2017年02月05日 (日) | Edit |
(注意)ネタばれおよび史実ばれ有り。



 
菅野文「薔薇王の葬列」3巻・7巻

思いがけず7巻表紙にマーガレット王妃が登場。
わたしはマーガレット王妃が好きで好きで大好きなんですが、少女まんがなので十代少女読者が多かろう、人気どころはリチャード&へんろく、そして、不憫な片思い王子エドワード王太子、逆に、対象読者から見て「少女」ではない、「大人の女」であるマーガレット王妃は人気ないだろうな、だから表紙にはこないだろうなと思ってたので、よけいに嬉しいです。

いい機会なので夫のヘンリー6世と並べてみました。
ポーズが対照になってます。
手に持つものも、十字架とナイフで対照的です。

しっかり者の妻と浮世離れのぼんくら亭主。これ以上ない「理想的」なカップルだと思うのに・・・。

◆7巻にて第1部完、ですが物語はさらに続く。リチャードの人生も続く。そして、まだ複数の謎が残されています。

(1)リチャードってほんとに両性具有?
第30話で本人が「俺は男でもない、女でもない、二つの性を持って生まれてきた」と口にしてるのにまだ疑うのか!ってなもんですが、15世紀の医学で新生児の両性具有を判断できるのかという疑問がありまして。

第29話では、名高い一節が入りました。

お前は足から先に生まれてきた。
歯はすべて生え揃っていた。



逆子であることとそれに伴うお産の苦痛、生まれたての赤ちゃんに歯が生えそろっている異常性(表現がキツイですが、他の大勢と異なる状態との意味で読んで下さい)は、当時でも十分に理解できたしょうけれど、両性具有は?

とはいえ、過去にさかのぼれば「体の奥は埋められない」と、「成り成りて、成り合はぬところ」の存在をほのめかすと同時に「男の証」を有しているかのようなセリフもありましたから、疑うのは頑なすぎるとも思いますが。

(2)シセリィお母さまがリチャードを憎む動機は?
両性具有だから?悪魔の証だから?


獸木野生「パーム(29) 蜘蛛の紋様 Ⅰ」

いきなりですが、獸木野生さんの「パーム・シリーズ」です。
シリーズのメインキャラの一人である、カーター・オーガス(上記表紙絵の男性)は、母から「おまえは悪魔だ」と罵られ、時には危害を加えられて育ちました。

母がカーターを迫害した理由は・・・。
生まれた息子(カーター)が黒い髪、黒い目、日本人(モンゴロイド)の特質をありありとその容貌に宿していたから。

詳細は省きますが、パーム・シリーズの舞台はアメリカで、カーター母は多感な十代の頃、突然に、自分が日系二世と知らされました。そして第二次大戦中、恐怖におののいて過ごすことになります。
自分はアメリカ人だと信じ、日本人の血を否定していたのに、結婚し生まれた息子にはあきらかに日本人(モンゴロイド)を彷彿とさせる容貌が。

カーターの誕生をきっかけに母は精神を病み、息子を「悪魔」と罵り、たびたび危害を加えました。
カーターの父である夫は、息子を危害からかばいましたが、妻を愛するゆえに、妻の病んだ精神に向きあわず、結果としてカーターを犠牲にしました。

・・・他作品に言及しましたが、シセリィお母さまとリチャードの関係のヒントになるかなと思って。黒髪、黒い目で、母は「悪魔」と罵ってるし。

カーター母の場合は、息子が黒い髪、黒い目だからではなく、それらが、自分が忌み嫌う日本人の証であったから、精神に異常をきたし、息子を迫害しました。

シセイリィお母さまの場合、逆子を難産で産んだら、歯が生えそろった「異常な」赤ん坊だった為、精神に異常をきたし、リチャードが長じるにつれて「両性具有」が明らかになってきたので、リチャードに向ける憎悪が増した、とでも。

いやいや、やはり足りない。
カーター母の過去に、息子を憎む原因があったように、シセリィお母さまの過去にも、黒髪黒目で生まれた子ども(リチャード)を憎む原因があったんじゃないかなあと思うのです。

(3)ジャンヌ・ダルクの亡霊はいずこへ?
いつの間にか出てこなくなったけど、7巻時点で最後に登場したのっていつでしたっけ?
第13話でしたっけ?(まんがにブクマできないタイプのKindleなので、ちゃちゃっと探せないです、ごめん)
第13話はパパさんの亡霊も登場してましたが、もしや、ジャンヌ・ダルクの霊が、パパさんを騙ってるなんてことは・・・?

そして、前項で疑問に思った、シセリィお母さまの過去の因縁には、ジャンヌ・ダルクも絡んでいるのではないかなと。

(4)リチャードの両眼が異なっていることを、なぜ誰も指摘しないの?
5巻の感想を再録。両眼についての感想は今も変わってないので。

なぜ、誰一人、リチャードの両眼について触れる人がいないのでしょう。
1人くらい、「オッドアイなんて珍しいな」と話題にするキャラが出てきてもいいのに。

16話で下衆なモブが「王の弟(リチャードのこと)は随分小柄だと聞いたぜ」と言ってました。なぜ、あの目立つ「オッドアイ」が本人特定の特徴として挙がらないのか。

オッドアイそのものは、珍しいけれど謎ではありません。
だけど、作中でスルーされていることは謎です。

もしかすると、「両性偶有!」との煽りは、この両眼の謎から読者の注意をそらす為のダミーなのか?

リチャードの左眼には、実は暗黒の力が宿っていて、「薔薇王の葬列」そのものが、左眼が作り出した幻だった!
パパさんも、ヘンリー6世も、エドワード王太子も、アン・ネヴィルも何もかも、リチャードの左眼が産みだした幻であって、彼は幻の中でたった一人で生きていたのだ!!
誰もいないボズワースの平原で、その真実に気づいたリチャードはただ一人、呆然と立ち尽くすのみであった・・・。
「薔薇王の葬列」完。



(5)エドワード王太子の父親は誰なの?
十中八九どころか、百中九十八くらいでヘンリー6世だと思えますし(なんとなくお話の流れや雰囲気から)、謎と呼ぶほどのものではないでしょう。わたしが気になるだけで。

二人の意に反して、マーガレット王妃&ヘンリー6世のカプが好きなので、ちらりとほのめかされたサフォーク公との不倫及び不義の子疑惑が目障りで。だから、エドワード王太子はへんろくとマーガレット王妃との間に生まれた子だと明言があって欲しいです。

マーガレット王妃が厳しいなりに、エドワード王太子に深い愛情を抱いていることがうかがえるのも、かえって、もしやサフォーク公の子だから愛情をだけるのでは?と、わたしの胸に疑惑の火種をまいてくれてます。

愛していない夫の子どもでも、「我が子」には深い愛情を抱く母親は珍しくないから、マーガレット王妃もそのタイプだと思っておこう。
宿六亭主へんろくの種でも、我が腹に宿し、産みだしたエドワード王太子のことは愛していたのよ。父がへんろくであっても。

◆第26話でのマーガレット王妃の言動は、王妃好きのわたしとしては消化しきれなくて、触れないつもりでしたが、個人の趣味ブログであり、趣味で披露している感想ですから、まとまりないまま書いときます。

「賢明な女は坐してただ嘆いたりせず、如何にすれば事態を好転させられるかを考える」
「男の肋骨から造られた女が、人を宿し産むことができるのは何故だと思う?男から自分の運命をとり戻す為よ」



マーガレットさまかっこいいいいい!大好きーーー!!

「ヘンリーを愛したことなど一度もない。
真に愛した男は神に奪われた・・・」



(泣)。マーガレット王妃&へんろくのカプ推しのわたしを嘆かせてくれる。さすがドS王妃(泣)。

「・・・あとは私の口から言う訳にいかない。いいわね、アン。これは私の命令じゃない。(中略)貴女に、エドワードの命を託します」



やめてええ、鬼子母神のエゴはまだしも、貴女がそんな卑怯な振る舞いをするのは見たくないーーー!

鬼子母神のエゴとは。
よその子が自殺しようが殺されようが、自分の子どもが無事でああ良かったと安堵する親の心情。鬼子母神の話が元なので、この種のエゴイズムは母だけが有するかのように思われがちだが、父にだってある。親であれば、性別問わず、多かれ少なかれ有するエゴイズム。詳しくは鬼子母神のお話を読んで下さい。

マーガレット王妃がアン・ネヴィルに示唆したのは、
「エドワードを生かす(逃がす)為に、アン、貴女が犠牲になって。でも、エドワードのプライドは傷つけないで」ってことでしょ?

我が子の為に、アン・ネヴィルの命を犠牲にさせようとした。
しかも、それを明確に指示せず、言葉をあいまいにし、アン・ネヴィルが察する形をとった。つまり、責任逃れをしたわけです。
だから「卑怯」だと思いました。

マーガレット王妃が、エドワード王太子を逃がそうとしたのは、単に我が子可愛さだけでなく、ランカスターの復興を願った為と思いますし、後の言動からすれば、アン・ネヴィルだけでなく、自分の身も犠牲(囮)にするつもりだったとわかりますが、やはり、ネットスラングで言うところの「察してちゃん」なやり方は、卑怯に見えました。

「愛する者を二度と失いたくないでしょう?」と、言葉巧みに、アン・ネヴィルの弱味をついているし。

せめて、明確に「エドワードの為に死んで」と口にしてくれてたら、「卑怯」と感じることはなかったのに。
鬼子母神のエゴだけなら、醜く浅ましいと思うけれど、親の業だと同情もできたのに。

マーガレット王妃の為に、好意的に解釈すれば、
(1)本人もエドワード王太子の為に死ぬ覚悟があった。
(2)アン・ネヴィルをエドワード王太子の命を救う「同志」と見なしていた。

アン・ネヴィルを捨て駒ではなく、同志と見なしていたのかもなあと思いたいけど、第27話での指示も合わせて考えると、好意的な解釈の立場に立ちきれない、マーガレット王妃の言動でした。


杉本苑子「永代橋崩落」

1000人以上の死者・行方不明者を出したと言われる、江戸時代の橋梁事故を題材にした作品です。事故に巻き込まれた人々の短編集。8編中7編が悲劇エンドです。
悲劇の7編のうちの一作「ふたりの母」は、親が子に注ぐ愛の美しさの底にある、醜さ、身勝手さ(平たく言えば鬼子母神のエゴ)を描く、「親たることの業」を問う傑作です。

◆下世話な好奇心ですみませんが、第27話、戦の前夜、エドワード王太子とアン・ネヴィルは、マーガレット王妃の指示通り、性行為を遂行したんでしょうか?

「戦の前に妻を抱いてやりなさい。それも王の務めよ」とのセリフの後の場面、エドワード王太子ってば、上半身裸じゃねーか!
これは何ですか、暗に、「やることやりましたよ」との意味ですか?
(初夜の時も上着を脱いでいたから、「エドワード王太子が上半身裸」ってのは、二人の関係における、「肉体関係を結んだ」ことのほのめかしでは?)

他人の性生活を詮索するなど下品ですが、少女まんがにおいては重要事項です。
もし、マーガレット王妃の指示通り、遂行していたとしたら、エドワード王太子は、リチャードを愛しているくせに、他の女と性関係を結んだことになり、少女まんがの倫理観に照らせば「ヤリチン野郎」となります。
初夜の時と違い、マーガレット王妃の監視の目はないんだから、ここで性関係を結んだとしたら、責任はエドワード王太子が負わなければなりません。

(ところで王妃は「王の務め」と促していましたが、あの時点でこの指示って、肉体関係でアン・ネヴィルをしっかりエドワードに結び付けておこうとしたんじゃないかな。だとしたら、マーガレット王妃の狡猾さに嫌悪が・・・。)

作者さんが、わざわざ上半身裸の姿で描いてらっしゃるのが気になります。
服を着てたんなら、「そっか、リチャードへの操を守ったんだな。おばかちゃんなりに、筋は通してる」と思えるとこなんですが、上半身裸だからなあ。
アン・ネヴィルは着衣でしたが、彼女を脱がせて描いたら露骨になるので、エドワード王太子の上半身裸だけで「やることやった」と暗示したのかなと。
ああもう、気になる。

おばかちゃんなりに操を守った男なのか、天然ちゃんのヤリチン野郎なのか、エドワード王太子のキャラクターが天と地ほどにも変わるとこなのに、明確でないなんて。

話は変わるけど、アン・ネヴィルが燭台でエドワード王太子を殴り倒したとこ、笑うとこじゃないけど、ちょっと笑えました。
こういう時、まんがやドラマでは、鳩尾に一発食らわして気絶させるのが様式美ですが、アン・ネヴィルには無理だよね(笑)。だから燭台ってとこが可笑しかったです。

◆第28話のマーガレット王妃の境遇は、第5話、ヨーク公リチャード(パパさん)の最期のリフレインであり、対照でもあります。そこが美しいと思いました。

ヨーク公リチャードは、マーガレット王妃から愛息(リチャード)の死を告げられ(虚言)、「絶望して死ね」との言葉とともに殺されました。

マーガレット王妃は、目前で愛息エドワード王太子を殺され、共に殺されることを願いましたが、「絶望しながら生きていけ」との言葉とともに生かされました。

◆エドワード王太子、死す。
失礼ながら、初めて読んだ時点では、作者さんがエドワード王太子を悪役にすることから逃げたかと思いました。

今まで感想で何度か触れた通り、エドワード王太子がリチャードの体の秘密を知った時どんな態度を取るのか、エドワード王太子の性分からして、「騙したなあっ」と激昂する可能性が高い、でも、読者人気のありそうな彼に、そんな泥水をかぶせるようなことをするのだろうか、しかし、史実を改変しない限り、彼の命はあとわずか、と、色々考えていました。

結果、エドワード王太子は、リチャードの秘密を知らぬまま、実際にリチャード本人に想いを伝えることもないままの死を迎え、肩透かしをくらった気分でした。

なんせ、「この俺こそ、王太子エドワードだ」と名乗りを聞いても、第5話での強烈な邂逅(「おまえが女だからだ」との指摘等)を、ぜんっぜん思い出さないリチャードの様子に、エドワード王太子はリチャードの人生において、ほぼモブに過ぎなかったのだなあと、気の毒になりました。

けれど、何度か読み直して、エドワード王太子の恋心は生きていると思いました。
アン・ネヴィルの存在に。

彼女は知っていました。
エドワード王太子がリチャードに恋していたことを。
そして、アン・ネヴィルとエドワード王太子は一種の親友のような関係になっていました。

今後、アン・ネヴィルがリチャードにエドワード王太子の想いを伝える展開がくればと願う反面、リチャードにとってモブ同然の人物の逆転なんて有り得るんだろうかと期待できない思いも。
仮に、エドワード王太子の恋心を知ったとしても、それが、リチャードにとって喜びをもたらすものと予測できないことも、また辛いです。

◆乳房のかすかな膨らみに触れただけで、初恋一直線で暴走したわりには、初めての(推測)肉体関係に溺れなかったエドワード王太子でした。
こうなるとかえって、アン・ネヴィルとの性行為が、エドワード王太子の精神に及ぼした影響ってものが気になるぞ(同時にアン・ネヴィルへの影響も)。

一夜を過ごした後、あきらかに、二人の親密度は上がっていましたが・・・。

わたしは男と女の関係の帰結が「親友」ってのは良いなと思います。
二人の間に肉体関係があっても、「恋愛」ではなく、「親友」という形で続くのも良いなと思います。

だから、肉体関係を結んだ「妻」を相手に、「生まれて初めての友達だ」と口にできるエドワード王太子に好感を持っていいはずなんですが・・・。
彼については、天然ちゃん、あるいは、おバカさんとの単語が頭の中をぐーるぐる。

なんかねえ、肉体関係を持ってなおかつ親友でいられる男女って、精神的にもっと大人だと思うんですよ。
この子の場合は、精神的にはまだ子どもに見えて、肉体関係を結んだ相手に「親友」と言えるのも、子どもゆえって気がしました。
だから、もう少し生きていたら、リチャードとの関係も、アン・ネヴィルとの関係も破綻をきたしていたのではなかと。
冷たい言い方になるけれど、ボロを出す前に早死にすることが出来たなと。

肉体関係を結んでなお、彼が「友だち」を得たことを喜んでいたってのが、この子が純真な少年のままであった証なのかもしれません。
そう思うと切ないね・・・。

◆結局、リチャードを「悪魔」と罵ったのはヘンリー6世の方でした。
しかし、あそこらへん、誰が誰にどう関わったか、そもそもへんろくの精神状態は普通ではないじゃんとか、ひょっとすると、眼を切られただけで止めは刺されてないじゃん、生きてんじゃん?とか、いろいろようわからん。

ヘンリー6世がリチャードを怖れた理由のひとつは、シセリィお母さまから吹き込まれた「毒」(言葉による毒ね、本物の毒じゃなくて)であろうと察しはつくけど、シセリィお母さまがそういう行動に出た動機は?
いつものリチャード憎さだと思いますが、この方はヨーク公リチャードの未亡人でした。夫を殺した元凶であるランカスターの国王への憎悪ってのもあったのかも。

そして、ヘンリー6世は、リチャードの言葉をどこまでちゃんと理解していたのか。
リチャードは「両性具有」の体を「悪魔」と罵られ、拒まれたと考えたようだけど、わたしには、ヘンリー6世は己の内の「欲情」を怖れたように読めました。その「欲情」を引き起こすものとして、リチャードを「悪魔」と罵ったのだと。

妖精さんのようなヘンリー6世と思ってましたが、もしやひょっとすると、成人男性としての通常の性欲とか異性に惹かれる気持ちってのも持ち合わせていたのかなあ。

第5巻の感想で書きました。

そして、母親の不実と裏切りによって、情欲への拒否感、ひいては一種の女性嫌悪に陥っているヘンリー6世ですが、同じく回想場面を見る限りでは、妻となる女性とは、「仲良くやっていこう」との期待を寄せていたのでは?と思えました。

回想場面の最初のコマ、今より幼く、はにかんだ生真面目な表情のヘンリー6世。
しかしその視線の先には、サフォーク公に手をとられ、寄り添うマーガレット・オブ・アンジュー。

母に続いて、妻となる女性も「不実と裏切り」を為していたと悟り、情欲を否定する思いが一層募ったのか・・・?



ただ、幼い頃に目撃した母の痴態が、欲情は罪だと思わせ、それらの健全な発達を阻んでしまった?

(第30話の回想に、母キャサリン・オブ・ヴァロアによる性行為の強要のようなイメージ画面があったけど、ヘンリーの為にもそこまでの加害があったとは思いたくない。けれど、ヘンリーの心には「性行為の強要」と同じくらいの傷を残したと思います。)

◆エド兄さんが、やはりヘンリー8世の祖父だねえと思わせる、非情さ、冷酷さ、身勝手さを発揮しております。
エリザベス・ウッドヴィルには是非、近い未来のエド兄さんの臨終の床で、囁いて欲しい。
「絶望して死ぬがいい」と。

「わたしが愛していたのは、亡き夫だけ。ジョン・グレイだけ。
夫を殺したヨーク家を滅ぼす為に、わたしは貴男を誘惑し、王妃の座をつかみ取った。
ねえ、貴男、わたしの幼い息子たち。エドワードとリチャードの二人を、本当に、自分の子どもだと信じているの?
わたしがお前の息子を産んだと信じているの?
ヨーク家を滅ぼす為にお前と結婚したわたしがお前の子を産むと?
あの子たちの父親は、わたしの弟のアンソニーよ。
あの子たちには一滴もヨーク家の血は流れていない。
お前の血は流れていない。お前の血は王座に受け継がれることはない。
絶望して死ぬがいい」
(「貴男」と「お前」の混在はミスではなく、エリザベス・ウッドヴィルの感情の高まりを表しています。)

アンソニーとの近親相姦は事実無限ですが、エド兄さんを絶望させる為に、それぐらいの虚言を言ってやれ!

さすがヘンリー8世の祖父だけあるわ。
ものすごくむかつかせてくれる、エド兄さんでした。



読んで下さってありがとうございます。
次は、第二部開幕となる8巻の感想でお会いしましょう。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

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コメント
この記事へのコメント
10年後にはエド兄さんが更に…
初めまして、いつも楽しく拝見しております。
特に薔薇王の葬列では、ここまで詳しく考察してくださっているブログは他にないと思うので、史実・引用書籍含めとても興味深く読ませていただいてます。

記事の後半でエド兄さんを冷酷で非常で身勝手と評されていて、うんうんと頷きながら読んでいたのですが、最新4月号の月刊プリンセスでは、更にエド兄さんの株が暴落しましたのでついこちらにコメントしたくなりました。
サラ様がコミックスであのエド兄さんを見たらさぞ痛快・辛辣にバッサリ斬ってくださることでしょう…。

序章、そして10年後の新章でも身勝手ぶりは相変わらずですが、色狂いとゲスっぷりは4月号で祖父のヘンリー8世を軽く超えるまでにレベルアップ?しました。
未遂とはいえ、リチャードさんにあんなことやこんなことをしてくれやがりましたよ(怒)。

ウォリックさんといい、リチャードといい、尽くす人間ほど報われず、忠誠心を都合よく使われて自覚もなく踏みつけにされるのがエド兄さんなのですが。
今回は、ヨーク命で外見(だけ)そっくりなエド兄さんをパパさんに重ねていたかもしれないリチャードさんが「あんな男、王(父上)じゃない!」と現実に目覚めるほどのものでした。

でも欲を言えば、もっと早く、ウォリックの反乱の時にでもこのダメ兄を見切っていれば、その後のリチャードさんの絶望ももしかしたら回避できたのかもしれないと思うと…。
史実、というか原作のシェイクスピアにほぼ忠実な展開ではあるので、あそこでリチャードさんが兄に反旗を翻すifはないと分かってはいるのですが。

リチャードよりかなり早くエド兄さんのダメっぷりに見切りをつけたウォリックさん。
結局、心情的にはエド兄さんを切り捨てられず、最期には和解?のようなものをして亡くなりましたが。
あそこで命が助かったり、反乱起こさずに堪えてたとしても、今回の光景を見たら憤死するだろうと思われる4月号読了後でした。

そして、同じく記事の後半に出てきたエリザベス・ウッドヴィル。
本人も親族もそれほど出番は多くないですが、それでも例のアンソニ―、というより、エリザベスの連れ子(ジョン・グレイとの息子)の軽薄さと増長ぶりがわかる一幕でした。

エリザベスの回想に出てきたジョン・グレイは、思慮深げで立派な人そうなのに、その息子たちは…。
エド兄さんのエリザベスへの入れ込みや親族の重用っぷりからして会う機会がそれほど少なかったとも思えないのに。
会ってもただ愛情を伝えてかわいがるだけで肝心の教育とかは人任せだった感がありありと。
前夫が望んでいたかも分からない復讐、もしくは一族による権力独占そのものに夢中になるあまり、肝心要なことを置き去りにしている感のあるエリザベスとその周辺でした。

エリザベスは、愛してないエド兄さんとの息子たちのことは「切り札」とみなしているわけですが。
今回のエド兄さんの動向に加えて、後にその「切り札」が全く使えないものだったと判明する時が来るわけで。
その後のエリザベス・ウッドヴィルはエド兄さんとの子供たちに向ける感情が予想できるような気がします。
表面的にはどうあれ、内心や行動はリチャードの母シセリー並みの鬼母というか鬼女になるのではないかと。

長文申し訳ありません、薔薇王8巻のサラ様の感想・考察を心待ちにしております。
2017/03/13(Mon) 02:47 | URL  | ローズ #-[ 編集]
連投すみません、ヘンリー8世はエド兄さんの孫に当たるわけですが、間違って書いてしまった部分がありました。
ヘンリー8世の身勝手ぶりや好色さは間違いなくこの祖父からきてそうですよねぇ…。

まあ、もう一方の祖父のヘンリー7世も強烈そうなキャラではあるのですが。
時系列からして、あと少しでラスボス?のヘンリー7世やマーガレット・ボ―フォードも登場しそうですね。
リチャードにドSな作者と物語展開からして、ヘンリー7世さんはへんろく、もといヘンリー6世を思い出させるようなそっくりな容姿と似ても似つかない野心とドSさの持ち主なのでは、と予想してます。

これまでの展開からして、リチャードとヘンリー7世も一度は直接会う場面がありそうなので、それが楽しみなような、怖いような。
2017/03/13(Mon) 03:02 | URL  | ローズ #-[ 編集]
ローズさま、コメントありがとうございます。
ローズさま、こんばんは。
コメントありがとうございます。

自己満足で書いてるとはいえ、読んで楽しんで下さってる方いるというのは嬉しいです。

エド兄さん株、さらに下落中ですか・・・。
1巻あたりでは、後の好色漢の萌芽を見せていたけれど(アン・ネヴィルがリチャードに好意を寄せていることを察していたり)、弟想いのところもあるいいお兄さんでしたのに。

史実の縛りがあるとはいえ、迷いながらも、エド兄さん奪還に努めるリチャードには不憫がかかりました。
迷いつつも、自分が前に立とうとしないのは、やはり「悪魔」と罵られてきたことの劣等感が強いためか。。。

ウォリック伯にはあまり思い入れがなくて言及も少なかったのですが、最後の最後に、ヨーク公リチャードの思い出にひっぱられ、エド兄さんに振るう剣に迷いが生じたのが惜しまれます。
血筋からして王位につけない彼が、自身の野心を満たす存在でありながら、自分の知勇を捧げても支えたいと心酔できる人物であったヨーク公リチャードを失った痛手はいかばかりであったか。
そして、忘れ形見の息子が、外見はそっくりでも、中身は雲泥の差であったというのも。

アンソニーは、雑誌での登場当初の人物紹介では「常識人のようだが・・・」と書いてあったので、少しは期待していたのですが、やっぱり「ようだが・・・」ってとこがみそであったと思われる増長ぶりのようですね。
なにげに、ジョン・グレイのあの愛らしい忘れ形見の息子二人(異父弟が生まれたら、母の愛情が移ってしまうのでないかと案じてた可愛い二人)も、軽薄に染まってるのは残念です。好青年への成長をちょっとは期待していたんだけどなあ。ただでさえ、リチャードには心休まる時がないのだから、愚かな親族は少ないほどいい。

>前夫が望んでいたかも分からない復讐

この指摘にははっとしました。
たしかに、復讐はエリザベス・ウッドヴィルの悲願であって、亡き夫ジョン・グレイのものではないですね。
死に臨んで彼が何を恨み、何を望んだかはもうわからないことで、結局、彼女は、「亡夫の復讐」と言いながら、亡夫を殺された自分の為に復讐している。

>今回のエド兄さんの動向に加えて、後にその「切り札」が全く使えないものだったと判明する時が来るわけで。

意地悪いですが、わたしはこの時が楽しみです♪
愛の罠にかけ、虜にしたつもりでいる夫(エド兄さん)にまんまと欺かれているエリザベス・ウッドヴィル。
真相がわかった時の彼女の反応が楽しみですが、「薔薇王」版だと、一筋縄ではいかなさそうなので、リチャードの敵として、憎悪を糧としてますますパワーアップしそうなとこが、一応、リチャード好きなわたしとしては、困るとこです。

>まあ、もう一方の祖父のヘンリー7世も強烈そうなキャラではあるのですが。
時系列からして、あと少しでラスボス?のヘンリー7世やマーガレット・ボ―フォードも登場しそうですね。

後のヘンリー7世も、その母マーガレット・ボーフォートも未登場でしたか。そろそろ、顔見世ぐらいはきてるかと思ってましたが。
マーガレット・ボーフォートなら、へんろくの母とは真逆の性に潔癖な女として出てきそうです。


>リチャードにドSな作者と物語展開からして、ヘンリー7世さんはへんろく、もといヘンリー6世を思い出させるようなそっくりな容姿と似ても似つかない野心とドSさの持ち主なのでは、と予想してます。


わたしは、そうなったらいいなと思ってます。
なんといっても、伯父と甥で「そっくり」の理由づけもできるし。
リチャードにとって忌むべき名、ヘンリー、再び。
そして、そっくりさんヘンななも、リチャードに懸想するという、「その発想はなかった!」展開になったら面白いな~と。

今後も、ハードな展開が続くと思いますが、それだけに続きを楽しみにしたいと思います。

ローズさま、コメントありがとうございました。





> 連投すみません、ヘンリー8世はエド兄さんの孫に当たるわけですが、間違って書いてしまった部分がありました。
> ヘンリー8世の身勝手ぶりや好色さは間違いなくこの祖父からきてそうですよねぇ…。
>

> リチャードにドSな作者と物語展開からして、ヘンリー7世さんはへんろく、もといヘンリー6世を思い出させるようなそっくりな容姿と似ても似つかない野心とドSさの持ち主なのでは、と予想してます。
>
> これまでの展開からして、リチャードとヘンリー7世も一度は直接会う場面がありそうなので、それが楽しみなような、怖いような。
2017/03/14(Tue) 22:19 | URL  | サラ #ndrEhoxc[ 編集]
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