2017年02月24日 (金) | Edit |
そろそろ、また、「2月が他の月より日数が少ないのは、アウグストゥスが我儘を言ったから」との俗説が湧きあがる頃かと思いますので、市民の第一人者たる彼が、そんな横車を通すはずはなかろうと証明します。
題して、「俺たちのアウグストゥスがこんなに我儘なはずがない」。

と、意気込んだものの、国立天文台のFAQと、日本語Wiki「ユリウス暦」がその件について満たす内容になっていると知り、両者を紹介すれば事足りると思いました。

外部リンク:国立天文台
メニュー「天文情報」
 ↓
「よくある質問」
 ↓
「3.暦に関する質問」
 ↓
「質問3-8)どうして2月だけ28日しかなくて、日数が変わるの?」

上記の回答をご覧いただければわかりますように、ヌマ暦の時点で2月の日数は28日でした。
ユリウス暦でも、日数28日は、そのまま採用されています(但し、閏年は除く)。
2月の日数について、ユリウス暦が、ヌマ暦を引き継いでいるのであれば、アウグストゥスは関係ないじゃん!

「アウグストゥスの我儘説」の発端については、下記リンクを参照。

外部リンク:【日本語Wiki「ユリウス暦」】

「各月の長さ」項目内に、「アウグストゥスの我儘説」の元となったと思われる、サクロボスコの説が検証されています。
結論を引用すると、

現在では、ローマ暦末期の各月が大の月、小の月の順に交互にやってきていなかったことがわかっており、サクロボスコの解釈は誤りとされる。
(大文字強調はわたし)



という事ですので、アウグストゥスの我儘説が流れたら、国立天文台FAQと日本語Wiki「ユリウス暦」へと誘導しましょう。

さらに詳しい内容をお求めの場合は、英語Wikiへ。

外部リンク:【English Wiki “Julian calendar”】

そして、暦の検証とは別に、アウグストゥスの性格および、政治的なスタンスからして、こんな横車を通す人じゃないと思います。
こんな子どもじみた自己顕示欲に満ちた我儘を。
カリギュラじゃあるまいし。



これだけで終わるのも物足りないので、「アウグストゥスの我儘説」を採用している本を紹介します。
どっちも好きな本なので、晒す為とかあげつらう為でなく、いい機会だから紹介しとこってとこです。

  
蛇臓「決してマネしないでください。」全三巻
(講談社の「週刊モーニング」にて月イチ連載。完結済み。)

該当のお話は、1巻Q6「2月はなぜ28日しかないのか?」。
いちおう、本編後の「コボれ話」で、

「2月が28日しかない理由」については、本編で紹介したもののほかにも説が存在する。ヌマ暦からユリウス暦に改暦する際に、すでに2月は28日しかなかったというものだ。現在ではこちらを有力視する声も大きい。
(大文字強調はわたし)



と、フォローが入ってます。

ところで、同じ「コボれ話」内の

ローマの立て役者として有名なアウグストゥスだが、幼少期より周囲に持ち上げられていたためか、性格に難があったという説も残っている。



初めて聞くぞ、そんな説。
そもそも、結果的にはカエサルの養子になってるけど、「姪の息子」だから。血縁といっても遠いから。もっと近い縁の男もいたから。「幼少期より周囲に持ち上げられる」ってほどのことはなかったのでは?

責める気はないから、どこの本に書いてあったか知りたい。
ユリウス暦は、カエサルがクレオパトラの影響で、エジプトの太陽暦を採り入れたともいわれているので、エジプト贔屓の書物にでも書いてあったのかしら(クレオパトラを死に追いやったということで、アウグストゥスをこき下ろす、クレオパトラ・ファンの作家は多い)。

さて、全体の感想を。
「大人の為の学習まんが」。
理系学習まんがなので、作中の実験や知識を紹介すべきなんだけど、非理系人間のわたしが、どう紹介しようかと悩んでいたら、日本語Wikiに項目があったので、そっちを頼ります。

外部リンク:【日本語Wiki「決してマネしないでください。」】

実験の詳細も、科学の発達と基礎の流れも記述されてないけれど、「作品中で紹介されている人物」一覧を見れば、錚々たるメンバーで興味わくでしょ?ね、ね?

なので、わたしはわたしの切り口で。
学習まんがとしても面白いのですが、「ロマンスまんが」として、自分のツボにきました。

まず、年上ヒロインである。
ヒロインである食堂のおばさんこと、飯島京子さんと、彼女に恋する掛田理(かけだ・さとし)くんの年齢差は推定5歳から7歳。

1巻Q6「2月はなぜ28日しかないのか?」内で、白石先生の予想による、「飯島さんは24歳から25歳」とのセリフがありますが、3巻収録の描き下ろし前日譚「10 years ago」を読むと、10年前、飯島さんは物理学を習う年齢です。すなわち高校生、したがって16歳から18歳の間でしょう。

掛田くんは、1巻Q6で21歳と本人が口にしているので、10年前は11歳。
計算すると、飯島さんは、5歳から7歳上になります。

ちなみに、「やっぱり年下は駄目なんですかね」と悩む掛田くんに、周囲(男)がかけたセリフが

「気候変動を研究している僕からすると10年くらいは誤差だ」
「地質の研究をしている僕からすると1000年くらいは誤差だ」
「銀河の研究をしている私からすると、10000年くらいは誤差だ」



そして、基本、年上ヒロインが好きなわたしからすると、5歳違いなんて、最低ラインですわ(笑)。

次に、掛田くんが飯島さんに恋したきっかけも良い。
飯島さんは学生食堂の調理師さんです。
凡俗のロマンスならば、飯島さんの愛情のこもった手料理や笑顔をきっかけにするでしょうが、本作は一味違います。
ぼやが起きた時、なすすべもなかった掛田くんを尻目に、すかさず消火器で鎮火に努めた飯島さんの勇姿に一目ぼれしたのです。

さいごに、掛田くんの飯島さんへのアプローチ及び、彼の恋を応援する周囲の男性の態度がちゃんとしていること。
ちゃんとしているって抽象的ですが、変な恋愛テクニックを駆使したりせず(まんがの性質上当然とはいえ)、飯島さんの立場や気持ちを想像し、彼女に不愉快でないよう、彼女によろこんでもらえるように、飯島さんをきちんと一人の人間として尊重してるとこです。

そういえば、雑誌は違うけど、講談社って、女をナンパしてヤリ捨てる犯罪を教唆している「恋愛工学」を漫画化して連載していたよなあ。(ピーッ)(←自粛)と罵倒したい。

参考までに、「恋愛工学」批判のとっかかりに適切と思えるブログ・エントリにリンクしときます。

恋愛工学が危険なのは恥ずべきセックスだからではない
端的に言うと、危険なのは「犯罪」だからですよ。
(外部リンク:【恋愛工学が危険なのは「もっとも恥ずべきセックス」だからではないし、「女性に優しくしたからモテない」も間違っている】より引用)



比較の対象がひどすぎるとはいえ、この「犯罪教唆」と比べると、本作の男子は、みなまともだ。立派だ。まともだ。立派だ。。。
いや、本作の男子が普通なんだ。これが、人として当たり前なんだ。これが普通であるべきなんだ。。。



話を戻して。
「ロマンスまんが」の面から離れても、例えば、

掛田くん「学問の適正にY染色体の有無は関係ないと思うんです!!」
高科先生「優秀な女性物理学者はたくさんいますよ(核分裂反応のリーゼン・マイトナーとか)。
数年前、首席をとったのも女子学生でした」
(1巻Q3「字も書けない青年はどうやって名医になったのか?」)



このように、科学に関わる女性の存在も、女性が関わることもないがしろにしていません。
工科大のリアルを反映してか、女子学生そのものはたいへん少ないのですが。

2巻で登場する飯島さんの姉の子が、姪っ子ってのも好ましいです。
姪っ子、すなわち、女の子。
カエルが好きな女の子(女の子はカエルを怖がるものだと誰が言った?)。
科学の世界に興味を持ったのが女の子(女の子は科学に関心を持たないとry)。
今はまだ、ヒコーキはどうして飛ぶのーと、遊びのひとつかもしれませんが、そういう興味関心は男の子だけのものではなと描いてくださってるようで嬉しいです。

そして、小さいけれど、わたしが好きなセリフ。
「お笑いロボットコンテスト」に出場した、Bチームは男2人、女1人の組です。
紅一点の源さん曰く

「性別で態度を変えないテレス君は楽でいいわ」



セリフが短くて、いろんな解釈が可能かと思いますが、先に書いた、「女性を一人の人間として尊重している」ってことはないかと思うんです。

わたしの願望を言えば、
「埋もれたり忘れられたりした『女性』科学者を中心にして、同コンセプトの作品を読みたい!」



「決してマネしないでください。」項目の終わりに。
書こうか書くまいか迷ったけど、「決してマネしないでください。」には、」とある本の宣伝四コマが掲載されていて、本作をわたしのブログで採りあげたということは、間接的に宣伝に加担したことになると思うと気分が悪いので書いときます(辺境過疎ブログがうぬぼれんなとツッコミはなしで)。

本作2巻に、とある心理学マンガを宣伝する四コマが掲載されています。
その監修者のツィッターを知ってますけど、非常識でミソジニーとレイシズムにどっぷりつかってる人と見受けられます。下衆、下劣、卑劣。とうの昔にブロックしてます。
だから、宣伝四コマを見た時は、げっとしました。

例えるなら、過去にたまたまブログを読んであーやだやだ、こんな男気取りで女を見下してかかる、名誉男性気質バリバリのブロガーとは関わりたくないわと感じた、当のブロガーからいきなり親しくコメントをもらった時のような。
なんで関わりたくないと思った当の本人が現れるんだよ、不愉快だからこっち来んな!という気分です。
この宣伝四コマを見た時は、本作を買ったことを少しばかり後悔しました。

 
左:「カエサルくんとカレンダー」
右:「カエサルくんと本のおはなし」
文:いけがみ しゅんいち
イラスト:せきぐち よしみ


このシリーズ好きなので、「本のおはなし」にもリンクしました。
現時点では二作ですが、続きでないかなあ。

勝手に続刊予想。
「カエサルくんと共和政(民主主義が誕生するまで)」、
「カエサルくんとナイルのすいげん」
「カエサルくんとべんろんじゅつ」

せきぐちよしみさんによる画も、あたたかく、読んでてとても心地良いです。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。

↓「日本ブログ村」に参加しています。記事がお気に召したらクリックを!励みになります。
にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 漫画ブログへ
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック