2016年12月31日 (土) | Edit |
(注意)ネタばれ有り。
まんが家さんの五十音順。







「君の声が聞きたい」
作者:ジャスティン・デイビス
訳者:南和子
まんが:香住真由
原題:“A Whole Lot of Love”2000年


電話から聞こえる、セクシーで魅惑的な声。 その声の魅力で、慈善オークションの出場者を集めていたライラ。でも、誰もがライラの姿を見た瞬間に態度を一変させる。声とは似つかない、この大柄な体型を見て・・・。 『きっと、あの魅力的な声をした会社社長のイーサンも冷たい態度に変わるわ・・・』。 ところが当日、出会ったイーサンの行動は、あまりに予想外で・・・!?
(「内容紹介」より引用)



◆表紙絵を見た時、ちょっと苦手な絵だなと思いましたが、読後はそんなこともなく。
本作のヒロイン&ヒーローの誠実で人を思いやる気立てにぴったりに思えました。
いや逆かな。本作のヒロイン&ヒーローの誠実な人柄が、作画への好感度を上げたのだと。

古代エジプト風のアイラインがくっきりした癖のある絵です。目力があります。

◆読んだ動機。
(1) 表紙絵のヒロインの髪型(きりっとしたひっつめ髪)がわたし好みだった。
(2) こころもちヒロインががっしりしてるように見えて、これは珍しいと興味をそそられた。画風なのかと思いましたが、ちゃんと意味はありました(後述)。

◆ヒロインは177センチ、標準体重(数字記載は無し)。
男性が、「大柄な女を好まない」のはあちらでも同じ傾向なのか、魅力的なヒロインなのに、この外見において、常に男性から距離をおかれています。
距離をおかれるだけならまだしも、侮蔑のターゲットとなっています。
例えば、以前の婚約者はヒロインに無理なダイエットを要求し、体調を崩したヒロインを「でかいだけのでぶ」と罵り、婚約を破棄しました。
ほぼ通りがかりの男は「牛のようだ」とくさしました。

そんなヒロインの体格をきちんと絵で表しておられたのです。まんが家さんは。
それでも、原著表紙絵(下記参照)よりは、手心を加えた描き方だなと思いました。



◆本作で好きなとこは、ヒロインとヒーローがともに魅力的であった点です。
特に、一応、あらすじやレビューで事前確認して読んでるのに、ハーレクイン・ロマンスって、偉そうなうえ他人(特にヒロイン)の話を聞かないヒーローにあたることが多いので、本作のヒーローの穏和さ、人の話に耳を傾ける誠実さ、他人に対する思いやりの深さがとても好ましかったです。

先述の通り、ヒロインは大柄な体格の為、男性からしばしば不快な態度をとられています。
電話を通してアポをとる業務もこなしているので、彼女の声だけで理想の女性像を思い描いた男性から誘われることも多く、そんな男たちが実際の彼女をみて、あきらかにぎょっとしてどんびく豹変を何度も味わってきました。

ヒーローも、ヒロインの姿を実際に見た時にはぎょっとしたのですが、自分のそんな心の動きを抑え、礼儀にかなった態度を取りました。
そして、仕事を通じてうかがえるヒロインの内面のしっかりしたところ、美しい心根に魅了されていくのです。

口説き方も、順を追って、丁寧に丁重で良かったです。
わたしゃ、オレサマ・ヒーローは嫌いだ。

◆ヒロインもすてきな女性でした。
仕事はしっかりできる。
他人を思いやる心を持っている。
合コンさしすせそガールではなくて、自分の意見を持ち、ヒーローに苦言を呈することもできる。

「大柄な体格ゆえ男性から忌避される」との設定でお話が展開しているのはわかるのですが、「大柄」ってだけで、彼女を避ける、場合によっては侮蔑のターゲットにするなんて、なんて愚物ぞろいの男たちなんだ(怒っ)。


大亜門「太臓もて王サーガ」4巻

突然ですが、「太臓もて王サーガ」です。
(女キャラではジョジョ・マニアの麻仁温子ちゃんと、「氷の微笑女」佐渡あいすが好きなので、後者が表紙にくる4巻にリンクしました。)

作中に大木杉音(おおき・すぎね)という女キャラが登場します。
読みの通り、大きすぎる女子です。ギャグまんがなので、大きさもデフォルメされていて、身長体重の数字は出ていませんが、「北斗の拳」のハート様を一回り小さくしたイメージと思っていただければ。

で、大きすぎる女なので、作中でしばしば男から侮蔑のターゲットになっています。

「あんな怪獣」
「ドズル=ザビみたいなツラしてんだぜ!」
「女っていうか、人としてもギリギリだね!」
「そんなトコつっ立ってんじゃねえよ、バブルス女王が!」
「うわキッツー、あれ本当に女?ていうか人間?」



・・・大木杉音は育ちがよくておっとりしてる為か、いつも侮辱を流していたし、メイン・キャラではなく、出番も少なかったし、「杉音いじり」もギャグではなく、このように彼女を侮辱したキャラ(男)が散々な目に遭うというオチになっていたので、あんまり気に留めていなかったのですが、「君の声が聞きたい」を読んだ後だと、ほんっとに、腹立ちます。

「太臓もて王サーガ」は好きな作品だし、大木杉音の体がでかいことをネタにするのはけしからん!と否定する気はないですよ。
だけど、彼女を侮辱する男キャラに腹を立てたっていいじゃないか。


「脱ぎ捨てた過去」
作者:キャスリン・ロス
訳者:苅谷京子
まんが:文月今日子
原題:”The Unmarried Father”2000年


僕の生活に女性などいらない――。建築家のマックは離婚したあと、幼い娘をひとりで育てている。会社では新プロジェクトをまかされる機会も訪れ、仕事も順調だった。だが会社から、妻同伴のパーティーの招待状が送られてきた。実はシングルファーザーと知られたら、せっかくのチャンスがふいになるかもしれない・・・。ふと、家の庭に来ていた女性庭師を見て、ひらめいた。そうだ、彼女に相手役を演じてもらえばいい。高い報酬と数時間のお芝居。ノーとは言うまい。
(内容紹介より引用)



◆ヒーローがすてきでした。ヒロインも好感の持てる女性でしたが、本作はヒーローの魅力がヒロインを凌駕してしまってます(笑)。

◎ わたしが思うヒーローの魅力(その1)
「子どもを産みたがらない女、子どもを欲しがらない女」を受け入れたとこ、否定も批難もしなかったとこ。

ヒーローの前妻は「子どもを欲しがらない女」でした。
ヒーローを愛して結婚しましたが、子どもを作らない点についてはゆずりませんでした。
決意に反して出来てしまいましたが、前妻の「子どもはいらない」気持ちは変わりません。
一方ヒーローは、子どもができたことを喜びました。妻の気持ちが変わることを願いましたが、折り合いがつかず、離婚となりました。

「子どもを作らない」ことは、生きる上での選択の一つであり、「子どもを作る」ことと比べて優劣はありません。
けれど、世間的には、「子どもを作る」ことが当たり前、常識、当然で、一方、「子どもを作らない」ことはしばしば批難にさらされます。
特に、子どもを欲しがらない女は。

「子どもを欲しがらないなんて冷たい女!」
「子どもを欲しがるのは女の本能なのに、どっか欠けたところがあるんじゃない?」
「女のくせに子どもを産みたくないなんて、信じられない!」

作中、離婚の事情も、前妻のことも知らない周囲の人間(ヒロインではない)が、
「こんな可愛い娘をおいていくなんて、冷たい女(ひと)ね」と、ヒーロー前妻を批難した例を見ても、「子どもを欲しがらない女」への悪しき決めつけの強さが伺えます。
(離婚の理由を知ったら、批難はヒートアップしたでしょうね。けんのん、けんのん。)

しかし、ヒーローは、前妻の「自分の人生に子どもはいらない」との決意を、決して、謗ることはありませんでした。
離婚の結末を迎えましたが、別れた後も、彼女とは生き方が違ったのだと受け止め、前妻の「子どもを持たない生き方」を彼女の選択として尊重していました。

気持ちいい人じゃないですか!
このヒーローだけでも、お値段三分の二の値打ちはあるかと思います♪

◎ わたしが思うヒーローの魅力(その2)

料理が出来る男である。
自宅にヒロインを招待し、手料理を振る舞ってました。
ハーレクイン・ロマンスのヒーローは、家事スキル、なかでも料理スキルはデフォなのかい?
この人もクッキング・ヒーロー(笑)。

関連エントリ:【ハーレクイン・コミックス感想 クッキング・ヒーロー特集】

◆他によかったなと思うのは、当て馬男(ヒロインの前カレ)とヒーロー前妻があまり絡んでこなかったとこ。
絡みが少なかったので、ヒロインとヒーローが嫉妬して罵倒しあう展開を見せつけられなかったのが良かったです(話を盛り上げる為、前カレ、前カノについて、互いの言い分を聞かず罵る展開ってのを時々目にしますので。全然いい気持ちはしませんな。)


「恋に落ちた眠り姫」
作者:メリッサ・マクローン
訳者:高橋美友紀
まんが:山下友美
原題:” Not-So-Perfect Princess”2011年


厳格に育てられた王女ジュールズは、地中海に浮かぶ王国の皇太子と政略結婚を命じられる。今より自由になるかもしれないというわずかな望みにかけて海を渡るが、相変わらず女性というだけでモノ扱い。結婚式までの短い自由な時間、一念発起したジュールズは男装して街へとくりだす。港で出逢ったのは第二王子のアレハンドロ。優美な兄王子とは違い、精悍な顔立ちの海賊のような男性。なぜか一緒にヨットレースに出ることになってしまった彼に初めての恋心を抱き・・・!?
(「内容紹介」より引用)



◆「眠り姫」の文言に好意を持てなくて避けていたけれど、読んで良かったあたり本でした。

タイトルに「眠り姫」とあるから、てっきり、他力本願な無能姫、もとい、自分からなにも行動を起こさない受け身一辺倒の役立たずヒロインかと思ったら、意志と誇りと立ち向かう勇気を持ったプリンセスでした。

原題は「Not-So-Perfect Princess」なので、直訳すれば「あんまり完璧でないプリンセス」となって、ハーレクインのタイトルとしては著しく魅力に欠けるとはいえ、なんで「眠り姫」なんて入れたんだろうと訝しく思いつつ読んでたら、終盤の見せ場にて、ヒロインであるジュールズ王女の口から「眠り姫」の単語が発せられていました。

城という牢獄から、さらってくれる王子を待つだけの眠り姫だったんだもの。



ジュールズ王女は、自分を「さらってくれる王子を待つだけの眠り姫」に譬えていますが、いえいえ、そんな、つむに刺されて眠りこけただけで何もしていない姫さんとは比べものになりません。

自分の意志と考えを持つ能動的な女性でした。

わたしは、「恋に落ちた」なんてのより、もっと能動的な点をアピールすればよかったのにと思いますが、出版社の方針は違うんだろうな。

◆お遊び企画、その1.わたしが考えた「眠り姫」タイトル

「眠り姫が目覚める時」
「眠り姫は荒海を目指す」
「荒海の眠り姫」
「たたかう眠り姫」
「眠り姫が戦う時」
「立ち上がれ!眠り姫」
「怒りの眠り姫」
「眠り姫はくじけない」

だめっすか?こういう、王子様を待たないお姫さまは?

そして、「眠り姫」は入らないけれど、
「怒りを歌え、王女よ・・・」
ネタ元は「イーリアス」の冒頭、「怒りを歌え、女神よ・・・」。

◆ご都合主義は創作では当たり前とはいえ、19世紀ならともかく、現代ヨーロッパを舞台にして(アルプス山脈に囲まれた小さな王国アリエストル)、「国風も中世で時間を止めていた」はないだろうと思いました。

「女性には婚姻及び職業の自由選択はない。父や夫の命令に従い、逆らう女には厳罰を」



当初、ばかばかしいと思いましたが、途中ではたと気づきました。
現代日本だって似たようなものだと。
いや、まだマシだと思いたいけど、日本国憲法24条もターゲットになってる今、王国アリエストルの設定を嘲笑できない、嘲笑できないよっ!!!!!

参考外部リンク:【Think! No.24 山口智美さんに聞く(その1)知ってる? 右派と自民党が改憲の最重要項目は、「憲法24条」!】

◆手に職のある女は強い。
ヒロイン付小間使いイヴェットさん。
裁縫の腕を生かして活躍中。

◆お遊び企画、その2.兄王子エンリケのフェティシズムを探れ!

ヒロインの当初の婚約者、エンリケ王子、まんが家さんの後書きによれば「原作ではもっと嫌な奴でした」とのことで、まんがでも憎まれ役ではあるんですが、華を持たせてもらったようです。

さて、そんなエンリケ王子が原作で用意したという、○○○フェチ全開のウェディングドレスとは?

(想像1) 足フェチ全開、スケスケロングスカート。
(想像2) 尻フェチ全開、半ケツドレス。
DVD「ミッション・クレオパトラ」でモニカ・ベルッチが演じたクレオパトラが着用していたお尻が半分出るドレスを参考。
(想像3) 胸フェチ全開、乳房半見せドレス。
シャルル7世の愛人、アニェス・ソレルの肖像画を参考。

さあ、真実はいかに(笑)?

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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