2016年03月12日 (土) | Edit |
関連エントリ:【「あすなろ坂」(里中満智子著)につっこみ!(その1)】の続編です。

本文である、有馬忍&秋月精一郎夫妻への怒りのつっこみに入る前に、「あすなろ坂」雑感をいくつか。

その1.
以前読んだ時は「昔の話」にしか見えなかった、外国人排斥、リンチ、憎悪、自由平等の圧殺etc.が「今」に重なってきて、読み直すのが辛い・・・。

その2.
初代ヒロイン有馬芙美は会津出身。
夫の有馬武史も会津出身です。彼は脱藩するのですが、作中では、「武士」の生き方を貫き通したとされています。

作中における「武士の生き方」とは

死ぬ時の美しさを求めて、生き方を決めるのが武士の道だ。
男は死に方で値打ちが決まる。
美しい死に方をしたいと思ったら、美しく生き抜くことだ。
自分の美しさを探しあてて欲しい。
卑怯な生き方、いい加減な生き方は美しくない。
(「あすなろ坂」第三部若葉編・第一話より引用)
(適宜漢字に直しています。)



もっと簡潔に表現すると

死にざまを考えて生きよ。
(「あすなろ坂」第三部若葉編・第一話より引用)
(適宜漢字に直しています。)



それはともかく、「八重の桜」を少しばかりですが視聴したもので、本作品は「会津人」を描いているのか?との疑問を抱きました。

物語冒頭の幕末、会津時代、幼馴染とはいえ、年頃の男女である、芙美と新吾が親しく言葉をかわしあったり、会津男子たちがコイバナ(違)してたりするし。

「あすなろ坂」の世界観が優先であることは理解しています。
この物語をわたしは快く読みました。

その3.
園田あけみさんのこと。
出番は少ないけれど、詩絵さんと同じくらい好きです。
かなり目鼻立ちのくっきりした華やかな美人さんw

初代ヒロイン、芙美の夫である武史を慕っていたけれど、武史が芙美に抱く愛が揺るぎないことを知り、自分の恋を諦めました。
そして、「武史さんとだめだったからといって、他の人とは一緒になりたくない」からと、独身を通し、学問に打ち込み、父親の跡を継いで医師となりました。

武史への恋情を断ち切ってからは、敵視していた芙美とも親交を深め、友人となり、要所要所で芙美をサポートしています。

芙美の娘、史織が結婚した明治36年(1903年)ごろを最後に登場しなくなり、作中でのその後は不明です。

医師を目指すといっても、明治17年(1884年)まで医術開業試験の門は女性には閉ざされていたし、苦労なさったことと思います。

推定三十代後半にドイツに留学して、伯爵なる人物から熱心に求婚されたエピもお持ちです。

実現はないでしょうけれど、スピンオフを読みたいキャラです(笑)。

 
↑忍の表紙絵にリンクするのは気がすすまなかったので、有馬一家勢揃いの1巻と、有馬史織単独の2巻です。

さて、本文に参りましょう。

「その1」で話題にした有馬詩絵&源宣匠夫妻へのつっこみは、好きすぎて熱心に読んだゆえですが、今回採りあげる有馬忍&秋月精一郎夫妻へのそれは違います。

怒りのつっこみです。

まず、有馬忍へのつっこみ!

生後7ヶ月の赤ん坊を捨ててんじゃねーよ!!

有馬忍は有馬詩絵の年子の妹で、控えめで大人しく、優しい女性であると、身内はじめ周囲の人々がほめそやしていますが、生後7ヶ月の赤ん坊を捨てる母親のどこが優しいんだ?

赤ん坊遺棄に至るゆくたてを説明すると。

大正7年(1918年)、忍の夫の秋月精一郎、反政府活動に従事した為、官憲から迫害を受ける。
 ↓
秋月精一郎、ソビエトへの亡命を決意し、源宣匠の助力を得て渡航。
妻の忍は身重でもあり、忍の実家に預ける。
しかし、忍が強引に同行。

ついて行くわ。どこまでも。
わたしの生きる場所は、あなたの傍しかないわ。
(「あすなろ坂」第七部積乱雲編・第一話より引用)
(適宜漢字に直しています。)


 ↓
身重の忍を気遣って亡命行が遅延。
出産および産後の養生の為、満州にしばらくとどまる。
 ↓
産前2ヶ月、産後7ヶ月、計9ヶ月の間のんびり、もとい、お産のためにとどまってる間に、官憲の追及が厳しくなる。
お産後7ヶ月目にして、やっと国境を越えようとするも、官憲に取り囲まれ、抵抗した為、捕縛の乱闘のなかで、夫婦ともども殺される。

忍さんの子捨ては、官憲との乱闘前に為されました。

夫の精一郎は、妻と娘だけでも助かって欲しいからと、逃げろと指示し、二人に別れを告げて去ったのですが、再び、忍が強引に追いかけました。

生後7ヶ月の娘(みどり)を、産前産後世話になった家の居候で、親しくなった幼児サーシャ(6歳)に託して。

6歳児に生後7か月の娘を託して、夫の後を追ってお亡くなりになった忍さん。

忍さん、あなた、親の責任を自覚してる?

「子どもよりも夫が大事!」の精神は、わたしだって嫌いじゃない。
しかし、赤ちゃんをほっぽりだす、無責任極まりない人間は嫌いです。
あの場面、官憲から夫を救い出せる可能性は限りなく低く、だからこそ、精一郎も赤ちゃんともども逃げるよう望んだはずなのに、赤ちゃんを捨てて、夫を追いかける方を選ぶなんて、どんだけ色ボケしてるねん、このバカ女。

いや、そもそも、赤ちゃんのことを考えたら、強引に亡命に同行するなんてしないだろうな・・・。
夫の後を追いたいのであれば、実家にとどまって赤ちゃんを産み、信頼できる姉に託してから、追っていけばよかったのに。
そりゃ、女一人旅になるから危険も増えるでしょうが、苦難を乗り越えるのが、里中ヒロインでしょうが。

・・・理解はしています。今わたしが書いたような展開になれば、「忍の物語」となってしまい、「有馬家の女たちの愛の歴史」という群像劇の軸がぶれてしまうから、少々無理がある展開になったのだと。

それでもつっこまずにはられないわ。

◆猫の話をしたら、人間の赤ちゃんといっしょにするなと怒られるかもしれんけど、わたしは自分が先だって飼い猫が後に残ったらと想像するだけで、この子(猫)に降りかかる苦難が心配で、先に死ねないと痛感します。

わたしがいなくなった後、
ちゃんと新しい飼い主がみつかるのか。
その人は、この子を本当に猫生を全うするまで大事に飼ってくれるのか。
もし飼い主が見つからなかったら?
遺棄されるのか?あるいは殺処分されるかもしれない。
あれやこれや、猫の行く末が心配でとうてい残して先立つ気にはなれません。

忍は心配しなかったんでしょうか。自分たち両親が死んだ後の娘の行く末を。
赤ちゃんを捨てたのではなく、サーシャに託したのだといっても、彼は6歳児ですよ。
しかも金持ちのボンボンでもない、貧乏家族の居候

そもそも、忍が身重の体で強引に同行したってのが(繰り返しにつき以下略)。

わたしから見れば、色ボケのうえに無責任極まりないこの女が、身内から「優しい良き母」評価を受けているのは納得いかんぞ。

忍さん、あんた、どんだけ精一郎にさかっとんねん。

いきなり下品な言い方ですみません。
忍さんの最後の行動って、夫への愛ゆえでなく、精一郎へのさかりゆえではないかと思うんですよねー。
忍さんて、精一郎限定で、年中さかってたみたいだから。

うん、これは嫌味です。

忍は姉の恋人である精一郎に恋したとはいえ、大人しく、控えめな性分もあり、恋心を胸に秘めたままにしていました。

詩絵が売れっ子になったことと、彼女の気の強さに精一郎が不満を持ち始め、仲がぎくしゃくし始めた時も、忍は二人の仲を引き裂くどころか、そっと取り持っていました。

やがて、わたしが決定的に、忍と精一郎にドン引きした展開がおきました。

祝賀会になっても、あい変らず意地を張ってる詩絵と精一郎。
精一郎は中座して自宅に帰ってしまいます。意地を張り、追いかけようともしない姉の代わりに、忍が精一郎の自宅まで呼びに行きます。
で、詩絵への不満を溜めていた精一郎は、酔った勢いで忍を相手に一発やっちまったんですな。
露骨な言い方でごめん。でも、不愉快で不愉快で。

忍も忍で、ことの最中、次のようなモノローグをしてます。

あ、だめ、いけないことだわ。
ねえさま。
ねえさま許して、ひと時だけ。
一生の間で今このひと時だけ・・・。
(「あすなろ坂」第六部風花編・第二話より引用)
(適宜漢字に直しています。)



酔っ払いが、股の中にチ×コを突っ込んできたってのに、なにロマンチックに浸ってるんだよ!

先に、「忍は精一郎限定で、さかってたみたい」と書いたのは、この出来事ゆえです。
わたしの意見を言えば、いくら好きな男が相手でも、酔った勢いで一発やられて怒りもしない女はアホです。

こういう風に、精一郎に発情しっぱなしの女だったから、赤ちゃんを弊履の如く捨て去って、精一郎を選んだのだなあと思います。

忍については、キモっとしか言えん。

◆秋月精一郎について。

こやつはクズです。嫌いです。
強姦男、綾小路少尉(史織編のライバル男)よりクズだと思う。
て言うか、精一郎が忍にしたことも強姦だよねえ。ほんまクズだ、こいつは。

大正9年(1920年)3月4日、28歳で、妻、忍とともに死去。
すでに誕生日を迎えていると仮定して、生年は明治25年(1892年)。

登場した当初は、劇作家志望である、笑顔のさわやかな好青年だったんだけどなあ・・・。
いつのまにか社会派の脚本ばかり書くようになり、忍と結婚した後は、反政府運動の活動家になってました。その後の亡命と死については先述の通りです。

なんか、口先男って感じです。
社会の矛盾や悪に斬り込んでるつもりなんだろうけど、いつもいつも他人の助力で立ってて。
だいたい、詩絵の恋人だったくせに、気丈な詩絵じゃ安らげないと、大人しくて控えめな妹、忍に鞍替えした点からも、「かしづいてくれる嫁」が必要な男だったんでしょう。

とはいえ、こんな男でも美点はありました。

先に書いた通り、亡命の際、身重の忍が強引に同行し、出産のため足止めをくらったのですが、妻を責めず、心から娘の誕生を喜んでいました。

この男は単体だと口先だけの役立たずだけど、忍と一緒だとまともに見えるタイプの男なのかもしれません。
かっこつけて反政府活動なんかせず、忍ともども田舎にひっこんで静かに暮らしてりゃよかったのに。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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