前)(昭和63年以前)

(作品発表年がわからなかったので、検索できた範囲で、一番古い出版年を参考)

亜火&鬼夜叉(後の世阿弥)(+1歳)


「蒼のマハラジャ」
作者:神坂智子
(1990年~1993年)(平成2年~平成5年)


モイラ・バーンス&シルバ・アジット・シン(+1歳)

○ 画像リンクなし ○
漫画じゃないけど、田××樹「銀××××説」
(1982年~1987年)(昭和57年~昭和62年)


ヤ×・××ンリー&フ××リカ(+9歳)
ラ×××ルト・フォン・ロー×××ラム&ヒ×ダ(+1歳)
ユリ××・××ツ&カ×ン(+2歳)
ウ××××ング・ミ×××××イヤー&エ××(+5歳)
ジ×××リート・キ××××ス&ア××××ゼ(△5歳)

男女カプを表記する時、わたしはなるべく女性名を優先しています。男性優先を当たり前と決めつける世間サマへの抵抗として。
でも、この「銀×伝」項目では男性優先にしました。女性名もフルネームは書いてません。愛称のある女性はそれを用いました。
「銀×伝」のジェンダー観に従えば、そうなると思ったので、皮肉を込めて、男性優先にで表記し、女性名は手抜きしました。
そして、昔は好きな小説でしたが、また、面白く読める点もあるとはいえ、今は、「銀×伝」のジェンダー観にひっかかるものを感じる為、伏字を用いました。

ここでぐっと新しい2作品を。


「私がモテてどうすんだ」
作者:ぢゅん子
(2013年~)(平成25年~)


逆ハーレムものにふさわしく、後輩(1学年下)、同級生(同い年)、先輩(1学年上)と、ヒーローはよろず取り揃えております状態であり、連載中なのでヒロインがくっつく相手は不明ですが、第1話を読む限りでは、年上(先輩)っぽい気がしました。

ヒロイン芹沼花依が痩せて美人になって、誰もが「あんた誰?」状態だった時、ちゃんと花依であると認識し、「芹沢さんは芹沢さんだよ(中身は変わってない)」と言ってましたから。

現代のまんがなので、昔ながらの「女は一人の男に連れそうもの」との決めつけを振り払い、ヒロインが男一人に絞らず、一妻多夫のハーレムを形成するエンドにしてくれと願ってます(笑)。

しかし、一妻多夫で仲良く暮らすエンドは、すでに秋里和国さんが為していたのであった・・・。(「THE B.B.B.」)(夫同士も愛しあっているから、夫→妻←夫じゃなくて、妻と夫二人が手をつないで輪を作ってるみたいな関係なんだよな)


「暁のヨナ」
作者:草凪みずほ
(2009年~)(平成21年~)


ヨナ&ソン・ハク(+3歳)
ヨナ&スウォン(+3歳)

2000年代に執筆された架空戦記ものでも、男が年上っすか。。。
そういえば、同じく、架空世界を舞台にした国家興亡物語、「BASARA」(田村由美著)(1990年~1998年)(平成2年~平成10年)も、男が年上でした。

更紗&朱里(+3歳)(+2歳だったかな?)

さて、ここで、興味深いエピソードが含まれる名作を採りあげましょう。

「日出処の天子」
作者:山岸凉子
(1980年~1984年)(昭和55年~昭和59年)

この作品については、年齢差を探るよりも、とあるエピを紹介します。

事情があって、蘇我毛人(そがのえみし)は妹と厩戸皇子の縁談をなんとしてでも阻止せなばならないと決意していました。
皇子から断ってもらう理由として考えたひとつが「妻が年上であること」。
皇子の最初の妻の大姫は皇子より2歳年上でした。毛人の妹の作中での年齢は覚えていませんが、大姫とさほど差はなかったと思います。なので、厩戸皇子より年上には違いないので、どうしても破談にして欲しい毛人は、「大姫に続いてまたもや年上の女」では厩戸皇子にふさわしくないからと、口実のひとつにしてもらおうとします。

女が、たかだか2歳ほど年上ってだけで、破談の口実になるという発想。

蘇我毛人や厩戸皇子の子世代でも同様の口実で、立ち消えた縁談があります。
厩戸皇子の異父妹である佐富女王は、「年上」を口実に、厩戸皇子の息子である長谷王との縁談を謝絶しています。

「女が年上の結婚はあまりよろしくない」
この考え方は、舞台となった飛鳥時代よりも、執筆当時の世間の風潮が作中に反映されてしまった結果ではないかと、わたしは考えています。

世間の風潮が作中に反映されたと言うならば、今回紹介した作品は、全てあてはまるかもしれません。

紹介したカプのうち、わたしは男が年上かつ年齢差1歳(太字強調)のカプにイラッとします。

そりゃ、世の中、男が1歳上であるヘテロ・カプはありふれているでしょうが、作者が作り出すキャラ設定にあたって、「男が優れ、女は劣っていなければならない」「男が女をリードし、守る立場でなければならない」、「男の方が尊敬されなければならない」との意識、あるいは、無意識の表れが、同い年でも成立する男女カプであるにも関わらず、「男が1歳上の設定」に表れたのではと勘ぐっております。
(嫌味ったらしく、出す必要性の強くない「銀×伝」を採りあげたのは、1歳違いのあの二人に触れたかったからです。)

では、和久井香菜子さんによる、次の指摘でもって、この件をしめくくりましょう。

この作品(「いつもポケットにショパン」、引用者補足)は、80年代初頭に描かれたものだが、当時の恋愛環境がよくわかる記述がある。きしんちゃんがマリアさんという女と一緒にいるところを麻子が見て、悶々と焼き餅を焼くのだが、マリアが1学年年上だということを聞いて安堵するのだ。昔、いかに「年上の女と年下の男のカップル」があり得なかったのかがよくわかる。
(和久井香菜子【少女漫画に学ぶ[ヲトメ心とレンアイ学]】内「『いつもポケットにショパン』編~その2」より引用)



1980年は昭和55年、ちょうど、先述の「日出処の天子」が連載開始となった年でもあります。
なるほど。
「『年上の女と年下の男のカップル』があり得なかった」時代であれば、「日出処の天子」において、女が2歳程度年上であることが、破談の口実になるのもむべなるかな。

ところで、先に引用した和久井香菜子さんの文章には、続きがあります。

今では、中学3年男子と高校1年女子がおつきあいする時代らしいので、昔の、人生がパターン化されていた時代というのは、余計な心配が少なくていいな。
(引用元、同上)



文中で指されている「今」は、2009年5月14日(コラム掲載時)。

現在でも、「女が年上であるヘテロカプ」には、まだまだ偏見が根強いと思いますが、一方で、「年下カレシ」容認の浸透の過程をうかがわせるまんががあります。


「インテリア」
作者:野間美由紀


インテリア・デザイナーである24歳のヒロインと、19歳のヒーローのロマンスを絡めたミステリです。
ヒロインは、恋人となったヒーローと深い仲となっても、自分が彼より5歳年上であることを気に病んでいました。

ところが、ヒーローの海外留学の為一度別れ、5年後に帰国した彼と、再び一緒に暮らすようになってからは、さほど年齢差を気にしなくなってます。

あの時は19歳と24歳ですごく年の差を感じたけれど、24歳と29歳なら、それほどでもないと思えるから不思議ね
世の中が“年下の彼”ブームになったこともあるけど
(「インテリア」シリーズ、6作目「コーディネイト・ブルー」より引用)



この「インテリア」シリーズ、全部で6作なのですが、5作目までと、6作目「コーディネイト・ブルー」は間が空いています。

ヒロインが年齢差を気に病んでいた、1作目から5作目までは、1989年から1990年(平成元年から平成2年)にかけての発表。
この5作品において、ヒロインはしょっちゅう辛気くさい表情をしています(好意的に解釈すれば「憂いのある表情」かもしれんけどさあ・・・)

ヒロインが年齢差を気に病まなくなり、曰く「世の中が“年下の彼”ブーム」と言われている6作目の発表年は1996年(平成8年)。
6作目では、いきいきと明るい表情になってます。

先に紹介してきた漫画の発表年と考え合わせると、1990年代初めころまでは、「『年上ヒロンなど思いつく隙間もないほど』、男が年上であるのが当たり前」であったが、90年代に入って、徐々に「逆年齢差」カプも有りと浸透していった、ってとこでしょうか。

あるいは、昭和とともに、「『年上の女と年下の男のカップル』があり得なかった」時代は去ったのだ、と。





前振りが長くなりました。
では、本文「年上ヒロインものチェック・ポイント」に参りましょう。
先に断っとくと、あくまでも「わたしのチェック・ポイント」です。
そして、チェック・ポイントに固執してませんので、「年上ヒロインもの」に対するわたしの好き嫌い、および、関心・無関心は、チェック・ポイントから外れることもあります。
(例えば、今に至るまで、8歳年上の闊達な姉女房が登場する森薫さんの「乙嫁がたり」に興味が持てないんです。歴史ものでもあるのに。なんででしょ?)

◎ チェック・ポイントその1.
年齢差が1歳や2歳のケチ臭い差ではない。
最低ラインは5歳以上、8歳以上あればまあまあ良し。

◎ チェック・ポイントその2.
ヒロインが年齢差をウジウジと卑下しない。
多少悩むのは有りです。

◎ チェック・ポイントその3.
ライバル女が、ヒロインを「おばん」と貶めない。

◎ チェック・ポイントその4.
年下ヒーローは年上ヒロインへの二人称で「おまえ」を用いない。
最良は「あなた(貴女)」。
次点は「きみ」。
補欠「あんた」。
だが、「おまえ」は駄目だ。

「年上ヒロインに対して『おまえ』と呼びかけない」、この点が一番の難関かもしれません。
男から女への二人称って、「おまえ」が幅をきかせているから。

「おまえ」とは元々「御前」であり、敬意を表する二人称だったと言われても、現代では目下を指す、場合によっては見下した意すら含む二人称です。
親密さんの表れである場合もありますが、じゃあ、女から男へ「おまえ」呼びが通常となりますか?
なりません。親しい仲であっても、女が男を「おまえ」呼びすると乱暴に聞こえます。

それでも、男から女への「おまえ」呼びが幅を利かせている現在、いちいち怒っていてはまんがも小説も読めないので、ヒーローがヒロインと同い年かそれ以上であれば、腹の虫をなんとか、な・ん・と・か・こらえて流すようにしています。

が、年上ヒロイン相手となると、不愉快で不愉快で。
年下のくせに、年上を「おまえ」呼びだとお!?何さまのつもりだーーーーー!。
ヒロインもヒロインだ。年下から「おまえ」呼びされて、気分を害しもせずに受け答えしてんじゃねーーーーーー!!あんたには、プライドはないのかーーーーーー!!!

以下、タイトルは伏せますが、全て「年上ヒロインもの」。
某少年まんが。ヒーロー中学生→ヒロイン高校生、「おまえ」呼び。
某青年まんが。ヒーロー中学生→ヒロイン大学生、「おまえ」呼び。
某少女まんが。ヒーロー小学生→ヒロイン高校生、「おまえ」呼び。
全て不愉快極まりなかったです。

◎ チェック・ポイントその5.
ヒロインが年齢相応に大人の女性である。
ヒロインがテーィンエイジの場合は、大人にはあてはまらないので、年齢不相応に幼稚でないことを求めます。

女に、「男より劣ること」を求める風潮が根強い為、せっかくの年上ヒロインであっても、大人らしい女性ではなく、「年齢にふさわしい成熟も分別もなく、無知で幼稚であどけないバカ女、もとい、可愛い女」と化すことがあります。そんな年上ヒロインはいりません。
わたしが求めるのは、あくまでも、「生きてきた歳月にふさわしい成熟、あるいは成長を遂げたヒロイン」です。

気のせいか、チェックポイントその4.で触れた、「おまえ」呼びを受け入れている年上ヒロインて、みな、非常に「幼稚」に見えました。年下ヒーローのレベルに落ちた、あるいは劣る、アホ・ヒロインでした(わたしの感想です)。





そんなわたしのチェック・ポイントを全て満たした、お気に入り小説は、


関連エントリ:
【秋野真珠「旦那さまの異常な愛情」(その1)】
【秋野真珠「旦那さまの異常な愛情」(その2)】
【秋野真珠「旦那さまの異常な愛情」(その3)】

「旦那さまの異常な愛情」は、わたしが「年上ヒロインもの」に目覚めた記念すべき一作です。
いや、元から「逆身長差」とか、「逆年齢差」に好意は抱いていましたが、「こりゃあいい」と実感したのが、この作品です(笑)。

とりあえず、チェック・ポイントの件は脇に置いて、その他にも、「年上ヒロイン」で、いくつか思い出せる作品を簡単に語ります。


「緋色い剣」
作者:あずみ椋


作中でヒロインであるハルドレの年齢は明示されていませんが、作者さんが公式ガイドブックで「彼女はリュー(男主人公)より一つ、二つ上です」と述べてらっしゃるので、「年上ヒロイン」となります。

ただし、年齢差は二人の間では障害になってません。
なんせ、ヒーローであるリューが、戦闘の成り行きで、ハルドレの夫を殺しちまったんですから、この因縁に比べたら、1歳や2歳の年齢差など。
亡夫を巡る因縁がわりかし早めに解消され、相思相愛になったら、今度はリューが生まれる前からの、オーディンやらロキやら、神々が持ち込む厄介事が押し寄せてくるので、年齢差などにかかずらわってるヒマはなかったです(笑)。

そういえば、リューは、ハルドレを「おまえ」とは呼んでなかったな。
名前の「ハルドレ」、あるいは、「あんた」でした。

アスガルドから帰還した後は、ハルドレと所帯を持ったことでしょうが、亭主になったことで「おまえ」呼びになってたらイヤだな(笑)。


「カルバニア物語]
作者:TONO


15巻現在、エキュー・タンタロット公爵(17歳)は年上のライアン・ニックス公爵(27歳)と恋人同士ですが、5歳年下12歳のフランが虎視眈々とエキューを狙っております。
(ライアンの年齢については記憶頼み。また読み直しとく。)(ていうか、1巻から作中で何年経過してんだ?)

だって、まだ、ただの“恋人”でしょ?
相手も“公爵”だから、とうてい結婚は無理だし、ぼくが成人する頃には、絶対二人は別れてるよ!
(「カルバニア物語」12巻、「モンクレイの呪い」1より)



フランには、ハイゼン公爵令嬢リンゼイとの恋愛フラグが立ってるのですが、わたしはライアンは偉そうで好きじゃないので、フランに是非ともエキューをゲットしてもらいたいと思ってます。

他にも西谷祥子「ぼくのおばさん」とか、小野双葉「ロンドン橋」とか、和月伸宏「武装錬金」とか、いろいろあるんですが、めんどくなったのでここまで。

とはいえ、念のため追記しておくと、西谷祥子「ぼくのおばさん」は、おばと甥の禁断の恋物語じゃないですよ。
4歳年上の闊達できびきびしたおばに憧れていた男主人公が、そんなおばに似た内面の持ち主である1歳上の先輩女性(外見はおばと異なるしっとり系美人)とつきあうようになる短編です。
あ、結局説明しちゃった。

今度こそ終わり。

関連エントリ:【吉永小百合夫妻では安心できまい】

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

ところで、わたしは、「武装錬金」では斗貴子&剛太のカプ推しでした。。。ええ、本編で成立する日はないとわかっていましたが。

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