ここはローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの妻リウィアのファン・ブログですが、だいたい、まんが感想で成り立っています。
2017年04月21日 (金) | 編集 |
(注意)1.ネタばれ有り。
2.医学まんがです。病気や医療情報は、特に断りない限り作中から引用しています。
3.感想のなかで、引用以外で医療情報や病気について述べてる箇所は、わたしの理解によるものです。素人の理解なので、正確でないかもしれません。もし、間違いを指摘してくなったら穏当にお願いします。


◆わたしのTLでは、「コウノドリ」(鈴ノ木ユウ著)が高評価です。
出産素晴らしい!母性愛が全てを救う!どんな難問も出産で全て解決!との安直なストーリーではなく、妊娠出産をめぐる問題をリアルに取り扱っていると知り、読んでみました。

うーん・・・。
どんな苦難も難題も、お産で全て解決☆強姦されて妊娠しても母性愛がわくから産んでO.K.よ♪なんて、作者の正気を疑いたくなるお話はなかったけど(※)、基本「出産素晴らしい!赤ちゃんの誕生は尊いものだ!」路線でした。
やや失望したわたしが少数派で、産科医が主人公、しかも実在の産科医をモデルにしてるんですから、赤ちゃん賛歌、お産賛歌になるのは当然なんでしょう。

やや失望したとはいえ、感想執筆意欲が湧くぐらいには良かったので、つらつらと。

(※)お産で全て解決☆強姦されて妊娠しても母性愛がわくから産んでO.K.よ♪なんて、作者の正気を疑いたくなる作品。
あるんですよ、実際に。昔々の作品ですが。
恐ろしいことに、長期連載でドラマ化までされたそうで。
子どもの頃にブクオフで二三冊立ち読みしましたが、気色悪い話ばかりでした。譬えるなら、実子に辛くあたって、継子を優先する後妻を、「よく弁えてる。立派だ」と肯定したうえで、「感動」として押し付けてくるような、二重にねじくれた、気持ち悪いお話ばかりでした。
ああいうのが長期連載されるほど読者から支持されてた(人気があった)って事実が、一番気持ち悪いわ。

では、気色悪さはあまりない(あまりないってことは、少しはあった)(←個人の感想です)「コウノドリ」の感想を。

最初に雑感ふたつ。

その1.16巻までに「男性不妊」テーマ回はなし。
本作は、妊娠、出産がテーマなので、それ以前はテーマから外れるので、取扱いなしであるのは不自然ではないのですが。

その2.院長さんのキャラがinteresting(興味深い)。
浮気者でいらんこと言いで、儲けに煩い人物なんですが、なんとなく、泥水を被るためのキャラクターなのかなあと。

そんな風に読めたのは、助産師さんとのあるやりとりからです。
とある女性患者さんが、子宮を全摘しました。

院長 「子宮全摘になっちゃったの。…でもまあ母体、43歳でしょ。子宮もそろそろお役御免でとこかな」
助産師 「院長って何歳だっけ?」
院長 「63だけど?」
助産師 「あぁ、そう。じゃあもうキンタマいらないね。そういうことだよ」



院長さんの言い分、ひどいものです。

しかし、院長さんでなくては、口にできないセリフでもあります。
だって、他の医療スタッフは、コウノドリ医師をはじめ、絶対そんな無神経なことを考えないキャラクターですから。

けれど、現実には子宮全摘した女を「もう女でなくなった」と見なす人々はいます。
そんな偏見を斬るために、院長さんのようなキャラクターが必要なのだと思います。
善人ばかりではお話は成り立たない。

補足すれば、助産師にぴしゃりと言い返された院長さんは、謝罪はしませんでしたが、怒ったり不機嫌になったりすることもなく、気まずい表情で押し黙りました。
たぶん、自分の言ったことの無神経さに気づいたのでしょう。かといって、性格上か立場上か謝ることもできないので押し黙ったのでしょう。

この件に限らず、理想を求め、増員を求める医療スタッフに対してのらりくらりとごまかしたり、訴訟されないようにと注意したり、儲け第一な横顔も垣間見えますが、これまた、病院を運営する以上当然のことです。運営費も人件費も機材費もなにもかも、天から降ってるわけではないのですから。

そんなこんなで、院長さん、やな感じの人物造形ですが、なんとも興味深いのです。


「コウノドリ」2巻

TRACK4「未成年妊娠」(人工妊娠中絶)
今回のタイトルは、本の目次では「未成年妊娠」ですが、カバー裏の一覧では「人工妊娠中絶」となってます。

本話の感想を書く気はなかったのですが、タイミングといいますか、ちょうど読み直していた時に、「高校生の妊娠が発覚すると、女子は退学を強制されるのに、男子は不問に付せられる」と、男女の処罰の不公平さを指摘するツィートを見て、ちょっと触れる気になりました。

本話は、タイトル通り未成年である高校生の恋人同士の妊娠です。
妊娠を学校が知る以前の、恋人同士間、家族間の話し合いの状況なのですが、愛し合った恋人同士であるのに、この時点では、まるで男子が加害者、女が被害者の扱いです。

男子の側が親といっしょに、女子の親と対面した時の後者の父の第一声は、

「で、親子で、土下座でもしに来られたんですか」



二人は愛し合った恋人同士で、性行為もきっと、女子も同意のもとに為されたと思います。
なのに、男子が加害者扱い?

いや、娘の親の心情としてはわからんでもないのですが。。。

なんだろうな、この、公けになれば女子のみ罰せられ、私的な場では男のみ責められるってのは。

それに、恋人同士である二人も、親たちも「中絶」一択で、男子の親は「一番かわいそうなのは、腹の中の子どもだろ」と言ってるくせに、「出産して縁を切って特別養子に出す(あるいは里子に出す)」って選択は採りあげないし(頭に浮かばないのかしらねえ?)。

いちおう、これらを説明する仮説がわたしにはあります。

「妊娠したってことは、性行為を経験した女であるとの証拠である。
そして、性行為を経験した女は、『疵物』とみなされるから」
さらに、性行為はしばしば、男が抱き(能動)、女が抱かれる(受動)とみなされてしまうこと。
(「疵物」なんて表現、用いたくありませんが、現実に、女をそう見なす考えがあるってことで用います。)

この仮説に基づくと、ぜーんぶ筋が通るんですよね。

「疵物」になったから、公けには退学を強要される。
「疵物」にしてしまったから、私的な場では男が加害者として責められる。
「疵物」になったから、なかったことにする為の、「人工妊娠中絶」か「結婚」しか、解決の方法はない。
「里子に出す」などは、「疵物」(=妊娠)の事実がばれるリスクが大きすぎる。

本話の恋人たちは、すったもんだの話し合いのすえに、コウノドリ医師の説得もあって、親たちの協力のもと、「産む」ことを決めましたが、二人とも、高校はどうしたんですか?
詳細は不明です。

妊娠中絶して、高校生活を継続するのが最良の選択とは言いませんが、ハッピーエンドにのれないわたしでした。


「コウノドリ」3巻

TRACK9「海外出産」
オチがすてきな一本☆

「海外出産」というタイトルですが、「妊娠中の海外旅行の是非」がテーマです。
本作は、産婦人科の立場では「反対」と口にできないけれど、「お勧めできない」との見解です。理由等の詳細はコミックスで読んで下さい。

さて、根岸夫妻は妊娠経過が順調なので、出産前にハワイに行こうと思い立ち、コウノドリ医師に相談します。
コウノドリ医師から「妊娠中の海外旅行の危険性」「海外で出産するリスク」を聞いて、いったんは中止したように思えましたが・・・。

数日後、ラストシーン、勤務中のコウノドリ医師に根岸さんから電話が入ります。

根「今少しだけ出血したんですけど」
コ「じゃあ今からすぐに来て下さい」
根「それが、今ハワイなんです」
コ「わーお」(お手上げの表情で)
根「先生、今からこっちに来て下さい!!」
コ「ムリです・・・」
(後略)



ざまーみろーーー!!!
実は、1巻、2巻と読んできて、コウノドリ医師及び本作自体が、妊婦の我儘や身勝手さに甘々であるように感じて、ちょっといらっとしてました。だから、この「ムリです・・・」で溜飲が下がりました。

特に、TRACK9「海外出産」の前話は、「喫煙妊婦」でしたから。
妊娠中の喫煙の害を丁寧に説明されていたのに、ストレスから喫煙を続けたあげくに、早剥に陥った妊婦さんのお話でした。
警告を無視して喫煙を続けてお腹の子を危険に巻き込んだくせに、早剥に陥ったら「赤ちゃんを助けて下さい」と懇願する身勝手さに腹が立ちました。
あくまでも、フィクションに対する感想ですが、そんな妊婦も赤ちゃんも助かってしまったことに、いい加減にしろよと毒づきました。

なので、今回のオチには胸のつかえが下りました。
「コウノドリ」を読んで、コウノドリ医師は身勝手妊婦に甘すぎ!妊婦のわがままに甘すぎ!と腹が立つ場面があっても、今回のオチを思い出せば、ざまあみろで、ひとときスッキリです☆

TRACK10「自然出産と帝王切開」
カルト宗教風味のサイコホラーかと思った・・・。

絶対自力で産む!医学には頼らない!助産院で産む!帝王切開なんざ子の仇だ!!と言わんばかりの自然派自力出産を志す妊婦(森)さんを後押しする助産師、野ノ村さんのお話。

この野ノ村助産師が気持ち悪くて。
この人は、TVで自然派出産を力説してる姿で登場します。
「人間も動物ですから自分で産む能力があるんです」うんちゃらと、自然、自然を強調するトーク。
まず、このトークがカルトっぽい。

中盤、森さんのバースプランを後押し(わたしの目には森さんの自然出産への執着を煽っていたように見えましたが)していた野ノ村助産師が突然、
「助産院はサービス業です。つまり医療行為は行えないの」
と、言い出したとこも気持ち悪い。

言ってることはまともなんです。
医療行為は行えないから、妊婦(森さん)が危険な状態になったら病院に搬送しますよ、と。
しかし、サイコっぽい人なので、責任逃れに言ってるのだなとしか思えなかったです。

終盤、野ノ村助産師は、緊急搬送される羽目になり、いやだー!自然に産みたい!!帝王切開はいやだ!!!と、赤ちゃんの命を危険にさらしてまでも、自然派出産に執着するカルト妊婦、もとい、森さんを丁寧に説得し、魔法の言葉「わたしも帝王切開で赤ちゃんを産んだのよ」をかけたのですが、今までの印象が悪すぎたので、えー、自分の帝王切開経験を隠して自然、自然、産む力と宣伝してたわけ?と不信感をぬぐえず。

マイルールで画像引用はしないことにしてるので、表現力のないわたしの文字だけだと伝わらないと思いますが、わたしが野ノ村助産師を気持ち悪いと思うのは、キャラデザにもあります。
なんか、すごくカルト宗教の教祖っぽい顔というか、サイコっぽい顔というか。常に上がってる口角がうさんくさかったです。

とにかく、気持ち悪い一本でした。

森さんて妊婦もカルトの信者っぽい気持ち悪い人でした。
子どもの頃、母親のお産を見て、自分も自力で産みたいと思うようになったそうですけど、あのこだわりっぷりはカルト宗教の信者みたい。

本作は、最後にはいい話として決着がつきました。
意外性のある結末に導くための、サイコな助産師とサイコな妊婦による、サイコな途中経過だったのかなあと思いますが、ちょっとやっそとの「実はいい人」エンドではぬぐいきれないほど、印象が悪い二人でした。


「コウノドリ」4巻

TRACK14「風疹」
コウノドリで一番好きなお話です。
途中で「あ、これは、ろくに話を作れない作家が打つ、下種な『感動』話だ」と腹立たしくなりましたが、早とちりでした。ごめんなさい。

タイトルは「風疹」ですが、主題は「先天性風疹症候群」。

先天性風疹症候群とは。
(1)定義 風しんウイルスの胎内感染によって先天異常を起こす感染症である。
厚生労働省のサイトより



もう少し噛み砕いていえば、妊婦さん、特に妊娠初期の妊婦が風疹にかかることによって、赤ちゃんに出る障害を言う。

先天性風疹症候群の三大症状は、
先天性心疾患、
難聴、
白内障、
他に、発達遅滞。

コウノドリ医師の言によれば、

「この先天性風疹症候群は、怖いことと言うより、むしろ、とても悔しいことです。
阻止できたはずの障害ですから
(太字強調はわたし)



阻止できたはずのものが、なぜ阻止できなかったのか。

それは、ワクチンを打ってない人、打たない人たちが多いから。
前者の理由として、副作用などでワクチン接種が敬遠された20年弱の空白期間について説明がありました。
そして、空白期間が過ぎた今、打てる機会があるのに打たない人たちの理由は、

めんどくさいから。
自分には関係ないから。
自分は健康だから。
ワクチン接種料が高いから。

「打てる機会があるのに打たない人たち」と、属性を特定しない表現を用いましたが、作中では、

「妊娠とか関係ない20~40代の男らに、バンバン負担させて、ワクチン打てるようにするべきだよ。
だって、そいつらが、悪気なく風疹まきちらしているに違いないんだもん」



とのセリフがあります。

本作のメイン・キャラの一人、伊達さん(以下、伊達夫)もそんな男性の一人でした。

奥さんが妊娠し、勤務先の社長から風疹ワクチンの接種を強く勧められたのに、
「仕事も忙しいし」
「まあ、心配ないですよ」
さらに、強く勧められても、「はぁ」と気乗りしない返事。

奥さんから、仕事休みの日に一緒に病院行こう、そして打ってもらえばいいと誘われても、
「勘弁してよ。(中略)ちょっとゆっくりさせてくれよ。病院て待つの長いし、めんどくさいしさ」(要するに、めんどい、俺には直接関係ないんだし。打つ気はない。)

しかし、その会話の後、奥さんと一緒に外食に出た伊達夫は、道中、社長夫妻とお子さんに会います。
お子さんのハルカちゃんは、先天性風疹症候群による、先天性白内障と心室中隔欠損の重複障害の持ち主でした。

伊達さん夫妻がおめでたと知ったハルカちゃんは、見えない目を伊達夫に向けてお願いしました。

「ちゃんと風疹の注射受けてね。赤ちゃんがかわいそうだから」



ハンディを負いながらも、明るく健気なハルカちゃんの言葉に、伊達夫はめんどくさがった自分を恥じ、風疹ワクチン接種を受ける決意をします。

わたしが腹立たしくなったのはここです。

さいってい、こいつ。
殊勝に反省してるけど、おまえの本質は、疲れた、めんどくさい、で風疹ワクチン接種をバックレようとした、無神経害虫だよ。
ハルカちゃんという実際の罹患者を見なければ、わからんのか、このバカ!!!と。
そんなバカの反省など信用できるか!

新約聖書に「種まく人」のたとえ話があります。
その話の、「岩の上に落ちた種」で終わるのだろうと思いました。
岩の上はわずかですが、水も土もあるので芽をだすことは可能です。しかし、丈夫な根をはることはできないので、すぐ枯れてしまいます。つまり、根がないので、試練や苦しみに直面したらすぐに信仰を捨ててしまう人を指しています。

伊達夫の心に湧いた、「健気な障がい者 ハルカちゃん」からもたらされた反省も、いっとき、伊達夫を「おれって、障がい者に感動してワクチン接種もすませたいい人」と自己満足に終わらせるだけで、根をはらず、実を結ばず、枯れてしまうものだと思いました。
底の浅い「感動」話に、腹立たしくなりました。

けれど、予想は覆りました。

「妊娠7週の奥さんが風疹にかかった場合、その赤ちゃんが先天性風疹症候群になる確率は80%です。」
「仮にご主人が風疹にかかってしまった場合、ご主人の乗った電車やバス、立ち寄ったお店などに、抗体のない妊婦がいたとしたら、ご主人は自分が風疹を移した自覚もなく、妊婦の方は誰に移されたか覚えもないまま、お腹の赤ちゃんは障害を持ってしまうんです。」



コウノドリ医師から上記の説明を受けた伊達夫は、
「そんな怖いコトなのに、なんで皆ワクチンを打たないんですか?」と問いますが、きっと本人がわかっていたでしょう。
自分には関係ない、めんどくさいで、バックレようとした本人が誰よりも。

病院からの帰路、伊達夫が奥さんに語りかけたセリフに表れていると思います。

「注射、3分で終わっちまったな。
でもこれで、はい1万円て言われるんだから、妊娠とか関係ない20代~40代の男連中なんか、自分から風疹のワクチン打とうなんて気にもならないだろうな」



自分では病気をふりまいている自覚はなくとも、悪意はなくとも、他人に、生まれてくる赤ちゃんに、障害を刻印してしまうかもしれない自覚、ここでわたしは、あ、もしや、伊達夫は枯れぬ芽になるのでは?と期待しました。

その期待を裏切らず、終盤、伊達夫と社長さんの素晴らしいやりとりがありました。

社長さんは、娘(ハルカちゃん)のこともあり、会社負担で、従業員全員に、麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種を受けさせることを決意します。
しかし、すでに接種済みの伊達夫には、会社からの補助は適用されません。

その件を告げながら、悪いなと付け加えた社長に、伊達夫は喜びに破顔しました。

「スゲー、いいことですよ!」



ずるいでもなく、損したでもなく、「スゲー、いいことですよ」と。
自分の損得の枠を越えて、悪気の有無を越えて、見知らぬ多くの人々の中で生かされ、生かす自分を自覚した人の言葉です。

ハルカちゃんによって蒔かれた種が落ちた伊達夫の胸中は、根をはらぬ岩の上ではありませんでした。種を育む良き土であったのです。

 
「コウノドリ」10巻・11巻

TRACK31「長期入院(前篇)」
TRACK32「長期入院(後篇)」


三人の妊婦が登場するのですが、妻の長期入院による、残された家族の負担が描かれた七村さん夫妻(以下、七村夫と七村妻と表記)のみ採りあげます。

七村妻は、妊娠25週目に、思いがけず切迫早産と診断されました。
少しお腹が張るなと思ってはいても、早産になりかかっている状態であると説明されても、体調の著しい不調を感じない七村妻は、「安静」との言葉に、「家事もそこそこ、外出は保育園の送り迎え」ぐらいに抑えておけば大丈夫だろうと考えましたが、コウノドリ医師から告げられたのは「出産までの2ヶ月以上に及ぶ入院」でした。

さて、たまにSNSで「妻の入院、妻の病気、その時夫は?」との話題が流れてきます。
医師クラスタからは何度か繰り返して、「妻が入院すると家事をする人間がいなくなる、家族の世話をする人間がいなくなる、俺の世話をする人間がいなくなるぅぅぅぅぅぅ」と自分の都合のみ主張し、妻の入院を妨げ、短期で切り上げさせようとする夫の説得が一苦労であるとのつぶやきを拝見します。

フォロイーさんからは、同じような事情で夫に入院を妨げられた妻が、結局亡くなってしまい、お葬式では、近所の奥さんたちがこっそり「バカ亭主ー、バカ亭主ー」とささやきあっていたという話をうかがいました。

他にも、こんなエントリが流れてきました。
外部リンク:【開腹手術終わったばかりの奥さんに旦那さんが「家事が回らない、家が汚い。明日には退院できないか」】
(まとめサイト記載なので創作かもしれませんが、似た実話を見かけますので一例としてリンクしました)

七村夫は、これらの生ゴミ、失礼、役立たず亭主に比べれば立派でした。
即座に「2ヶ月間は子どものことも家のことも俺がやる」と決意し、妻にも告げて安心させようとしたのですから。
仕事もあるし、出来るの?と不安な妻に対して、
「出来る、出来ないじゃない、やるんだよ」と、力強く(あるいは、自分に言い聞かせるように)告げました。

立派ですよね。
蝿がたかるウンコ以下の亭主の話題の後では、七村夫の背後から後光が射して見えます。

しかし。
やる気だけで、物事がうまくいくなら誰も挫折を経験しません。悩みも苦労もありません。

妻の入院後、6歳と4歳のこどもを抱えて、家の中はしっちゃかめっちゃか、四方八方(子どもたち、上司、部下)に迷惑かけまくり。

特に部下の佐藤くんが気の毒でした。
七村夫は、保育園のお迎えがあるので、18時には退社したい。
その為に佐藤くんに、自分の仕事を次々と押し付けた(←佐藤くんビジョンではこう感じてる)のです。
「オレでよかったら仕事のサポートをしますよ」と言ったもの、昼休みのトークであり、社交辞令のようなもの、当初は世話になってる上司でもあり、引き受けていたもの、当たり前のように押し付けられ、来る日も来る日も残業三昧となり、佐藤くんはとうとう爆発しました。
「こんなのいつまで続くんですか?」

七村夫も、内心は後ろめたさもあったのでしょう。
それゆえに、売り言葉に買い言葉で応じてしまいました。

「こっちだって毎日毎日たいへんなんだよ」
「だったら最初からサポートするなんて調子のいいこと言うなよ」



あーあ、言ってはならない言葉を言っちまたな、七村夫・・・。

この後、七村夫はコウノドリ医師からのアドバイスを得てファミリーサポート、延長保育、宅配弁当の利用などで一息つくのですが、佐藤くんとの和解場面は最後までなかったなあ・・・。
一頁くらいで、「あの時はすまなかった」「いえ、自分も言い過ぎました」で終わっても腹が立つので、読者が自由に想像できる、「言及なし」の方がありがたいといえばありがたいですが。

七村夫は、いい夫です。
上司から嫌味を言われても、子どもたちが、特にやんちゃ盛りの息子が手に負えなくても、仕事に追われ、毎日の家事と育児にへとへとになっても、けっして、妻を責めることはせず、退院を促すこともしませんでした。常に入院中の妻を気遣っていました。

いやホント、さっきリンクした先の、ゲロのかかったウンコのような亭主と比べると、後光が射してくる夫です。

しかし、自分が負うべき荷物を佐藤くんに負わせてたんだよな。
佐藤くんは家族じゃないのに。
部下は家族じゃないのに。

いいお話だったけど、七村夫はいい夫だったけど、なんかすっきりしない一作でした。
せめて、佐藤くんに、きちんと時間外勤務手当が支給されていますように。

しかるにリウィアは初代皇帝アウグストゥスにふさわしい、偉大なる貴婦人であった。
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