2016年10月13日 (木) | Edit |
◆その1.たしかに存在した人

諏訪御寮人。

小説やドラマで「武田信玄最愛の女」、「絶世の美女」と持ち上げられたことが仇となり、一部の読者からは、「愛された確かな裏付けもないのに」「美女であった証拠もないのに」とやや批難の目を向けられています。

けれど、武田勝頼という人物が存在した以上、生母もまた存在します。
たとえ、「人となりを推し量る史料」がなくとも。

学者ならば「史料が存在しない為、人柄も容姿も不明」で済ませていいでしょうし、それこそが学者の良心です。

けれど、「史実」があれば、「なぜそうなった。どう感じた」と想像し、創作する。
そして、史料がなければ、そこで筆をおくのではなく、さらに想像と創作を大胆に自由に推し進める。それこそ「小説家」なのでは。

漫画家のYさんはご自身の歴史創作についておっしゃいました。
「史実だけでは創作はできない」と。

武田勝頼生母はたしかに存在した人です。
人柄や容姿を史料に残されていなくても。

◆その2.西方一美人円光如日和気似春

三条夫人の眠る円光院には、三条夫人を讃える一文を掲げた看板があります。
大河ドラマにて「悪妻」として描かれたことに憤ったご住職の発案とのことです。

当然よね、気持ちはわかると思っていましたが、まさか、こんなでっかい表記であったとは。

リンクは貼りませんので、「三条夫人 円光院 西方一美人」で画像検索していただくと、目当ての画像がいくつかヒットします。

遠近がつかめないので、実際にはどれほどの大きさか不明ですが、写真で拝見する限りでは大きな看板です。文字もでかいです。
声を大にして、もとい、文字を大にして示さずにはいられなかったんでしょう。
他人事とは思えません。

「三条夫人のお人柄の真実」
「西方一美人円光如日和気似春」
「これにより暖かく穏やかな三条夫人の婦徳高いお姿が偲ばれます」



主文の前後の一言一言が泣かせてくれます。

BBCで「この私、クラウディウス」が連続ドラマ化された時、ご住職みたく、リウィアさまの名誉の為に、一筆を振う人物はおらんかったのか。

もしリウィアさまの為にこのような顕彰文を掲げるとしたら?

彼女の名言といえば、リウィア流の「How to keep a good wedlock」ですが、むしろ「腹黒」説を助長しそう。

ある人からどうやってアウグストゥスに大いなる影響を与えたのかと問われ、答えて曰く、「わたし自身の貞節は固く守り、夫の仕事には決して口をはさまず、夫の好む事なら何でも喜んで行い、そして、なかんずく重要なのが、夫の浮気には目も耳もくれてやらないふりをすることよ。」
(ディオ・カッシウス「ローマ史」58-2-5)(日本語・管理人)



他には、

「この離婚と同時にアウグストゥスは、リウィア・ドルシラを、ティベリウス・ネロの妻であり、たしかに身重であったものをその夫婦仲を裂き、自分の妻とすると終生変わらず比類なく深く愛し大切にした」
(スエトニウス「皇帝伝」アウグストゥス-62)



最後の一文はともかく、そこに至る過程が誤解を招きそう(ヒストリカル・ハーレクイン的な空想を巡らしてくれる人ばっかりとは限るまい)。

女たちのなかでも、際だって秀でた女性であり、全てにおいて人間よりも神々に似ていた。そして、その持てる権力を、トラブルの緩和、もしくは他者の地位の昇進を促すことを除いて、人々に実感させなかった。
(ヴァレリウス・パテルクルス 2-130-5)



うーん、「西方一美人円光如日和気似春」に比べると、印象が弱いです。

いっそ、全部表記しましょうか(笑)。

◆その3.俺が側室を持たない理由(ワケ)

側室を持つことを浮気のように扱うのを聞くと、一言口を挟みたくなります。そして、側室がいない事を妻を心底愛していたからだという結論に持っていくのをと聞くと、おへそのあたりがムズムズします。

てなわけで、思いつくままに挙げてみた、戦国武将、俺が側室を持たない理由(ワケ)。

その1.
女人は穢れである。女人との交わりは穢れである。
しかしながら、家系の存続の為にも、妻を娶り子を成さねばならない。
妻との交わりこそ家系への義務としてこなすが、なんで、穢らわしい「女」とさらに交わらにゃならんのだ?

↑現代の宗教にいい加減、じゃなくて、フリーダムな世相ではピンとこないかもしれないけれど、当時は仏教への信仰も真摯なものであったのでは?
仏教が説く、「女人は穢れ」を真剣に受け止めていた男もいたかもよ。

その2.
なんで側室を持たないのかって?
側室一人を養うのって金がかかるんだよ、わかってる?
しかも女を抱くと子供ができる。その子の養育費もかかるって算段だ。
戦と内政で出費が多いのに、これ以上金のかかることができるか!

その3.
縁組とはすべからく政略上の利益、不利益を考慮してなされるものですからな。
今のところ、側室を迎えるような政治的事情が生じていないだけです。
女に興味がないわけではありませんが、他に書画骨董鷹狩といくらでも趣味はありますから、必要もないのに女を求める気にはなれませんな。

↑「書画骨董鷹狩といくらでも趣味」にあたる箇所は、「仕事」に置き換えてもらってもけっこう。
女以外の趣味に夢中!とか、お仕事大好き!な男性もいます。

その4.
まあ、3の人と似た立場ですね。
特に政治がらみの縁組が発生しそうにないので。
ことさら側室に迎えなくても、「女」の事だけでしたら遊所に行けば済むことですよ。

その5.
お恥ずかしいんですが、毎日心身ともに消耗していて、くたくたで、妻一人でせいいっぱいなんです。これ以上女を増やす体力なんてありません・・・。


「側室がいない=妻を心底愛していたからだ」という決めつけに同意できなくって、書いてみました。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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