ここはローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの妻リウィアのファン・ブログですが、だいたい、まんが感想で成り立っています。
2017年04月03日 (月) | 編集 |
(注意)ネタばれ有り。
再録ですが、過去いただいたコメントは未再録です。コメントありがとうございました。


ブログから下げて今は撤去したサイトにアップしていたのですが、電書化時にそれを記念してブログに再録しました。
再録作業時、久方ぶりに読み直したら、もうめちゃくちゃ恥ずかしい。再掲載をやめようかと思ったくらい恥ずかしい。
全文書き直したいとこですが、そんな気力もないので、ちょこちょこ削って再録です。


内水融「アグリッパ-AGRIPPA-」1巻

◆参考文献記載がなかったのが残念。
最終巻までに期待、と言いたいところですが、結局なかった。

◆タラニス「11歳」に注目してしまいます。
連載前の予告カットを見た時、少年の方(タラニス)はアグリッパでは?思いました。
この少年がウェルキンと共に反ローマに起ち、結果カエサルとの知遇を得て、最終的にはアグリッパと名のり生きていくのかと。
アグの出自は不明なので、こういう展開にしても、創作なら十分に許容範囲でしょう。

ただ、その時にひっかかったのは年齢です。
アグリッパはオクタウィアヌスと同年齢と推測されているので生年は紀元前63年。
アレシア攻防戦の年で11歳ですから、これでは戦闘ものの主役となるにはちょっと幼いと思い、「ガリアの少年=未来のアグリッパ」説は、自分で却下ました。

でも、連載1回目で親切(笑)に「11歳」との記載があったので、捨てた予測なんですが、もしかして、と、気になっております。

この件は別にしても、つまり、タラニスがアグとは別人であっても、面白かったです。
「ローマの圧政に立ち向かうガリア」の導入がわかりやすく、青年誌掲載ですが、王道の少年漫画のよう。
ウェルキンゲトリクスがかっこいいです。(できれば無頼っぷりはこの一線で踏みとどまってほしい。某ウェルチンに堕した姿は見たくない)

ショタ趣味はないのですが、タラニスが健気で可愛らしくて。
こどもらしい大きな切れ長の目が魅力的です。
タキを返り討ちにした後、ウェルキンに抱きしめられて、涙ぐむ表情が良かったです。
あの後、ちょっと自失したような表情のままでした。これも良かったと思います。
おそらく、この子の成長もメインになるのでしょう。

◆ウェルキンゲトリクスの過去が明らかにされ、おなじみの「彼」が登場した第2話。
1話に続き、読みでがありました。
表紙と見開きの気迫が印象的です(見開きの演出は第1話もあり、使いどころがお上手です)。

対ゴバンニティオだった因縁が、あの殺戮で対ローマへと向かってしまったということで、アントニウスとの関わりも明らかにされ、今後の展開もますます楽しみ。

グトゥルアトスが、心痛のあまりぶっ倒れないか心配ですが。

しかし、アントニウスって、どこに出てきても、「いい男」にはなりますね。
ろくでもなかったのは、ドラマ「ローマン・エンパイア」とドラマ「エンパイア」くらいかな(どちらも、オクタウィアヌスが主役でしたから)。
プルタークの「英雄伝」を読んだ限りでは、たしかに、陽気で酒好きで、女好きで、戦争が好きで、いい男には違いない。
第2話の終わり、裸になってトップレスの女を侍らしていたあたり、いかにもこやつのイメージにぴったりと思いました。

◆全編ハードな展開だったので、グトゥルアトスの顔芸になごみました。
コメディパートとして「ヤキュウム」ねたがあったけど、謹厳な年長者だけに可笑しみが倍増でした。
タラニスから「爺」と呼ばれていたけれど、そんなに年配なんでしょうか。
心痛のあまり白髪が増えませんように。

◆カエサルに先駆けてアントニウス登場。
ええ、確かにガリア戦役に従軍していましたから、登場してもおかしくないのですが、カエサル登場を念頭に置いていたので、ウェルキンゲトリクスとも因縁を持つ、重要人物としての登場に意表を突かれました。

改めて、この漫画、ものすごく贅沢な作りだと思いました。
この時代の「ローマ」好きにとっては。

「アグリッパ-AGRIPPA-」も、主人公はガリア側のウェルキンゲトリクスで、ローマが善玉ではありませんが、クレオパトラの附馬扱いでない、歴とした「ローマ人」アントニウスの姿がものすごく新鮮です。

ガリア人とも分け隔てなく腹を割ってのつきあいをし、涙もろく、情に厚い反面、命令一下、皆殺しも実行できる酷薄さ。
いいキャラ立ちしています。

顔だちがさわやか系で痩身に見えたのですが、脱いだらけっこうたくましかったです。
トップレスの美女三人侍らしていて、やっぱりアントニウスはこれでなきゃ。

◆第1話のヴェルカッシのセリフ「アナタがあの子に執着したいのはわかる」の意味が明らかになった第2話。
ということは、今回ラストのアントニウスのセリフ「俺は俺に逆らわない奴が大好きなんだ」の意味は、第3話で明らかになるか。

ウェルキンゲトリクスはアントニウスに裏切られたのですが、アントニウスもウェルキンゲトリクスに裏切られたと思っていたのではないかなと。
ローマ市民権を拒否されたことは、アントニウスにとって、戦役をともにし、「弟」と呼ぶまでに信頼を寄せた相手からの裏切りではなかったのか。

ウェルキンが、ローマ市民権を謝絶した時、「初めて俺の命令に逆らったな」と「命令」と表現している所も気になります。

「俺は俺に逆らわない奴が大好きなんだ」の裏には、かつて自分の命令に逆らった男=ウェルキンゲトリクスへの、情念が残っているのではないかなとか、いろいろ想像させてくれるセリフ回しでした。

◆ウェルキンゲトリクス過去話だったので、少々影が薄かったタラニス。

ウェルキンゲトリクスに父と同じ匂いを感じたとすれば、やがてカエサルとの邂逅を得て、カエサルにも、という展開かなと、ちらと思いましたが、先走りせずに一話一話を楽しみにします。

◆タラニスの目つきが猫に似ていると気が付いて(遅いよ)、わたしの中でこの子への愛しさがぐっと増した。
かわいい、かわいいよ、この子w。
まだ小っちゃいし、抱きしめたいほどかわいい。

◆「ウェルキンゲトリクスが人質を救う」
第1話のリフレインであって、リフレインではありません。

第1話ではウェルキンに促されて起った。
今回は、ウェルキンの言葉を反復しつつも、自分の意志で起った。
わずかな違いですが、自分の意志で起ったタラニスは明らかにステップアップしています。

年齢差もさりながら、本人が年若(※1)なこともあって、ウェルキンといると、活躍や見せ場に乏しく、従う形(※2)になっていましたが、いったんウェルキンの手を離れた次回が楽しみです。

(※1)11歳ですよ、11歳。
現代ならまったくお子様です。

(※2)今回も、さりげなく、ウェルキンに「教育」されていたしなー。
「俺のやり方をよく見ておけ」と。

◆サブタイトルのこと。
第1話が「タラニス」、第2話が「ヴェルチン」だったので、第3話は「ヴェルカッシ」かなと予想してたら、新キャラに因んで「セクアナ」でした。
表紙はヴェルカッシですw。

今回、感想を書きにくかった要因はこの子。
健気で、正義感があって、不遇にもくじけず、同胞に優しく尽くし、主役(男)に救出されるという、女性キャラのテンプレ通りなので、不可でもないけど、可でもないというどっちつかずの印象で終わったので。
感じのいい子だとは思いました。

先は長いので、今後の掘り下げを待ちます。

◆「俺は俺に逆らう奴が嫌い」
アントニウスも、このセリフをリフレイン。

ウェルキンにふられ、もとい、裏切られた(←ウェルキンにとっては「断るが感謝している」だったのでしょうが、アントにとっては「裏切り」であったと思う)事に、こだわっているのだと思えました。

「カエサル」を「オヤジ」と呼んでるところが好き。

◆ゴバンニティオはアントニウスから「ウェルチン一派は死んだ」と聞かされていたけど、アントは、ウェルキンが生きて逃亡したことを知ってたのよね。
つまり、ゴバンニティオを欺いたってこと?

それとも、アントも後を追わせたゲルマン騎兵から嘘の報告を聞かされていたのか。

二人の間のこの齟齬は伏線なのか。

◆顔芸も駆使したゴバンニティオさんがもたらすメリハリある笑いが好き。
「里帰りかいっ、オジさん心配してたんだぞう」→「バレとる」のテンポがいいw。
切れ者の副官を失って大丈夫なんでしょうか、この人。


内水融「アグリッパ-AGRIPPA-」2巻

◆本編でのタラニスが、大人ばかりの中で、年若でちっちゃくて猫顔でかわいいだけに、表紙の厳しいまなざしが男っぽくてほれぼれとします(笑)。

◆セクアヌっていくつぐらいなんでしょ。
タラニスよりは年上と思いますが、13歳から19歳くらいまでなら、いくつでもあてはまりそう。

なにゆえセクアヌの年齢が気になったかと言えば、アントニウスって作中の紀元前52年の時点で31歳だったよなぁと。
当時では淫行ではないけれど、現代なら中学生~高校生の年齢の女子を口説いている31歳・・・。

◆ローマ人のアグリッパについて少々。
やな子でしたが、そして、作中での設定が明らかでないのでいろいろ思い違いもあるでしょうが、たぶん、「名門貴族」出身ではないと推測しました。

この子なりに、父親のように他人に頭を下げるのではなく、頭を下げさせる立場になろうと野心満々だったのだろうなと思います。

文武ともに実力も備えていたからよけいに、名門貴族なだけで惰弱なオクタウィウスの下風に立つのが我慢ならなかったんじゃないかなと。

肩を持つ気にはならないし悼む気持ちもあまり湧いてこないけれど、他の見開きやられキャラと違って、バックボーンへの想像をかきててくれる、印象の強い子でした。

◆で、なんだかんだいって、オクタウィウスってば、アグリッパの影響を受けまくりなんだと思う。

「実験」と突き放した言い方をしているけれど、「大人を騙す」のは、そもそもアグがしていたことで、まだアグリッパに呪縛されているとは言えないのかなぁ。

そして、オクタウィウスにとって「大人」ってどんな存在なんでしょう。
母をはじめ、アグリッパに虐げられているのを全然察知してくれなかった大人たち。
アグリッパに騙されていた大人たち。

オクタウィウスが「きっとアナタに追いついてみせます」と、カエサルの背を追う形は好きですが、カエサルもアグリッパの偽りを見抜けず騙されていた一人なので、カエサルに負の感情を抱くことはなかったのか?との疑問があります。

母のアティアをどう思っているか、さらに姉のオクタウィアも直前まで騙されていた一人なのに、なんでああもお姉ちゃん大好きwなのかも気になります。

オクタウィウスがシスコンなのは理屈じゃないよと言われればそれまでですが。

◆アグとオクタウィウスのおっかけっこの場面が好き。
人物の動きと背景の静けさが印象的で。
効果音はないのに、「シーン」とした雰囲気が伝わってくるようでした。

◆アグリッパが登場したことで、タイトルと、とある登場人物との関わりは、わかりやすすぎて、作者による壮大なミスリード(mislead)って気が。

◆以前、「(オクタウィウスの)友を求める気持ちが報われる日も心から期待します。」とのコメントをいただきました。

アグを紹介された時の表情の愛らしかったこと。
いろいろあって、人の目を見ない、大好きなお姉さんとすら目を合わせない少年に育ってしまいましたが。
オクタウィウスが初めて他人の目を見据えたのが、「友」と認めたあの少年である、との展開になるのかなぁと想像しました。

◆↑なんだか第5話の感想に流れてます。
未来を映す鏡でもある第4話。
オクタウィウス登場の第5話。
ヴェルカッシが身を挺した第6話。
みな、一巻に勝り劣りなくおもしろかったですよ。
いかにも「大河」って感じで大きなうねりを伴い、ストーリーが動いてきて。

第4話でタラニスは処刑されるウェルキンゲトリクスを救出するために動きました。
6年後、再び同じ場面が繰り広げられる時、タラニスはどこにいて、どう動くのでしょうか。

◆第4話の見所
(1) カエサル登場。
(2) タラニスは戦闘民族サイヤ人(違う)
(3) 処刑されるウェルキンゲトリクス

◆以前、ある方が「第一話自体が未来の伏線」と指摘されていました。
うかつなわたしは気付かなかったのですが、第1話で処刑を待つ虜囚の身のタラニスは、ウェルキンの未来の姿でした。

であるならば、ストーリーが大きく動いたこの回も、未来を映す鏡と言えましょう。

今回、タラニスはゴバンニティオの手から、処刑されるウェルキンを救出しました。

6年後に再び、処刑されるウェルキン、彼を見つめるカエサルの光景が繰り広げられた時、タラニスはどこにいて、どう動くのでしょう。

◆カエサルのセリフ「オマエさんらに殺せるかい?俺なら殺せねェなァ!!!」も、未来図に重ねると、複雑な思いで読んでしまいます。

タラニスは戦闘民族サイヤ人の血を引いているのでしょうか。
前回の引きからして、今回はタラニスの活躍だろうと予想がついたけれど、無敵すぎます(笑)。

だってね、一撃必殺、アルクスの脳がぶちまけるほどの殴打を繰り出したウェルキンですら、多勢に無勢で捕縛されたのよ。
それなのに、11歳の身で大の大人なぎはらう、蹴散らす、倒しつくす。

第3話、ウェルキンは作戦を誤りました。
セクアヌは自分が連れて逃げて、後をタラニスにまかせるべきでしたw

◆無敵っぷりが目立ったタラニスですが、ちゃんと頭も使ってます(頭突き攻撃のことじゃなく)。

最初にこの子が考えたのは、市民の協力を得ること。
力づくの子じゃありません。

ただし、具体的に作戦立案ができないのがまだ子どもです。
ウェルキンの手が放れた代わりに、ユリアクスことカエサルに、「交渉ごとは頭を狙え」と指導されました。

こういう「少年の成長」を含んでるあたり、少年まんがの要素を十分残しています。

◆「タラニスがウェルキンを救出」という一本道に沿ってストーリーが動いたのですが、いろいろ絡み合っていて、興味深い回でした。

(1) カエサルが登場した。タラニスに一過性以上の関心を抱いた(?)。
そして、タラニスに「交渉ごとは頭を狙え」とさりげなく「指導」した。

「指導」は、前回までのウェルキンの役割でした。

(2) タラニスの強行突破のみでウェルキンを救出できたのではない。
セクアヌの命を賭した足止めがあって時間が稼げた。

「足止め」自体はカエサルの入れ知恵ですが、セクアヌの心の動きがタラニスの行動と上手にかみあっているなと思いました。
タラニスだって頑張っている → だからわたしもやらなきゃならない。
そして無敵のタラニスも、彼一人の力でウェルキンを救出できたのではない、セクアヌの助力があってこそである、と。

(3) タラニス、セクアヌが反ローマの為に命がけの行動を起こしたのに、何もしていないと己を責めるヴェルカッシ。

傍目から見れば、「行動を起こさない」という「行動」もあるのですが、当の本人にとっては、内心忸怩たるものがあるのでしょう。

◆セクアヌに見せ場あり。
第3話の感想に書いた通り、わたしには、「女性キャラのテンプレ通りなので、不可でもないけど、可でもないというどっちつかずの印象で終わった」子ですが、キャラだちしてきました。

いわゆる「死ぬのなんて怖くないわ!」と叫ぶ「戦う少女」じゃなく、普通の女の子として造形されている、のかな(ちょっとまだよくわかりません)。

武器を構える兵士たちを叱咤する様よりも、実際の命のやり取りの場面に臨んで、「怖い」と震えている姿が良い意味で印象的でした。

だからこそ、彼女を奮い立たせたタラニスの奮闘が引き立つという意味では、「少年まんがの女性キャラ」の役どころではありますが。

◆お笑い担当(?)ゴバンニティオさんがお亡くなりに。
不謹慎ですが、切断された親指の先っぽも描いておられるのが、芸が細かいと思いました。

芸が細かいといえば、第2話、同盟への参加を後悔して額をガンガン柱にぶつけていたグトゥルアトスさん。
後の場面で、額に当て布をしてるのになごみました。

しかし、ゴバンニティオが亡くなって、次回からお笑いは誰が担当するのするのでしょう。グトゥル爺ですかw(ギャグまんがじゃないってば)

◆意外と身だしなみに気を遣っている(?)ウェルキンゲトリクス。
ゴバンニティオの背後で抜刀する場面で、「あれ?ウェルキンの腹筋が見えない」と思ったら、ちゃんと上着を着なおしていましたw

◆ラビエヌスも登場。
この人、アントニウスには及ばなくても、カエサルの側でメインになってくれるかなぁ。

◆第5話の冒頭で誦されていた「イーリアス」の一節が、アキレスの親友パトロクロスだなんて、にくい。
アキレウスとパトロクロス。
アレキサンドロスとヘファイスティオン。
そして、アウグストゥスとアグリッパ。
おそらく、西洋古代史三大友情物語かと(笑)。

わざわざパトロクロスを用いられたってことは、多分、きっと、「友情」もモチーフになるのかなぁと。

◆オクタウィウス(後のオクタウィアヌス)(さらに後のアウグストゥス)登場。
いつかは出てくれるかな、登場してくれればいいなと願っていましたが、こんなに早くとは予想外でした。
ガリア戦記であるだけに、ガリアを舞台にして話は進むと思っていたので、軍司令官のカエサルはともかく、11歳のオクタビがガリアに姿を見せるなんてことはありえないだろうと。

ありえなければ、ありえるシチュエーションに舞台を移せばいいということで、なるほど、こうすれば不自然でなく、オクタウィウスが登場できるのかと思った次第。

◆森と平野のガリアから石造りの都ローマへ。
物語のトーンが変わったのは、たぶん背景のためだけじゃない。

第5話を読んで、今までがいかに暑苦しい、もとい、熱気あふれる展開であったか実感いたしましたw

ところで、共和政末期から帝政初期までの混迷の時代を舞台にしたHBO・BBC共同制作「ROME」というドラマがありまして、オクタウィアヌスも登場します。
で、このドラマでサイモン・ウッズが演じるオクタビ青年ヴァージョンといったら、姿を見せるだけであたりの気温をグンと下げてくれる雰囲気の持ち主です。

今回、物語の温度を大幅に下げてくれたのは、人工的な石造りの背景だけでなく、あきらかにオクタウィウス少年でしょう(笑)。

◆オクタウィウスのほとんど他人と目を合わせない挙措が印象に残りました。
扉絵見開きで登場なのに、読者からも視線をそらしてるし、大好きなお姉さまに対してすら、視線を合わせようとしていない。

きちんと他人を見据えていた(と、思われる)のは、アグを見おろした場面だけでは?
(表情もこの時笑った以外、無表情なまま)

この子はいつか、他人の視線をちゃんと受けとめる人間となるのでしょうか。

◆元々は素直ないい子だったと思うのですよ、オクタウィウスは。
アグを紹介された時、嬉しそうな表情をしていたから。
ああいう事情で本来の気性を封じ込めちゃったか、あるいは捨てていったのかは判然としませんが。

◆オクタウィウスに何か足りないと気になってたら、あれです、お守り(ブッラ=男の子が成人まで首にぶら下げているお守りのこと)がありませんでした。

◆友人が「野生ネコのタラニスと、ひ弱げでクールなオクタとのツーショットはたいへんかっこいい」と、コメントしました。
実現すれば、さながら、イリオモテヤマネコとロシアンブルーのツーショットです♪

◆マルクス・ウィプサニウス・アグリッパも登場。
第5話の表紙にこやつを見た時、むちゃくちゃ恥ずかしくなりました。
だって、「タラニスがアグリッパと名乗って生きていく」との予想が大外れかと思いましたもの。表紙の時点では。

◆オクタウィアお姉さまも登場~。
アントニウスが登場した時、「こういう痩身爽やか系アントって初めて見るかも」と書きましたが、今回の普通っぽい女の子したオクタウィアお姉さまも初めてみるかも。

彼女については「女の模範」「貞女」との評判から、古き時代の「滅私奉公型貞妻」の人物造形が一般的ですから(HBOドラマ「ROME」版のオクタウィアは別)。

周囲がアグリッパの名ばかり讃える中、声をあげて弟を応援する姿と、母親に対して弟をかばう時の表情が可愛らしかったですw

◆なんとなく思ったのだけど、そして、まだ女性キャラは二人しか出ていないので、今後どうなるかわからないけど、セクアヌにせよ、オクタウィアお姉さまにしろ、「普通」の女の子だと思いました。

普通ってなんだよと聞き返されたら困るのですが、ありふれているって意味じゃなくて、なんていうか、男性キャラをうまく動かす、男性キャラの行動の動機付けになるよう、動かされていて、好感の持てる娘さんたちなのだけど、男子に比べて存在感が大人しめだなぁと。

逆に見れば、男性陣がどなたもこなたも存在感ありすぎなんでしょう(笑)。

◆「俺には俺の考えがある」(byカエサル)
前回の反乱への関与って、利敵行為じゃない?(というより、反逆罪では…)と気になってはいたので、今後、カエサルの「考え」が明かされるのであれば、それにこしたことはありません。

◆オクタウィウス少年のシスコンっぷりを見た時、なんとなく「あ、『彼女』の登場はないな」という予感が。

普通に「姉想い」って感じじゃなく、少々過剰なシスコン傾向なので、姉以外に「大切に想う女」が登場したら、オクタウィアの存在価値がゆらぐんじゃないかなと。だから、オクタウィウスにとっての他の女は出さないんじゃないかと思えて。

なお、本作は全4巻「ガリア編」で終わった為、お姉ちゃんの件とは関わりなく、『彼女』登場は無し。「ローマ編」が実現すれば、ひょっとして、とは思いますが。

◆しつこくてすみませんが、オクタウィウス少年が人の顔というか目を見て話さない様子が印象的でした。(お姉さん大好きなんでしょ?なのに、姉と話す時すら、彼女の顔をみよとしていない)
もしかして、もしかすると、オクタウィウスが初めて他人の目を見据えたのが、「友」と認めた「あの少年」である、との展開になるのかなぁと想像しました。

アグリッパを紹介された時の嬉しそうな表情からすれば、元々は、素直ないい子で、友達を求める気持ちを持ってる子だと思うのです。

冒頭は「イーリアス」のパトロクロスとアキレウスだったし(だから、しつこいってば、わたし!)

◆アティアお母さまに癒されます(息子がいじめられていることに気付かないお母さんですが)。

HBOドラマ「ROME」はグレート・スーパー・ジャイアンことアティアなくして成り立たず、わたしも楽しんで視聴いたしましたが、一方で「こんなのアティアお母さまじゃないわ(泣)!」という気持ちがあったのも事実です。

今はハキハキして明るい女の子のオクタウィアお姉さまも、将来はああいう品のいい落ち着きのある貴婦人になるのかな~(口元のホクロも同じ位置だし)。
オクタウィアお姉さまは、今のままでもチャーミングですけどね。

◆ラスト二ページで、物語の温度が急上昇いたしました(笑)

◆第6話、ガリアが舞台になると画面から伝わる熱気がグンと上がります。
やっぱり、オクタウィウス少年は人間ドライアイスです(笑)。
あの子がいれば、酷暑も快適w
いや、史実の当人は暑さ負けしていましたが。

◆毎話、見開きの見せ場が楽しみなのですが、そして今回も期待に違わなかったのですが、今までの悪人征伐パターンではなく、ヴェルカッシが、という点で印象的でした。

「ガリア戦記」からすれば、一罰百戒のウェルキンの苛烈さは十分予想できたのですが(軽い罪でも耳削ぎ、目の抉り出しを課していた)、ヴェルカッシが自らその贄になるとは想定外でした。

ヴェルカッシが最初から最後まで淡々としていただけに、戦の勝利にかける二人の胸中の執念が伝わってきます。

◆「団結できないガリアの諸部族を、ウェルキンゲトリクスの統率の元にまとめあげる」為、ヴェルカッシがクローズアップされたお話でした。
いろいろ思うところはありますが、筋道たてて書くのが難しいので、思いつくままに。

(1) ほとんど表情の変化がないといえば、前回のオクタウィウスと同じなのに、全然醸す雰囲気が違います。あちらは周囲の気温を下げる人間ドライアイスですが、ヴェルッカシは熱いです。
してみると、表情だけが、人物の印象を決めるってことじゃないんだなぁ。

(2)
ヴェルッカシが策を具申する。

ウェルキンが受け入れる。

という流れです。

つまり、ウェルキンはヴェルカッシの策を受け入れた、と。

この事を念頭に置くと、「私に一つ策がある。聞いてくれ」以前と以後でウェルキンの表情、雰囲気が変わってるような気がします。
特に軍議の場のたたずまいに。
自分がこれから得るもの、そして犠牲にするものを知っている表情と言えばいいのかな。
タラニスが感じ取った「威厳に満ちた空気」は、そういう事もひっくるめて、二人それぞれが負う覚悟の表れ、とも言えるのかしら。
考えすぎ!と言われれば、それまでですが(汗)。

(3) 考えすぎついでで書くと、今回、ヴェルカッシは己の右眼と引き換えに、反ローマ同盟に統率をもたらしました。
この後、ウェルキンゲトリクスは蜂起の責を負い、己の命と引き換えに、ガリアを守ることとなる未来図の前奏かな、と。
ええ、先走り過ぎで、考えすぎでしょう、きっと。

(4) ローマ軍の秩序正しさが際立っています。
コミックス2巻、p152からp153にかけてのコマ運びなんて、

総司令官カエサル
 ↓
幕下の将軍二人
 ↓ 
整然とした兵士の隊列

と、トップによって統率された上位下達を見せつける流れがきて、その場面前の「服装も隊列も命令系統もバラバラなガリア」との対比が見事です。
だからこそ、ローマに勝利するためには、ヴェルカッシの策は必要なものであったのだと。

◆気が付かなくてもよかったんだけど、気が付いたので書いときましょう、その一。
カルヌテス族は第一軍なのに、タラニスはなにゆえ第二軍にいたんでしょう?
たぶん、主役級だから。

「お江ちゃん、家康の伊賀越えに同行する」に比べれば、脳内補完可能なので(ヴェルカッシの従卒の役どころである等)、ありえねーっとつっこみませぬよ。

気が付かなくてもよかったんだけど、気が付いたので書いときましょう、その二。
全部族長を集めた軍議の場に、なぜ年少のタラニス(11歳)がいるんでしょう?
たぶん、主役級だから。

「お江ちゃん、朝鮮使節との謁見の場にて、秀吉の傍らに着座する」に比べれば、軍議の場の後方、出入口近くの壁際にタラニスが立ってるぐらい、分を弁えていてかわいいもんだと思えるので、ありえねーっとつっこみませぬよ。

◆あと二十年も経てば、愛妻との間に「新たな子が誕生する喜びを拒否された運命」を前にして、なす術のない自分を知るんだよなぁと思えば、周囲の大人を騙し、アグを殺し、己の力量で何事でも為し得ると信じている姿が痛ましいのが、オクタウィウス少年。

あと二十年も経てば、生き恥をさらして自害する羽目になるんだよなぁと思えば、どんなにカッコよくキメてても、可笑しさを誘うのがアントニウス。

アントニウスをバカになんてしてないよ、二人とも好きですってばw。

今後に触れるならば、ラビエヌスにも運命の、というよりも、自らの決断に従う時が来るのですが、とりあえず決めゴマがあって良かったw。

カエサルは…、いやもう、どんな運命が訪れようと、カエサルはカエサルです。

◆あんまり目立たなかったセクアヌちゃん。

毎話、毎話、全員が目立つと言う展開にはできないから、現に今回のタラニスも狂言回しっぽかったし、目立たない回もあって当然ですが、やっぱり普通っぽい娘さんです。

毎回、女性キャラが普通っぽいなと感想を書いてる気がする。
中心人物でないから出番も少なく、おとなしめ=普通っぽく見えるってのもあるんでしょう。

ただ、わたしは女キャラが好きなんです。
かっこいいオトコを見たいのとおんなじくらい、わぁステキと感嘆できる魅力的な女を見たいんですw

ええと、セクアヌに魅力がないと、言ってるわけじゃないですから。
それに、「男勝り」ならいいとも考えてませんから。

対象は男性読者だろうし、戦記物に女がでしゃばっては不自然だし、女キャラの出番が少なくても当然とは思ってます。

◆「ほんの少しだけ悲しそうな眼をしていたように」とのモノローグの場面の、タラニス少年の表情、いいですね。心に沁みとおります。

表情といえば、今回、一番表情豊かであったのは、アントニウスとカエサルでしたw
タラニスはほぼ驚いてばっかりでしたから。

◆アントニウスが咥えた軍笛を煙草と見間違えたのは、わたしを含めて何人いるんでしょう。
煙草のCMに出てもいいくらいさまになってましたw

◆一罰必戒によって心服したほとんどの部族長とは異なり、忌々しげな表情からして、ルクテリウスは今後も何事かやらかしてくれるんだろうなぁ。


内水融「アグリッパ-AGRIPPA-」3巻

◆「アントニウスは蜂起の首謀者がウェルキンゲトリクスだと知っているのか?」

知らないはずはないと思います。
第7話の終盤、糧食の配分の減少に異議を唱えるアントニウスに対して、カエサルが口にしていますもの。
「反ローマ同盟盟主、ヴェルチンジェトリクスか」と。

画面で見る限りでは、カエサルがアントニウスの前でウェルキンの名を口にしたのはここが最初ですが(それ以前は「向こうの大将」と呼んでました)、蜂起の詳細は首謀者の素性を含めて既にカエサル幕下の将軍に伝わっていたと解釈しても不自然ではないでしょう。
なんてたって、カエサルは、「ゲルゴヴィアで知り合った生きのいいガキが、俺が目をかけている親戚のガキとタメだった」事も、「ケナブムが例のガキの出身地である」事も把握しています。
であれば、ゲルゴヴィアで人質になった人物がその後の蜂起の首謀者と同一であり、名はウェルキンゲトリクスである情報を入手して、配下に知らしめていても当然では。

アントニウスとウェルキンの間に因縁があるのは第二話で明かされています。
にも関わらず、蜂起の情報が詳しくもたらされたと思われる第五話以降でも、全然ウェルキンを意識していない様子なのが訝しいと言えば訝しくて。

可能性としては

1. アントニウスは首謀者がウェルキンとは七話の終盤まで知らなかった。(知らされていなかった)
2. 知っていたが、胸中の思いを伏せて、普段通りに振る舞っている。
3. 知っていたが、脳が筋肉なので、あるいは、毎回カエサルにどつかれた為、すっかりおバカになって、ウェルキンの事も彼との因縁も覚えていないw

いくらなんでも3.てことはないでしょう。面白いけど(笑)。
知っていたか知らなかったの二者択一しかないんですが、さて、真相は?
次回のアントニウスの様子が楽しみですが、普通にスルーされてたりしてw。

つらつら書いていてさらに気になったのは、ウェルキン及びヴェルッカシの側は、カエサル配下にアントニウスがいるってことを知ってるんでしょうか?
第6話って、敵前逃亡となったからいいけど、因縁の顔合わせになるとこだったし。
あれ?てことは、「ヴェルカッシとアントニウスを再会させない」為の「敵前逃亡」の展開でもあったのかしら。

あるいは、ウェルキンたちにとっては、「ローマ打倒」の大義が優先でアントニウスとの因縁は私怨と言えば私に過ぎない。だからアントニウスの存在に執着する必要はない。
アントニウスにとっても、ウェルキンとは過去に関わりがあったけれど、あくまでも「過去」であり、いつまでもひきずるものではない。また、結句「支配者」側である余裕があるから、「敗者」ウェルキンらの事に囚われずにいるとも考えられます。
(ただ、そうするとあの意味深なセリフ「俺は俺に逆らわない奴が大好きなんだ」はウェルキンとの過去には無関係ってことになっちゃうな)

◆この件「アントニウスは蜂起の首謀者がウェルキンだと知っていたのか?」と関連して、少々気になるのが、「アントニウスは一年前の虐殺時、ウェルキンが生き延びたことを知っているのか?」

自軍のテント内でウェルキンを捕縛も殺害もできず逃げられた。
 ↓
ゲルマン騎兵に追わせた。
 ↓
???????
 ↓
ゴバンニティオには「ヴェルチン一派は片付けた」と伝えた。

「???????」間にて、ウェルキンはヴェルカッシともども無事逃げおおせたのですが、アントニウスの元にはどんな報告がいってたんでしょう?

逃がした事への処罰を怖れたゲルマン騎兵が「殺害しました」と嘘の報告をし、真に受けたのか。
でも無理があるんだよな~、当然「死体を見せろ」と要求するだろうから。
アントニウスはおバカだから確認をとらないというツッコミはなしで(笑)。

あるいは、ウェルキンの逃亡を知った上で、アントニウスはゴバンニティオに嘘を伝えたのか。
であれば、先の件、やっぱりアントニウスの振る舞いが通常通りであるのが、腑に落ちません。
「ウェルキンは生きている」ってことを知ってるんですから、なおのこと、彼の故郷であるゲルコヴィアでの反乱とウェルキンを結びつけて考えてしかるべくでは…?
同じく、アントニウスはそんなことも考え付かないおバカだというツッコミはなしで(笑)。

◆ウェルキンは焦土作戦を画策した当人だからこの手段をとらざるを得ない事情はわかっている。
コンミウスはウェルキンの意図するところを理解した。
カエサルもウェルキンの覚悟を悟った。
コンミウスさんが解説してくれたおかげで、読者もわかっている。
では、焦土作戦に追いやられた住民の側は理解しているのでしょうか。

住民にしてみれば、ローマの圧政を覆し、ガリアを解放すると聞いた。けれどいざ実戦となったら、敗れ、退き、殺戮され、食料を挑発された。
にっちもさっちもいかなくなって、味方に犠牲を強いたように思われないかと。

◆デキウス・ブルータス登場。
あんまり凝ってないモブキャラ風のデザインの人(失礼!)なのに、歴史上、重要な役割を担うあのデキウスさん(ですよね、たぶん)で、意味ありげなコマがあったから印象に残っちゃったじゃないかw

意味ありげなコマは、カエサルが「あいつに免じてやっか!!」と指示した次のコマのことです。
スルーすればいい一言を聞き逃さず、「?」と首をかしげるなんて、他人とは思えません♪

このコマって、デキウスがカエサルに不信を抱いたきっかけの表現なの?と考えちゃいましたから。

◆「輜重隊」ってあまり馴染みがない上に、字面だけで意味が通じない単語だと思うけど、注釈がついてないとこを見ると、対象読者の年齢を高く見てるんでしょうか。あるいは軍事マニア対象とか。

次のコマのアントニウスのセリフで、「ああ、食料を供給する部隊かな」と推測可能とはいえ。
正確な意味は検索して下さい。Google大先生等が答えてくれます。

◆恒例の見開きよりも、笑撃、もとい、衝撃的だった第7話、3ページ目から4ページ目への流れ。
ページめくり効果って手法でしょうか。

「ヴェルチンは…」「“スモウム”だ…」の流れ、ものすごくシュールでした。一瞬、「スモウム」という、伝統儀式があったけか?と思ってページをめくったら「アレ」でしたから。
恒例の見開きよりも、この流れが、わたしには一番笑撃、もとい、衝撃だったかもw

だって、「スモウム」ですよ、「スモウム」!
ソトガケウムにノコッテイゥムで。
こうなれば、サッカウムやバスケウムが出ても驚かない!
そう、あらゆる競技の起源はアルヴェルニ族にあった!

◆逆に言えば、見開きが淡々としていたなと。
土地も住居も犠牲にしたガリア側の覚悟を見せつける場面であるのだろうけれど、とにかくだだっ広いなと。

「淡々と」と言うならば、今回は戦闘場面も淡々としていたよう思います。
「惨状」と言及されているし、殺戮の場面も描かれているのに。

◆女性キャラが少なくて寂しかったのですが、今回もセクアヌちゃんが登場してくれたし、忘れられていない証拠といいように解釈しておきます。

なにげに、第一話から女性キャラが途切れてることもないし。
租税のカタにされそうになった娘さん→トップレスのおねえさんたち→セクアヌ→セクアヌ→オクタウィアお姉さま→セクアヌ→セクアヌ

◆第7話が、わたしにはいつもよりあっさり味だったのですが、今回は胸やけしそうなくらい、こってり味でした。

今回の8話が濃いなと思うのは、飢えたローマ兵士の鬼気迫る様子もさりながら、きっと笑いどころがないから。
スモウムもなければ(しつこい)、カエサル&アントのどつき漫才もないし。

もしかして崩れたブラキウスが笑いどころですか?いえいえ、それではあんまり可哀そう。

◆7話の見開きが・・・。
焦土化作戦の肝でもあるのですが、つまり、土地も住居も犠牲にしたガリア側の覚悟を見せつける場面であるのだろうけれど、とにかくだだっ広いなとの印象しか。

死体もない、焼け跡もない、打ち壊された跡地だけで「無残」なありさまを表現するって難しいなと思いました(この場面から、「だだっぴろい」としか感じ取れない、わたしの感性が鈍いという可能性が高いが)。
むしろキャラの態度、表情、セリフから、ああ、後のない覚悟を決めてるんだなと感じ取れました。

で、今回、ブラキウスがこだわっていた「美しき街」アヴァリクムのこと。
今まで登場していた集落とどう違って、どう美しいんだ!?と(笑)。
冒頭か、冒頭の見開きで感じ取るのか!?

◆引きとしても、画としても最後のページのカエサルとウェルキンゲトリクスの対峙の場面が好きです。
二人の表情もいい。

◆子どもを抱いた女の人を殺していたのはアントニウスですね。右眼の眦に黒子があったから。

ちなみに今回の目立った女性キャラはこの方でした。

◆「ガリア戦記」の流れからすれば、アヴァリクムの攻防戦は史実通りの顛末です。
ただ、今後の糧食が不足する展開はそっくりそのままガリア側にふりかかるわけで。
もっといえば、ブラキウスに突きつけられた苦難や批難は、同様にウェルキンにも突きつけられるもので・・・。
自分でも何が言いたいかわからないのでここまで。

◆タラニスも間近にウェルキンを見て触れて、いろいろ思うところがあったのだと。
「愛される君主か、怖れられる君主か」の命題は、この子にもまた突きつけられると思うけれど。

◆ブラキウスを見て。
皇なつきさんの短編に民国時代の中国を舞台にした「宝貝歌」があります。
封建的な因習が残る時代、親の決めた結婚を厭い、許婚者も家も親も捨てて、恋人と駆け落ちしたのはいいけれど、実家が手を回して就職もままならない → こんなはずじゃなかったのに → 貧乏暮らしなんざしてられっか!と、駆け落ちした奥さんも生まれた赤ん坊も捨てて実家に戻った男性を思い出しました。
「弟ができたみたいで嬉しいんだ」 → 「出ていけっ」の流れで。

順境からいきなり逆境に落とされて、うろたえてしまう気持ちは察しがつきます。
自分一人だけでなくて、アヴァリクムの民全員に責任があるし。
でも、14歳で追放され、仲間を養い、一夜にして全てを奪われ、それでも心折れなかった男もいます。
「責任」を負う立場であればなおのこと。
同じような状況でウェルキンはローマ人への復讐を誓いました。

生きていればやり直す機会は巡ってくるから、ブラキウスもめげるな。
結果から逃げなかったからこその自我崩壊でしょうから、妻子を捨てた男に比べればまだ見込みがあると思いますので。

◆サイヤ人なみの戦闘能力(違)を有しながら、今回もナレーターであったタラニスに違和感・・・は、なかったけれど、この子の存在意義って何だろうと。

タイトルとの関連を考えれば今は雌伏の時期みたいなもので、きっと後々、存在意義を見せてくれるのでしょうけれど。

ウェルキンに心酔せずちゃんと自分で考えて行動している11歳だから伸び代もあると期待しています。

◆見た目も年齢も11歳では活躍のしどころが回ってこなくてつらいね、タラニス。

ただ見方を変えれば、周囲の大人が「大人」として機能してるってことでもあります。
未熟な子どもをヨイショをしたり、出しゃばらせたりしていなんだから。

◆アントニウスが、むちゃかっこいい~。
こんなにかっこいいアントニウスは読んだこともなければ見たこともないよ♪
こいつってば、クレオパトラのおかげで美化されているようでいて、その実引き立て役にされてるんだなぁとつくづく。
(あ、HBOドラマ「ROME」で「おい、メシだぞ」と獣をかついで登場した髭づらのアントニウスはかっこよかった。)

「カエサルの命令だ…戦うんじゃねェ」、カエサルから、好きなだけ暴れたこい、と手綱を外され、キュッと兜の紐を締める時の表情、「全軍かかれ」も「好きなだけ暴れろ」もみないい表情していました。

「あんたらの命なんてどうでもいい」のに、喜々として殺戮している所なんて、怖い本性が出ててよかったです。

川田弥一郎さんの短編小説「ローマ詩人の死」(「惨劇のアテナイ」に収録)内でアントニウスを指した言葉、「陽気な残酷さ」を思い出します。
「陽気さと残酷さはローマ人の特徴だから、あの人はとてもローマ的なひとなのよ」と。

ところで、アントニウスってば、ウェルキンとの関わりを覚えてるんでしょうか?
連載当初は、カエサルとウェルキンの直の顔合わせが楽しみだったのですが、今は、アントニウスとウェルキンの直の再会が楽しみ♪

◆怖いといえば、アントニウスみたいに怒色を露にしていないけれど、カエサルとウェルキンもそれぞれ怖いやつでした。

結果を見越しながら静観していたウェルキン。
なにもかも奪い取れと教唆したカエサル(この表情いいわ~)。

◆デキムス、モブみたいなキャラデザと言ってごめん!
淡々とした存在感とでも言うのか、感情を露にしない表情がむしろ印象的です。

◆薪拾いに身をやつしたタラニス、まだ小さいから活躍の場が少ないのですが、今回は、4話に続いて子どもならではの利点を生かして活躍してくれました♪

そして、タラニスは自分がいない場面のナレーションもしています。
ひょっとして、この物語自体がタラニスの回想なのでしょうか?

◆以前ある方がタラニスを指して「常に全身全霊で生きてる感」があるとコメントなさいました。

第9話でもそんな「全身全霊」感を見せてくれました。
リタウィクスに手の内を問われて早々に「刺し違えてでも殺す」とぶつけちゃって。
こういうとこがこの子の魅力でしょうけれど、もはや純粋さも正義感も乏しくなったわたしには、功利的に考えても手の内を早々に見せるのは愚策だろ、と、はらはらしてしまいます。

先の方はオクタビを「偽りと演技で身を固めた」と指摘されました。
オクタウィウスであれば、タラニスのように早々に真意を吐露することはなかったでしょう。

どちらが偉い、適切であるかではなくて、タラニスはこういう子なんだろうな、ということです。

◆コンミウスといい、ブラキウスといい、ルクテリウスといい、今回登場のリタウィクスといい、ガリア人たちってなんてバラエティに富んでいるの。今後の物語への関わりようが楽しみです。

◆アントニウスとウェルキンの再会あり。
アントニウスはちゃんとウェルキンのことを覚えていました。
剣闘士なみの頭脳じゃなかったんだね、アントニウスw

◆あのアントニウスに「頭悪き」とくさされてしまったルクテリウスさん。
アントニウスがオクタウィアヌスなみに頭の切れる男に見えたよ!

◆デキムスさんて、あいかわらず意味深に沈黙するコマがあります。

◆カエサルはやはり義侠心でもって、タラニスたちを助けたのではなかったもよう。
カエサルの真意を推し量れないわたしこそ、剣闘士なみの頭です。

◆6話では「オカマ野郎」と呼ばれ、今回「女男」と呼ばれたヴェルカッシさん。
やっぱりあの容姿はそういう位置づけなのですね。
ていうか、「女男」って、もう死語だと思ってたわ。


内水融「アグリッパ-AGRIPPA-」4巻

◆第12話で、猫顔からたぬき顔に変貌を遂げた!と、わたしは思ってたタラニスを、友人は「ちょっと精悍になってますね」と言ってました。

精悍…。
うん、たしかに精悍だわ。
男っぽくなってるわ。

タラニス、ごめん、たぬき顔だなんて言って。
もうタラちゃんとは呼べないわ。

◆タイトルの謎が明らかに、ってことで、タラニスくんが、アグリッパとして生きていくことになりました。

第1話で親切に「11歳」と明らかになった時点で、あら、やっぱりこの子がアグリッパなのかと見当がついて、でも、わかり易すぎるので、ミスリード(mislead)かな、と、思いつつ、半信半疑というよりは、七信三疑くらいで「タラニス=アグリッパ」と予想しておりましたので、感無量です。

しかし、ガリア戦記ものだから、主人公はウェルキンゲトリクスなんですよね、たしか。
でも、第1話ととりの話のサブタイは、ともにタラニス(アグリッパ)なんですよね。
タラニスも主役級の位置づけであったのであれば、重要さに比して存在感というか、活躍が足りなかったように感じます。

年若な年齢を思えば、経験のうえでも、実力のうえでも、大人のような活躍ができないのは当然なのですが。
いえ、タラニスを脇キャラと思えば、バランスいい出方、活躍の仕方だったと思うのですが、幕開けと幕引きのサブタイになったキャラにしては・・・、と思うのです。

なにげに、T渕K美子さんて、すごい人だったのかも。
お江ちゃんの10歳そこそこの年齢をものともせず、「本能寺の生霊」「伊賀越え同行」「光秀への説教」etc.と、タイトルロールである主役を目立たせる展開を、不自然だろうが、有り得なかろうが、批難もブーイングもどこ吹く風といった風情で繰り出していらっしゃいましたから。

◆第12話のサブタイが第1話のリフレインであるのと同様に、表紙絵もまたリフレインされています。

かつては同じ志を抱いていたけれど、今は袂を分かってしまった二人、平行線のまますれ違って二度と交わらないであろう雰囲気もあります。

そして、これが第1話の表紙でも同様だったのですね。
互いに、見つめるのは別の方角で、すれ違うひと時だけ触れることができるけど、その後は遠く離れていくのみで、決して交わることのない暗示で。

◆もしかして、12話の終わりで6年後に飛んで、ウェルキン処刑でジ・エンドかと心配してましたが、オクタウィウスとの出会いで一段落し、余韻の残る幕引きに安堵しました。

第5話で初登場したオクタウィウス少年は、常に他人から目をそらせる、大好きなお姉さまとすら目を合わせようとしない少年でした。
この子はちゃんと人の目を見据えることがあるのか、もしそうなるとすれば、友と認めたタラニス(アグリッパ)ではなかろうかと想像しておりました。

「友」と認めたかどうかはともかく、オクタウィウス少年が初めて他人をしかと見据えた、と、思える描写であったのが印象的です。

ところで、微笑んだオクタウィウス少年のあのまなざしって、相手(タラニス)を認めはするけど、「下僕」認定の雰囲気に読めたのは、わたしだけですか(笑)?

◆アグリッパことタラニスは、オクタウィウスくん家で共に住み、共に学ぶってことなので、これはもう、タラニスとオクタウィアお姉さまとの、ラブコメ・フラグが立った!ってことですよね(違)。

冗談です、冗談。
お姉さまに懸想したり、逆にお姉さまから懸想されたら、二代目アグリッパもシスコン少年の手で葬られかねん。

◆アグリッパ父が、子に死なれた悲しみの中にあっても、「亡くなった息子の代わりとして扱うつもりはない、我々家族は君を受け入れよう」と愛情深い言葉をかけてくださっているのに、ガリアとウェルキンのことしか念頭にないタラニスでした。
自分のことで精一杯でしょうから、タラニスの立場であれば無理もないのですけど。
ただ、親御さんの表情が、それこそ、カエサルが言うとおり「悲嘆にくれちまって目も当てられない」さまだったので、気持ちの齟齬が悲しいなと思って。

◆全12話中で一番好きなのは、第4話です。
わたしは、「未来を映す鏡」の回と受け止めています。
「処刑されるウェルキンゲトリクス」
第4話では、タラニスはウェルキンを救出する為に行動を起こしました。
今、アグリッパと名乗るタラニスは、5年後、同じ光景を前に何を思い、どう動くのでしょうか。

4巻でひとまず終わりってことなので、自分が「こうなるのかな?」と思ってたことを書いときます。
先に、「タラニス=アグリッパ」の予想が七信三疑くらいであったのは、タラニス(アグリッパ)がいるのに、ウェルキンが処刑されてしまう展開ってのが腑に落ちなかったからです。
ウェルキンが処刑されたら、タラニスもアグリッパを名乗って生きる意味を失ってしまうだろうし。

なので、ウェルキン処刑の後もタラニスがアグリッパであり続けるのであれば、ウェルキンがタラニスを説得することになるのかなと。
「敗者の復讐の念を捨て、ローマの為に生きろ、それがガリアの為でもある」と。
しかし、それも無理があるなと思えて、結局予想はつかずじまいです。

ただ、わたしがひっかかっていたカエサルの利敵行為が、けっく、ガリアの和平も視野にいれたものであると明かされたので、ウェルキンがガリアの平和をカエサルに、ひいてはタラニスに託すってことも有り得るのかなと想像します。

◆お遊び二択クイズ。

Q.可哀そうなのは誰でしょう。

A1. 主人公ウェルキンゲトリクスと因縁があったのに、サブタイにもコミックスの表紙にもならなかったアントニウスさん。

A2. とある作家さん曰く「類まれな美貌と謳われ」、歴史上にも偉大な足跡を残しながら、コミックス表紙になれなかった後の初代皇帝アウグストゥスこと、オクタウィウス少年。


サブタイになっただけ、オクタウィウスが一歩リードですかしら。
アントニウス、不憫な奴。末路を象徴するかのようだ。

◆誰が言ったか忘れたのですが、「死体を出さない限り、生きてる事にできる」(あるいは「死体を出さなければ、生きていた事にできる」だったかも)そうなので、ヴェルカッシは死んでないと解しておきます。

「行方不明」との言及は、生存フラグでありましょう。

◆これにて感想を完走!(←寒いしゃれと言うなよ)
読むのも書くのも楽しかったです。ローマ編の感想も書くことができれば嬉しいです。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。
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