2015年11月11日 (水) | Edit |
(注意)ネタばれに配慮していません。性的に露骨な言葉も用いています。

本エントリで採りあげる二作品は、

(1) あらすじを拝見した限りでは読みたくはならなかったけれど、他の方の感想によって読書意欲を刺激された。

(2) ソーニャ文庫属する乙女系では珍しく、ほんっとーに珍しく、ヒロインがホンモノの凛々しさを有し、かつ、ヒロイン&ヒーローが「対等」の関係を結んでいた。


◆ヒロイン&ヒーローの関係が「対等」であることについて。
ソーニャ文庫属する乙女系は、女性のためのヒストリカル少女まんが風官能小説(←わたしの解釈)です。
このジャンル、女性の性的ファンタジーを満たすものでありますが、土台となるセックス観が非常に旧弊です。
原則、「ヒロイン(女)は性的に無知で無垢でなければならない」、「セックスする=ヒーロー(男)が支配者、ヒロイン(女)が被支配者の関係なる」ものとして描かれています。

わたしが年下ヒーローやヴァージン・ヒーローを好むのは、そのキャラづけだと、「ヒーロー(男)が支配者、ヒロイン(女)が被支配者」の関係を、「対等」へと傾け易いからです。

「傾け易い」であって、「絶対」ではないですけどね。
ヴァージン同士であったのに、ことが終わった後、シーツの上にとある印(お察しください)を見て、ヒロインが処×であったと知り、征服した快感に浸った童×ヒーローもいますから(水月青著「君と初めて恋をする」のヒーロー、クラウス・ダークベルク)。

関連エントリ:【水月青「君と初めて恋をする」&「旦那様は溺愛依存症」】
・・・とはいえ、クラウスは好青年なんです。
ぜひこの青年を紹介したい!からと、感想を書きたい気持ちになったくらいに好青年なんです。。。

さて、感想にまいりましょう。




「マフィアの愛は獣のように」
作者:華藤えれな
イラスト:DUO BRANDO


兄の借金のせいで望まぬ結婚をすることになったセシリータ。
そんな彼女の前に、初恋の人イサークが現れる。
三年前、セシリータに裏切られたと誤解したまま、戦地で亡くなったはずの彼は、アルゼンチンでマフィアのボスになっていた。
再会を喜ぶセシリータだが、彼は憎しみの眼差しを向け、彼女を連れ去り陵辱し続ける。
だがある日、病に倒れたセシリータのうわごとから、三年前の真実と彼女の一途な想いに気づき――。
(公式紹介より引用)



◆あらすじを拝見した時点では問題外作品でした。強×(凌辱)ものですから。
あー、はいはい、ヒロインの話を聞かんと誤解した挙句に、手前勝手な復讐心で暴走する強×チ×コ・ヒーローなわけね。
そして、ヒロインは愛する男に酷く強×されて、悲しみつつも感じまくり、健気なヒロインは、なんだかわかんないけど、愛ゆえに強×チ×コ・ヒーローを赦してハッピーエンドなわけね、けっ、誰が強×ものなんざ読むもんかと、強い嫌悪を抱きました。

しかし、他の方による感想を拝見すると、ヒロインについて、「骨太なヒロイン」とか「男前」(原文ママ)との言葉を拝見し、なんとなく、ありがちな強×ものヒロイン(※)とは違う様子。
なので、ちょっとパラ読みして、ヒーローの悔いと謝罪にまあまあ納得できたので、思い切って購入しました。

(※)ありがちな強姦ものヒロイン。
強×されてもヒーローを愛してます~、愛ゆえに悲しみます~、愛ゆえに赦します~っと、わたし目線ではイラつくことこのうえなしの、ヒーローともども成層圏の彼方に飛んで行って欲しい、レ×プ・ファンタジー丸出しの阿呆んだらクソバカ・ヒロインを指します。
言葉づかいが悪くてゴメン。
乙女系ジャンル内のパターンのひとつと理解してますが、強×チ×コ・ヒーローも、強×されて、泣きの涙で感じまくった挙句、全て水に流してヒーローを赦すクソバカ・ヒロインも、むかっ腹が立ってしょうがないんです。

ところで、わたしがソーニャ文庫の強×ものについて一応イメージがあるのは、読んでみなければ善し悪しを判断できないと考え、二冊ほど読んだからです。結果、強×ものは自分には合わないと再認識しましたので、「気に入らないから読まずにおこう」との方針を決めました。

他に、あらすじと感想で大丈夫だろうと見当をつけたけれど、強×ものだったケースもあります。

そして強×ものであるらしいけど、賞賛の感想が多かったので思い切って読んだら、わたしにとっては、現時点の既読ソーニャ文庫中唯一、「読んだことを記憶から消したい一品」となった作品も。
ヒーローが強×チ×コ、誤解チ×コ、懲罰チ×コのトリプル・コンボのうえ、誤解が解けたあとの後悔も謝罪も全然なってない。産業廃棄物レベルのクズ・ヒーローでした。贖罪の為にチ×コ切り落としたうえで首をくくるエンドであって欲しかったくらいなのに、なぜあれがハッピーエンドなんだぁぁぁぁ!なんで賞賛の感想ばっかりなんだぁぁぁ!!1件くらい「自分には合わなかった」との感想があってもいいのに。あ、わたしか。

追記.
久方ぶりに、「読んだことを記憶から消したい一品」の感想を読みにいったら、おおおおお、ヒーローは最低と怒ってらっしゃる方がけっこう増えてる。嬉しい。

◆セシリータは、ヒロインが受け身であることを要求される乙女系と呼ばれるこのジャンルでは珍しいヒロインだと思いました。作者さんのお言葉通り「漢前」(原文ママ)で。

他作品で「漢前」ならぬ、気が強いヒロインを読んだ事がありますが、ヒーローのドSぶりが上回ってて、結局「男が支配者、女が被支配者」に着地してたんですよね。
なんだか、「気の強いヒロイン」を出したといっても、ヒロインの気の強さを肯定するのではなく、「気の強い女が調教される」エロを描きたいだけなのかと勘繰ったくらい。

「気の強いヒロイン」でさえそんな扱いです。
セシリータのように、ヒーローと「対等」なヒロインは初めて見た気がします。このジャンルでは、「セックスする=男が支配者、女が被支配者の関係になる」ですし、特に強×ものだとその傾向が著しく強い。強×そのものが、性欲ゆえではなく、「女を支配する」為に行われる暴力ですから、そうなるのも当然の帰結ですが。

にも関わらず、イザークに強×された後も、決して屈せず、「対等」のままでいる、こんな凛々しい、たくましいヒロインは初めてみました。イザークへの赦しも、強×チ×コ・ヒーローにとって都合のいい女の風もなく、まことに凛々しくて、見惚れる思いでした。

◆わたしは、ヒーローからヒロインへの二人称が「おまえ」であるのは嫌いなんですが、本作ではあまり気にならなかったです。

イサークの立場や職業からして「おまえ」呼びがふさわしいという点もあるのですが、強×されても撓まなかったのと同様、セシリータ本人が、「おまえ」呼びされても、「目下」にならない凛とした気性だからだと思います。

◆この「対等」さは、「タンゴ」がモチーフになっているからかなと思いました。
わたしはタンゴとは男女がペアになってする踊りの一種としか知らなかったのですが、作中の説明によると、

タンゴは、男と女の愛の踊り。
そしてセックスの交わりにも似た踊りだ。
(中略)
もともとは波止場で男同士が踊った踊りだった。いつしかそれは男と女のものになり、対等のふたりが闘うように愛しあう踊りという形に変化していった。


「闘いの踊りだからだ。男は女の気を引こうと、ステップを踏みながら体を絡める。女は男に屈服するまいと対等なほど激しいステップで応戦する。互いに挑発し、相手に負けまいと闘いあい、どちらかがどちらかを支配しようとする踊りだ

(後者はイサークのセリフ。太文字強調はわたしによります。)



しかし、「作中の性行為を含めた二人の関係のモチーフがタンゴだから」との理由以外に、セシリータ自身の気性が「対等」であること崩していないのだろうと思います。

たとえば、セシリータは、イサークに強×された後も、自分を「疵物」とは見做していません。

「次の寄港地で、私を下ろして。リオネルが赦してくれるかどうかわからないけれど、心から謝罪するわ。穢れた女として捨てられるならそれはそれで仕方ないことよ」
「ずいぶんと潔いことだな」
皮肉めいたイサークの言葉に、セシリータは冷笑を浮かべた。
私の意志や不注意で穢れたわけじゃないわ。だから恥じる必要なんてないじゃない。堂々と振る舞うわ。だからスペインに返して」
(太文字強調はわたしによります。)



すごいぜ。
ヒーローにチ×コをつっこまれたら、自分は「疵物」になったと恥じるのが、乙女系ヒロインの思考なのに。

いや、作中で露骨に「疵物」なんて単語は出てきてませんよ。
でも、小説本体を通して読めば、ああ、ここでこのヒロインが「他の方と結婚しません」とか言ってたり、身も世も有らず嘆いているのは、処×でなくなった己を「疵物」とみなしているからだなと察しがつきます。
先に書いた通り、乙女系のセックス観は非常に旧弊で、原則、「ヒロイン(女)は性的に無知で無垢でなければならない」のですから。

そんなヒロインが当たり前の乙女系小説のなかで、「恥じる必要はない。堂々とふるまう」と宣言するセシリータは素晴らしいです。

なお、私見を申しますと、本人の意志でセックスを経験しても、不注意で性被害を受けても、恥じる必要はないと思います。悔いを抱くことはあるかもしれないけれど。

◆二人の「対等性」は結末にも表れていた気がします。
セシリータに対するイサークの誤解が解けると同時に、セシリータもまた、イサークが舐めた差別と迫害を改めて知りました。
だから彼女は決意します。
実力がないのに身分だけで他者に君臨できる世界は間違っている。
身分に関わらずがんばったら、がんばっただけ報われる社会を作りたい。
イサークならそれを実現できる。
わたしはかげからその手助けをしたいと。

たいていの乙女系小説だと、「ヒロインがヒーローを支える決意(「内助の功」とも言う)」を見せた、ここで終わりだと思うのですが、本作は一味違います。

イサークのセリフで味わっていただきましょう。

「違う。俺じゃない。それを作るのは俺じゃない」
(中略)
「それを作るのはおまえだ。俺がおまえの手助けをする。女性だから、大統領になれないのなら、俺が代わりにそれを目指す。だが、この国の真の大統領になるのは俺じゃない、おまえだ。セシリータ、おまえがこの国の女王になるんだ。」
(中略)
「(前略)俺はおまえを新しい世界の女王にするため、生涯命がけで支えていく」



あんたはアンドレかっ!とのつっこみは脇において、珍しいと思いました。
「男が女を支える決意を見せる」って。

しつこく書きますが、乙女系では「セックスする=男が支配者、女が被支配者の関係になる」ことなので、セックス以外でも、その関係をひきずりがちです。
いや、乙女系に限らず、一般社会でも、まだまだ「男は女の内助に支えてもらうもの」「女は男を陰で支えるもの」との決めつけは根強いです。

だから、イサークがセシリータを支える決意を見せた、この場面が大好きです。

余談。
イサークの後悔と謝罪に刺激されたのか、思い出したくもないのに、先述の「記憶から消したい一品」のヒーローの下劣さとクズっぷりを思い出しました。
イサークのそれと比べれば、月とスッポン、これではぬるいな、神と虫けら、これでもぬるいな、マッターホルンの山頂の新雪と産業廃棄物くらいの差があるわ。
自分の語彙の少なさがもどかしい。
あのクズ・ヒーローは産業廃棄物呼ばわりでももったいない。
贖罪のために自分のチ×コを切り落とし、それを喰って、喉につめてくたばるエンドなら良かったのに。
あるいは、切り落としたチ×コを詰めたケツの穴を、ヒロインにバットで直撃百叩きしてもらって悶絶死とかさ。
まあ、レ×プ・ファンタジーに浸りきって脳みそが腐った、あのクソバカ・ヒロインでは、愛するヒーローを罰するなんてことはしないでしょうけど。
悪い子じゃないけど、あのクズ・ヒーローを恋い慕う一点で、わたしはヒロインも大大大嫌いになりました。
「読んだことを記憶から消したい一品」です。

◆「マフィアの愛は獣のように」。
なんか、タイトルがこっぱずかしい。
失礼ながら、初見では「B級パチモン・ロマンス臭がする」と思いました。
通読後の今も、タイトルについては、ちょっぴりそう思ってます。
(タイトルに仰々しく入ってますが、マフィアっけも獣っけも少なかったなあ・・・)

タイトルだけでなく、小説本体も、他の方の「ハーレクインみたい」とか「海外小説みたい」との感想通り、今まで読んだソーニャ文庫作品とは匂いなり雰囲気なりが異なる気がします。
わたしが読んだ他のソーニャ作品は、シチュエーションやヒーローのキャラは異なっても、「ヒストリカル少女まんが風」でくくれましたが、本作は非少女まんが的です。わたしは映画のように感じました。

違いの原因を的確に説明できませんが、おとぎ話風の架空の時代、架空の国を舞台にすることの多い他作品と異なり、スペインとアルゼンチン、実在の国を舞台にし、スペイン内戦時代というリアルの時代背景に加えて、セシリータが「大人」を感じさせる女であるからだと考えました。

◆イラストについて。
DUO BRANDOさんによるイラストだけれど、ジョジョ立ちもスタンドもない(笑)。
画風をカワイイ系と美人さん系に分ければ後者にあたるかと思います。
癖のある絵柄ですが、本作の内容であれば、カワイイ系ヒロインは似合わないので、美人さん絵が描ける方でよかったです。
「大人で美人」としてセシリータが描かれていました。

わたしは、イサークがセシリータに土下座して謝罪する場面絵が特に好きです。


「致死量の恋情」
作者:春日部こみと
イラスト:旭炬(あさひこ)


辺境伯の娘アマーリエは、初恋の人エリクをずっと想い続けていた。
幼いころに出会い、家族同然に育った彼は、ある日、謎の病に倒れたアマーリエを救うため、どこからか特効薬を持ち帰ったあとで突然姿を消したのだ。
それから六年、彼女の前にエリクとそっくりな騎士コンラートが現れる。
彼をエリクだと確信して詰め寄るアマーリエだが、彼は迷惑そうに否定すると「よほど男が欲しいのですね」と嘲り、淫らなキスを仕掛けてきて……。
(公式紹介より引用)



◆こちらもあらすじからは特にひかれなかった作品です。ただし、強×ものだから読まないぜ、と、積極的に嫌悪を感じた「マフィアの愛~」とは異なり、嫌悪する原因もないけど、読みたくなる要素もないあらすじでした。よくある可憐で優しいおひめさまの幼馴染初恋ものかと思ったので。

公式の人物紹介では、あらすじに加えて、ヒロインは「次期辺境伯としての教育を受ける」との情報もあり、通常なら読みたくなるポイントですが、乙女系ジャンルでの女領主とか女王は、「強い立場にいるけど、ホントはか弱い女なの、愛してw守ってw可愛がってw」とアピールする為の飾りであることが多いので、やはり読書予定には入れる気にはなりませんでした。
しかし、他の方の感想で、非常に凛々しく強いヒロインであること、骨太なストーリーであると知り、読みました。

◆女性にたいして「女とは思えないほど、頭がいい」。
○○人にたいして「○○人とは思えないほど、手癖が悪くない」。
こんな誉め方、失礼です。前提として「女=頭が悪い」「○○人=手癖が悪い」なのですから。
だったら、「乙女系小説とは思えないほど、手に汗握る面白いストーリーだった」との賞賛の仕方も失礼だよなあ・・・。
前提が「乙女系小説=特に面白いストーリーではない」なのだから。

いや、乙女系は小説として劣る存在ではないのですが、大事なのはエロをエロエロしく描くことなので、エロを生かすための、ヒーローのキャラ(俺様とか王子とか年下とか)とシチュエーション(初恋とか高級とか複数とか)が決まったら、ストーリーはあってないがごとしって作品もあるのです。
それがいけないとは思いません。
キャラもシチュエーションもぶれずに構築されてあり、かつ、好みのキャラ、あるいはシチュエーションであれば、楽しんで読めますから。

逆に、作品によっては、ストーリーはちゃんと構築されているのに、キャラが好みでなくて、自分には合わなかったなと思ったこともあります。
(わたしが読んだ範囲ですが、ソーニャ文庫作品は、ストーリーもちゃんとしている作品が多いと思います。)

くどくど書いてきましたが、要するに、本作は、
ストーリー → 続きが気になる、謎が気になる、手に汗握る面白さ。
キャラ(ヒロイン)(※) → 気丈で凛々しくて強気でものすごく好み!

(※)キャラ(ヒロイン)
公式さんに、読者が好みの小説を選べるよう検索機能がありまして、主に、シチュエーションとキャラで選べます(組み合わせも可)。
で、そのキャラ選択ってのはヒーローのみで、ヒロインはなしです。

乙女系というか、わたしが読んだソーニャ文庫作品の範囲では、ヒロインはヴァージン一択(例外は「氷の略奪者」のヴィクトリア)ですが、性格は一律ではありません。それでも、ヒロインのキャラで選ぶ機能はないんですねえ。
あくまでも、女性読者が、好みのヒーロー(とシチュエーション)を選択するってことなのか。

◆本作は官能場面に入るまでが長いです。ほぼ半分を経過して、ようやく官能描写が入りますが、それとて濃厚とはいえキスとペッティングで終わり、全体の三分の二あたりでやっと結ばれる場面になります。

乙女系でこんだけ長く「何もない(官能場面に突入しない)」展開が続くと、冗長な印象になりかねないのですが、本作はエロなしの世界観とストーリーがしっかりしているので、まったく気になりませんでした。

参考までに。
同時発売の「マフィアの愛~」はしょっぱなからベッドシーンです。
一種の倒置法なので、時系列通りでいえば、四分の一あたりからベッドシーンに入ります。
「致死量~」がいかに官能描写を後延ばしにしたか実感できます。

◆国王陛下(推定23歳)、父ニュンベルグ辺境伯、側近のブルーノ、大人の男たちもキャラ立ちしてましたな~。

国王とアマーリエの丁々発止のやりとりが好きです。
某大河ドラマみたいに、理由もなにもなく、「そなたは何かをもっている!」と、空疎なセリフでヒロインageするのではなく、ちゃんと実のあるセリフとやりとりでヒロインの賢さ、したたかさを読者に印象づけてくれました。

この場面、イラストを見たかったな。
国王陛下のご尊顔を拝見したい思いもさりながら、あの互いの力量を探りあう、ちょっとした闘いのようなやりとりの時、アマーリエはどんな表情をとってたんだろう。

◆一点残念であったのは、これだけ凛々しく、強く、激しく、たくましいヒロインであり、つがい、即ち対等の関係でありながら、初めて結ばれた時のヒロインのセリフが「私、あなたのものになれたのね?」。
これだけ強気なこでも、「セックス」を「女が男の所有になる」行為と捉えてしまうのかと残念でした。
エリクの返答が「私は永遠にあなたのものだ」であったので、残念さは少し軽減しましたが。

興味深いやりとりなので、引用します。

「全部、入ったの・・・?」
「ああ」
「じゃあ、私、あなたのものになれたのね?」
(中略)
「私は、永遠にあなたのものだ。アマーリエ」



しかしながら、「ヒロインのものになった」と口にしたヒーローは初めて読んだ気がします。
しつこいけど、乙女系は「セックス=男が支配者、女が被支配者」との考え方が土台ですから。
だから、ヴァージン・ヒーローでもしばしば、征服者の快感に浸るんだよなあ。。。

◆エリクがアマーリエを呼ぶ二人称が、「あなた」である点が好きです。
好き、好き、好きw
気持ちいいわ、「あなた」呼び。

◆エリクはかなり悲惨かつ過酷な運命を背負ってるのですが、アマーリエの峻烈さ、苛烈さ、猛々しさの印象が強くて、エリクがやや影が薄い気が。だが、それがいい!

強いヒロイン万歳!!

◆エリクはヴァージン・ヒーローなのだろうか?
作中では明記されていません。

とはいえ、思わせぶりに、本気で愛したのはヒロインだけど説明があったわりには、ヴァージンか否かがあいまいなリクハルトさん(水月青「旦那様は溺愛依存症」)(リンクは先述)に比べて、エリクはヴァージン・ヒーローである可能性が高そうです。

わたしがそう推測する理由は、
1) アマーリエとエリクは互いに「つがい」の絆で結ばれていると自覚しているから。
2) 国王いわく「この六年、お前は女を寄せ付けないだけでなく、男すら寄せつけるのを見たことがないんだからな!」

まあ、愛する女がいようが、浮名を流していなかろうが、「性欲処理用あるいは練習用の女体へのチ×コ挿入は経験済みです(キリッ)」ってのが有り得るのが、乙女系ヒーローなんですが(一般向け創作でもか?)、エリクにはもうひとつ、ヴァージン・ヒーローであろうと推測できる理由があります。

3) エリクは、自分の血を引く子どもを作ることを恐れていた。恐れると同時に、自分の血を引く「忌子」を残したがっていた。
「忌子」への強烈な思いゆえに、それを、愛するアマーリエの血統の中に残したいと切望していた。

だから、アマーリエ以外の女体に、子種を蒔くことはなかったろう、ゆえに、ヴァージン・ヒーローであったろうと推測しております。

ヴァージン(推測)のくせに、アマーリエとの事実上の初夜では手馴れてたって?
いんだよ、そこはご都合主義で(笑)!

◆イラストについて。
ごめん、カワイイ系の絵柄なので、わたしの脳内のアマーリエのイメージと合わない。
アマーリエはこういう小動物系のカワイイ女の子じゃなくて、もっと毅然とした美人さんな女性だと思う(わたしの感想です)。

絵柄はわたしのイメージと合わなかったけれど、手抜き感はなく(背景が雑だったり、ほぼ白かったり、背景の手を抜く代わりに人物の顔のアップを多用したり等)、きちんとお仕事してらっしゃって、拝見して気持ちよかったです。
きちんとお仕事してらっしゃるだけでなく、加えて魅力ある絵柄であり、仕上がりでした。

国王もかなり癖のある興味深い人物だったのでイラストで見たかったな。
アマーリエの父君と側近は出てきました。あの二人の絵も好き。

ストーリーは官能描写以外が印象強いのに、イラストはエロエロしい場面を選んでらして、これまた、官能レーベルにふさわしいお仕事をしっかりしてこなしておられるなと思いました(笑)。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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